税率確認で迷わない!
法人税・住民税・事業税などの
最新情報を簡単に探す方法
はじめに
エンジョイ経理編集長(以下「編」):
皆さん、こんにちは。エンジョイ経理編集長です。IT大手上場企業で財務経理を長年担当してきましたが、実務で「税率の確認方法」が分からず苦労したことはありませんか? 今回は、顧問税理士の先生をお呼びし、法人税・地方法人税、住民税(都道府県民税・市町村民税)、事業税、特別法人事業税などの税率を“どのように調べたらいいか”に特化して解説していきます。
顧問税理士(以下「税」):
こんにちは、エンジョイ経理編集長の知り合い税理士です。経理や財務のご担当者からも「税率はどこを見れば載っているのか」「計算式はわかったが、結局どのサイトをチェックしたらいいのか分からない」などのご相談をよく受けます。今回はそこを中心に、初心者の方でもスムーズに情報を見つけられる具体的な方法をお伝えします。ぜひ参考にしてください。
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法人税・地方法人税の確認方法
法人税・地方法人税は全国共通
編:
まずは国税である法人税と地方法人税について教えてください。実効税率の計算をする際、地域差はないと聞きましたが。
税:
そうですね。法人税も地方法人税も全国一律です。会社の所在地によって変わることはありません。ただし、毎年の税制改正などで税率が変わることがあるので、最新年度の税率をチェックする必要があります。
最新の税率情報の探し方
編:
具体的にどんなサイトや資料を見れば、最新の税率が確認できるのでしょうか?
税:
たとえば以下の方法で調べると簡単ですよ。
- 国税庁ホームページを確認
- 国税庁のトップページから「税率」や「法人税」に関する情報を探す
- 法令解釈通達やパンフレットなどに掲載されている場合が多い
- 「法人税率 ○○年度」などで検索
- 検索エンジン(Google等)で「法人税率 令和◯年」「地方法人税率 最新」などキーワード検索
- 上位に出てくる監査法人・税理士法人・会計事務所系のサイトに“税率一覧表”がまとまっていることが多い
- 財務省のホームページ
- 税制改正の概要や法案成立後の情報を掲載。税率がいつからどのように変わったか分かる
編:
企業の決算期や申告時期で、どの年度の税率が適用されるか分かれることもありますよね?
税:
そうですね。必ず自社の事業年度(開始・終了時期)に対応する税率を確認してください。「何月期決算の会社に、どの改正がいつから適用されるか」をまとめた早見表を用意している事務所もあります。そこをしっかり押さえて、誤った年度の税率を使わないように注意しましょう。
住民税(都道府県民税・市町村民税)の確認方法
東京都以外の都道府県
編:
次は、住民税(法人住民税)の確認方法です。法人住民税って「都道府県民税」と「市町村民税」を合わせたもの、と聞きましたが?
税:
その通りです。たとえば神奈川県の場合だと「法人県民税」が都道府県民税にあたり、さらに横浜市なら「法人市民税」が市町村民税という位置付けになります。所在地ごとに確認する必要があるんですね。
編:
どのように検索すればいいか、具体的に教えていただけますか?
税:
こういったキーワードで検索するとスムーズです。
- 「○○県 法人県民税 税率」
- 「○○府 法人府民税 税率」
- 「○○市 法人市民税 税率」
たとえば、「大阪府 法人府民税 税率」で調べると、大阪府の公式サイト(府税事務所や府庁のページ)などが上位に表示されます。そこで最新の標準税率と超過税率を確認可能です。市町村民税も同じ検索要領で「大阪市 法人市民税 税率」と探します。
編:
自治体の公式ページ以外にも便利なサイトってあります?
税:
大手税理士法人や会計事務所が、都道府県・市町村ごとの税率一覧表をまとめてくれているケースがあります。自治体のページを個別に探すよりも早い場合があるので、**「○○県 法人住民税 税率 一覧表」**など、少し広めにキーワードを指定して検索すると便利ですよ。
東京都の法人都民税
編:
東京都に関しては、「法人都民税」と呼ぶと伺いました。どこを見ればいいんでしょう?
