【2025年最新版】株式投資家のためのパソコン(e-Tax)完結型確定申告ガイド:新NISA対応と定額減税のポイントを徹底解説

確定申告・個人

株式投資家のための
パソコン(e-Tax)

完結型確定申告ガイド


はじめに

こんにちは、エンジョイ経理編集長です。私はかつてIT大手上場企業の財務経理部門の幹部として、さまざまな税務申告や経理実務を担ってきました。本記事では、税理士の方に確認を取りながら、2025年に行う確定申告(2024年分所得)について、株式投資家がパソコン(e-Tax)を使って完結するためのノウハウを徹底解説いたします。

2024年から始まった新NISAや、2025年に注目すべき定額減税の扱いなど、新しい制度が目白押しで、株式投資をされている方にとっては戸惑うことも多いでしょう。本記事では、

  1. 確定申告の基本的な流れ
  2. 株式投資家が注意すべきポイント
  3. ふるさと納税や損失繰越、配当金の扱い
  4. 2025年から適用される定額減税の申告方法
    などを網羅的に解説します。ぜひ最後までご覧いただき、スムーズな確定申告を目指しましょう。

エンジョイ経理編集長より

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1. 確定申告が必要な人はどんな人?

会社勤め(給与所得)がある方でも、以下のようなケースに該当すると確定申告が必要になることが多いです。

  • 年末調整後に株式や投資信託の譲渡益・配当金などの所得がある方
    • 特定口座(源泉徴収あり)を選択している場合でも、損益通算や損失繰越を行いたい方は申告が必要になります。
  • 2カ所以上から給与を受け取っている方
  • 医療費控除、寄付金控除(ふるさと納税含む)などを適用したい方
  • 住宅ローン控除などを初めて受ける方

2024年中に株取引や配当、仮想通貨取引などがあった場合、2025年の確定申告で入力を行わなければいけません。とくに新NISAの制度変更によって投資枠が拡充され、NISA口座以外で取引を始めた方も増えていますので、該当する方は要注意です。


2. 2025年に向けて押さえるべきポイント

2-1. 新NISAの導入背景と注意点

2024年から始まった新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の2階建て制度が廃止され、1つの口座で年間投資上限額が拡大されています。主な特徴は以下のとおりです。

  • 非課税保有限度額が拡大
  • ロールオーバーの簡素化
  • 長期投資の推進による税制優遇強化

もっとも留意すべきは、非課税枠をオーバーして一般課税の取引を行った場合です。この部分は通常の譲渡益課税や配当課税が発生し、確定申告での申告が必要となります。また、証券会社を複数利用していると、年間取引報告書も複数枚になるため、入力ミスを防ぐためにも一元管理を意識しましょう。

2-2. 定額減税の概要と対象者

2025年は、**「定額減税」**が適用される年として注目を集めています。

  • 減税額:一人あたり所得税3万円分が控除
  • 配偶者や扶養家族など、対象人数分×3万円
  • 会社員の場合、すでに年末調整で適用されているケースが多い

ただし、確定申告をする人は、その申告書に定額減税の情報を必ず記載する必要があります。会社員として年末調整で適用済みの場合でも、再度申告書に入力しないと、せっかくの減税が反映されなくなる可能性があるので注意しましょう。


3. パソコンで行う確定申告(e-Tax)の流れ

3-1. 事前に準備すべき書類・データ

パソコンでe-Taxを使って確定申告をする際、以下の書類・データを事前に用意するとスムーズです。

  1. 給与所得がある方:会社から交付される「給与所得の源泉徴収票」
  2. 証券会社からの「特定口座年間取引報告書」:株式や投資信託の売却益・売却損、配当金などが記載されたもの
  3. ふるさと納税を利用した方:自治体が発行する「寄附金受領証明書」
    • 5自治体以内に寄附を行い、ワンストップ特例を申請していても、確定申告を行う場合は改めて申告が必要
  4. 繰越損失を持っている方:前年に損失繰越の申告を行った控え
  5. マイナンバーカード:電子証明書(利用者証明用/署名用)を使用
  6. マイナポータルアプリ(またはICカードリーダー):スマホでマイナンバーカードを読み取る場合に必要
  7. パソコン:インターネット接続環境、推奨ブラウザの確認

3-2. e-Tax利用のための環境整備(マイナンバーカード、カードリーダー、スマホ)