税:
東京都の場合は、「東京都主税局」のサイトを確認しましょう。ここに法人都民税の標準税率や超過税率が掲載されています。
それだけでなく、市町村民税を合わせた住民税の取扱いもまとめられているので、会社が23区なのか、多摩地域(八王子市など)なのかによって項目が異なる点には注意してください。
23区の場合
編:
23区の法人口については、市民税に相当するものも都が一括管理しているという話を聞きました。
税:
はい、23区は一般的に市町村民税が“区”ではなく“都”に集約されています。これが他の地域と違う点ですね。具体的な税率や計算方法は、**「法人都民税 23区 税率」**などで検索すると、東京都主税局の該当ページがヒットします。そちらを参考にしてください。
事業税と特別法人事業税の確認方法
事業税の標準税率・超過税率
編:
次は事業税ですね。こちらも都道府県ごとに標準税率・超過税率が設定されているとか。
税:
そうです。事業税は会社の所得に対して都道府県が課す税金なので、やはり所在地の自治体公式サイトを確認することになります。
- 「○○県 法人事業税 税率」
- 「○○府 法人事業税 税率」
- 「東京都 法人事業税 税率」
などと検索すると、標準税率・超過税率が一覧表で示されています。大企業であれば外形標準課税の適用があるかどうかもページ内で区分されている場合が多いです。
編:
段階的に所得が増えると税率が上がることもありますか?
税:
はい、一定の所得水準を超えると税率が高くなる構造だったり、外形標準課税が適用されると別の算出方法が追加されたりします。
自社の資本金・所得水準に応じた正しい区分を必ず確認し、どの欄の税率を使うのかを間違えないようにしましょう。
特別法人事業税
編:
あと、最近導入された「特別法人事業税」というものがありますが、これはどこで確認するんでしょうか?
税:
都道府県の事業税をまとめているページに**「特別法人事業税」の項目がある場合が多いです。中には別ページで紹介されているケースもあるので、「○○県 特別法人事業税 税率」**などで検索してみてください。
この特別法人事業税は、簡単にいうと法人事業税の一部を国税化して再配分する仕組みなんですが、実際に納税するのは都道府県に一括という取り扱いが多いですね。法定実効税率の計算時には事業税と合わせて考慮する必要があるので、必ず忘れずにチェックしてください。
外形標準課税との関係
適用対象の確認
編:
外形標準課税は、資本金が1億円超の企業に適用されるイメージがありますが、具体的にはどうすれば確認できますか?
税:
まずは自社の資本金が1億円を超えているかどうか、それに加えて従業員数など条件があるかどうか、地方税法や自治体のHPで確認してください。外形標準課税が適用される場合は、**所得割だけでなく「付加価値割」「資本割」**などが発生します。
自治体のHPでは「外形標準課税が適用される法人の方へ」などの見出しで詳細が記載されているはずです。そこに税率表や計算例が載っていることが多いので、そちらを参考にするのがおすすめですね。
大企業の留意点
編:
大企業の場合、外形標準課税によって「どの部分が損金に算入できるか」など計算が複雑になりがちですよね。
税:
はい、そこが混乱しやすいポイントです。法人事業税は損金算入が可能な場合がありますが、外形標準課税の一部は対象外だったりします。そのため、自治体の公式サイトや専門家(税理士・公認会計士)と相談しながら、自社がどの要素をどう計算すべきかをはっきりさせましょう。
もし公式サイトを見ても分からない場合、都道府県の税務担当部署や税理士会などの相談窓口に問い合わせると案外丁寧に教えてくれることも多いですよ。
計算時に気をつけたいポイント
事業税の損金算入効果
編:
改めて確認ですが、事業税は法人税の計算上、損金に入れられる部分があると聞きました。
税:
そうです。事業税を支払うと、その分が経費扱い(損金算入)となり、最終的な法人税負担が減る可能性があります。これを考慮せずに各税率を単純合計すると、実際より高い税率になってしまいます。
法定実効税率を計算する際は、**「事業税の損金算入効果」**を控除する形で調整する仕組みです。そのための詳細は会計基準や地方税法上の規定、または専門家の解説を見ながら進めましょう。
住民税の均等割
編:
住民税には「均等割」っていう固定部分がありますよね。これは検索してもすぐ出てこない場合があるのですが…。
税:
均等割は所得額に関係なく課せられる定額部分なので、「法定実効税率」(=所得に比例する税率)を求める計算には通常含めません。自治体のHPには「均等割一覧」などが別途記載されていることが多いですね。
赤字でもかかる部分なので、決算前後のキャッシュフローとしては把握しておく必要がありますが、実効税率計算とはまた別の話と考えてください。
改正情報のキャッチアップ
編:
最後に、地方税はよく制度が変わる印象がありますが、都度どうやってキャッチアップすればいいのでしょうか?
税:
ベストは自治体や国の公式情報を定期的にチェックすることです。大手監査法人や税理士法人も、毎年「税制改正セミナー」などを開催しており、そこでは各地方税の改正点もまとまっています。
あとは大手新聞社の経済面や専門雑誌、各税理士会のWebニュースなどで「○年○月から超過税率を変更」などが告知される場合があります。自社の所在地に関する情報には常にアンテナを張っておくと安心ですね。
実務で役立つ情報の探し方:検索キーワードの例
編:
実際に検索するなら、具体的にどんなキーワードを使えばいいでしょう?
税:
実務担当者の皆さんには、以下のキーワードをブックマーク感覚で覚えておいていただくと便利です。
- 法人税率
- 「法人税率 ○○年度」
- 「地方法人税率 ○○年度」
- → 国税庁、財務省、監査法人・税理士法人サイト
- 事業税(東京都以外)
- 「○○県 法人事業税 税率」
- 「○○府 法人事業税 税率」
- → 都道府県公式サイト
- 東京都の事業税
- 「東京都主税局 法人事業税 ○○年度」
- 「法人都民税 都税事務所 税率」
- → 東京都主税局の公式ページ
- 特別法人事業税
- 「特別法人事業税 税率 ○○県」
- 「○○府 特別法人事業税 税率」
- → 事業税の説明ページに付随している場合が多い
- 住民税(都道府県民税・市町村民税)
- 「○○県 法人県民税 税率」
- 「○○市 法人市民税 税率」
- 「大阪府 府民税 税率」「大阪市 市民税 税率」
- → 自治体公式サイト、または税理士法人のまとめサイト
- 東京23区
- 「東京都主税局 法人都民税 23区」
- 「23区 法人事業税 税率」
- 外形標準課税
- 「外形標準課税 法人事業税 税率」
- 「外形標準課税 適用要件」
- → 自治体の公式サイトや財務省関連資料
編:
ありがとうございます。これなら最初にどのキーワードで検索すればいいか迷わなそうですね。
税:
そうですね。あとは大手監査法人(四大監査法人など)や大手税理士法人のホームページで「税率一覧」PDFを公開している場合があります。公式サイトの情報をいちいち見に行かなくても、一括でチェックできるので活用してみてください。
免責事項
本記事は法人税・地方法人税・住民税・事業税などの税率確認方法を一般的に紹介したもので、特定の企業や個人の状況に合わせた専門的アドバイスを目的としたものではありません。
税制改正や自治体ルールの変更、個別の事情により実際の適用内容が異なる場合があります。最新・正確な情報は必ず国税庁や各自治体の公式サイト、または税理士や公認会計士などの専門家にご確認ください。本記事を参考に行動された結果についての責任は負いかねますので、あらかじめご了承ください。