  • マイナンバーカード:市区町村の窓口で取得した際、設定したパスワード(4桁、6~16桁の2種類)が必要。
  • スマートフォン:NFC機能対応で「マイナポータルアプリ」をインストールすれば、カードリーダーの代わりにマイナンバーカードを読み取れる。
  • カードリーダー:対応機種は国税庁やメーカーのサイトで要確認。

3-3. e-Taxサイトへのアクセス~初期設定

  1. **国税庁「確定申告書等作成コーナー」**へアクセス
  2. 「作成開始」をクリックし、「マイナンバーカード方式」→「スマートフォンを使用する」を選択
  3. 画面に表示されるQRコードを「マイナポータルアプリ」で読み取り、案内に従ってパスワードを入力
  4. 読み取りが成功すると、マイナンバー認証が完了し、所得情報入力画面へと進む

4. 株式投資家のための項目別入力方法

4-1. 年間取引報告書の読み方と注意点

証券会社から交付される**「特定口座年間取引報告書」**には、

  • 売却益(譲渡益)
  • 売却損(譲渡損)
  • 配当金の受取状況
  • 信託報酬や手数料の合計額
    などが集計されています。
    特に複数の証券会社を使っている方は、それぞれの年間取引報告書を合算して申告する必要があります。譲渡益と譲渡損を合算する「損益通算」をしたい場合は、総合課税ではなく「申告分離課税」を選択することが原則です。

4-2. 譲渡益・譲渡損、配当金の申告方法

e-Taxの所得選択画面で**「株式等の譲渡所得等」にチェックを入れ、さらに配当を受け取っている場合は「配当所得」**にもチェックを入れます。その後の入力画面で、譲渡区分として「特定口座(源泉徴収あり/なし)」などを選び、証券会社ごとに年間取引報告書の内容を転記していきます。

  • 譲渡益・譲渡損
    • 証券会社名、株式の譲渡損益額、取得費、手数料などを入力
  • 配当金
    • 総合課税か申告分離課税か選択を求められる(後述)
    • 配当控除を受ける場合は総合課税、一方で損益通算を狙う場合は申告分離課税が多い

4-3. 課税方法の選択(総合課税 vs 申告分離課税)

株式投資家が混乱しやすいのが、配当金の課税方法です。

  • 総合課税:給与所得などほかの所得と合算して課税される。総合課税特有の「配当控除」が受けられる。住民税や健康保険料への影響も考慮が必要。
  • 申告分離課税:株式譲渡所得や上場株式配当金と損益通算できる。損失繰越も可能。

どちらが有利かは、所得水準や株式譲渡損益の状況によって変わりますので、迷った場合は税理士や専門家に相談しましょう。

4-4. 損益通算と損失繰越の入力ポイント

  • 損益通算:異なる証券会社間の譲渡益と譲渡損を相殺できる。
  • 損失繰越:通算後でもマイナスが残った場合、最長3年間繰り越せる。前年分の確定申告で繰越手続きを行っている方は、「前年分の申告書の控え」を手元に用意し、繰越損失額を正確に入力する必要がある。

損益通算や損失繰越を行うには、申告分離課税での申告が必須です。総合課税を選んだ場合は原則として通算不可なので気をつけましょう。


5. ふるさと納税など各種控除の入力

5-1. ふるさと納税ワンストップ制度との関係

ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用している場合でも、確定申告をする時点で自動的にワンストップは無効となります。よって確定申告書の「寄附金控除」欄に以下を入力していきます。

  1. 寄付先の自治体名
  2. 寄付を行った日付
  3. 寄付金額

証明書(寄附金受領証明書)の金額を入力し、重複や漏れがないか確かめましょう。

5-2. その他控除の具体例(医療費控除、生命保険料控除など)

以下の控除を適用したい方は、該当する証明書類を元に入力します。

  • 医療費控除:年間医療費が一定額を超える場合(10万円または所得の5%以上)。明細書の作成が必要だが、マイナポータル連携を利用すれば医療費通知情報を自動取得可能。
  • 社会保険料控除:国民年金保険料、国民健康保険料などを支払っている場合。給与天引き分は年末調整済みの場合が多い。
  • 生命保険料控除:保険会社から発行される控除証明書に基づいて入力。

5-3. 定額減税の入力を絶対に忘れない!

2025年分確定申告では、定額減税が大きな目玉です。会社員の場合、多くは年末調整で既に適用されていますが、確定申告書にも必ず入力する必要があります。

  • 対象人数分×3万円が、所得税額から直接引かれる仕組み
  • 配偶者や扶養親族の情報を入力することで自動計算される
  • 入力画面で「定額減税」「特別税額控除」といった文言を見落とさないこと

もし配偶者控除や扶養控除を入力し忘れていると、定額減税も計算されない恐れがあります。必ず最終画面で控除額に間違いがないかを確認しましょう。


6. 最後のチェックポイントとデータ送信

6-1. 還付金の受け取り方法設定

還付が発生する方は、銀行口座の登録を忘れずに。還付先口座を入力しないと、振込に時間がかかったり、別途手続きが必要になる場合があります。

6-2. 住民税関連の確認

e-Tax上で住民税の徴収方法などを選択できる場合があります。「普通徴収」「特別徴収」など、希望する徴収方法を選択しましょう。配当割額控除、株式譲渡所得割額控除の扱いにもご注意ください。

6-3. 申告内容の最終確認と書類の保存

入力が完了したら、

  1. 表示された書類のプレビューで入力内容を一つひとつ確認
  2. 控えのデータをダウンロードまたは印刷して保管
  3. 「送信」ボタンを押して電子申告完了

万一、送信後に誤りが見つかった場合は、**3月15日(所得税・復興特別所得税の場合)**までに「訂正申告(修正申告)」を行えます。早めに気づけば訂正処理もスムーズに進むでしょう。


7. よくある質問Q&A

Q1. 特定口座(源泉徴収あり)の人は確定申告をしなくていい?
A. 原則不要ですが、損益通算や損失繰越を活用したい場合は申告が必要です。配当金の課税方法を最適化する場合も、確定申告を検討しましょう。

Q2. ふるさと納税のワンストップ特例を申請していたが、後から医療費控除を受けるため確定申告をするとどうなる?
A. ワンストップ特例は自動的に無効となります。すべての寄付先の分を寄附金控除欄に入力してください。

Q3. 定額減税は年末調整済みなのに、なぜ確定申告でも入力が必要?
A. 確定申告を行う人は、年末調整とは別に確定申告書に減税情報を記載する義務があります。入力しない場合、最終的な計算から抜け落ちる可能性があります。

Q4. 新NISA口座内での売買損益も申告対象?
A. 新NISA口座内での取引は非課税枠内であれば申告不要ですが、非課税枠を超えた部分一般課税口座との損益通算を検討する場合などは別途申告が必要になります。

Q5. e-Taxを使うのが初めてで不安です。紙での提出はだめ?
A. 紙での提出も可能ですが、e-Taxなら郵送や税務署窓口へ出向く手間が省けるのでおすすめです。マイナンバーカードとスマホがあれば手続きが簡素化し、還付金も紙提出より早く振り込まれる傾向があります。


8. まとめ・免責事項

2025年の確定申告(2024年分所得)は、新NISAで投資枠拡大が進むなか、株式投資家にとって大きな転換期となる可能性があります。さらに、定額減税の適用により、配偶者や扶養家族がいる世帯では大きな節税効果が期待できます。

一方で、複数の証券会社を利用している方は、年間取引報告書を見ながらの入力作業が煩雑になるケースも少なくありません。申告内容に誤りがあると損益通算や損失繰越が適切に行われず、最終的に払い過ぎ・もらい過ぎとなる場合もあります。e-Taxでの入力に慣れないうちは、画面上のガイドと手元の書類を照らし合わせ、ミスを最小限に抑えましょう。

  • 定額減税は必ず入力
  • ふるさと納税のワンストップ特例は確定申告をするなら無効
  • 損益通算・損失繰越は申告分離課税の選択が必須

これらのポイントを押さえておけば、大きなトラブルなく確定申告を完結できるはずです。


免責事項

本記事は、元IT大手上場企業財務経理幹部であるエンジョイ経理編集長が、税理士への確認を取りながら執筆したものですが、内容の正確性や最新性、適法性を保証するものではありません。税制改正や個々人の状況によって最適な方法は異なります。実際の申告や税務処理にあたっては、最新の法令や国税庁の情報を必ずご確認いただき、必要に応じて税理士や公的機関にご相談ください。本記事の内容を利用したことにより生じたいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いかねます。


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