【2025年版】SOC 2の認証機関(監査法人)一覧と後悔しない選び方

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SOC 2の認証機関(監査法人)を選ぶ 内部統制
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はじめに:なぜ今、あなたの会社に「SOC 2」が必要なのか?

クラウドサービスやSaaSの利用がビジネスの常識となった今、私たちは自社の重要な情報を、意識的・無意識的に外部の事業者に預けています。しかし、その預けているサービスのセキュリティは、本当に信頼できるのでしょうか?

このような背景から、外部サービスのセキュリティや内部統制の信頼性を、客観的な第三者が証明する「SOC 2(ソックツー)保証報告書」の価値が、急速に高まっています。

特に、セキュリティ要件の厳しい金融機関や上場企業との取引では、「SOC 2を取得していますか?」という一言が、ビジネスの成否を分ける“合言葉”になりつつあります。この問いに「はい」と答えられなければ、優れたサービスであっても商談のテーブルにすらつけない、そんな時代が到来しているのです。

「そろそろSOC 2の取得を考えたいけど、何から始めれば…」

「SOC 2の認証機関って、そもそもどうやって探せばいいの?」

この記事は、そんなお悩みを持つ企業担当者様のために、SOC 2の基本から、国内の主要な認証機関(監査法人)、そして自社に最適なパートナーを見つけるための具体的な選び方まで、専門家の視点で分かりやすく解説します。この記事を読めば、SOC 2取得への道筋が明確になるはずです。


SOC 2とは?今さら聞けない基本とSOC 1との違い

まず、「SOC 2とは何か?」という基本をしっかり押さえましょう。言葉は知っていても、その本質を正しく理解することが最初のステップです。

SOC 2の本質は「信頼性の証明書」

SOC 2の認証機関(監査法人)を選ぶ

SOC 2とは、米国公認会計士協会(AICPA)が定めた国際的な保証報告書の基準です。難しく聞こえますが、要するに「あなたの会社が提供するサービスの管理体制は、信頼できますよ」ということを、第三者である認証機関(公認会計士や監査法人)がプロの目で評価し、お墨付きを与えてくれる「信頼性の証明書」だとお考えください。

この評価は「トラストサービス原則(TSC)」という5つの基準に基づいて行われます。

  1. セキュリティ (Security):システムを不正アクセスから保護する体制。(必須項目
  2. 可用性 (Availability):システムを安定して利用できる体制。
  3. 処理のインテグリティ (Processing Integrity):システム処理が正確に行われる体制。
  4. 機密保持 (Confidentiality):預かった情報を機密として守る体制。
  5. プライバシー (Privacy):個人情報を適切に取り扱う体制。

企業は、必須である「セキュリティ」に加え、自社のサービス内容に応じて他の4つから必要な項目を選んで評価を受けます。

SOC 1との違いは「目的」

よく混同される「SOC 1」との違いは、評価の目的です。

  • SOC 1財務報告に影響する内部統制を評価(例:給与計算代行)
  • SOC 2非財務情報(セキュリティなど)に関する内部統制を評価(例:SaaS、データセンター)

あなたのサービスが顧客の「財務諸表」に直接関わるならSOC 1、顧客の重要な「データ」を預かるならSOC 2、と覚えておくと分かりやすいでしょう。現代のITサービスの多くはSOC 2の対象となります。


SOC 2取得が求められる主な企業・業界

では、具体的にどのような企業でSOC 2の取得が求められているのでしょうか。もしあなたの会社が以下に当てはまるなら、SOC 2は事業成長のための重要な一手となります。

  • クラウドサービス(SaaS・PaaS・IaaS)事業者顧客データを預かるSaaSベンダーにとって、SOC 2はエンタープライズ企業と取引するための「入場券」です。
  • データセンター運営会社物理セキュリティとシステムの可用性という、事業の根幹の信頼性を示すために不可欠です。
  • BPO(業務委託)事業者人事・経理などの業務を請け負う上で、顧客の機密情報を適切に管理している証明となります。
  • 金融系システムベンダー金融機関の厳格なセキュリティ要件を満たしていることを客観的に示すための標準要件です。
  • ECプラットフォーム・決済サービス提供者大量のカード情報や個人情報を扱うため、ユーザーからの信頼獲得に直結します。
  • 医療情報システム提供者電子カルテなど、極めて機微な医療情報のプライバシー保護体制を証明するために重要です。

【2025年版】日本国内のSOC 2認証機関(監査法人)一覧

ここからは、日本国内でSOC 2保証報告書の発行に対応している主要な認証機関(監査法人)をご紹介します。これらの機関は、大きく「BIG4」と呼ばれるグローバルな大手監査法人と、柔軟性に富んだ中堅・特化型監査法人に分けられます。

監査法人名(認証機関)特徴対応分野の例
【BIG4監査法人】
有限責任監査法人トーマツ (Deloitte)グローバル基準の監査に強み。大規模クラウド事業者や金融機関向けの実績が豊富。クラウド、SaaS、データセンター
PwCあらた有限責任監査法人 (PwC)IT・セキュリティ領域のコンサルティングに定評。リスク管理の視点からのアドバイスが強み。SaaS、BPO、ITサービス全般
有限責任 あずさ監査法人 (KPMG)伝統的にシステム監査に強く、統制の文書化から監査まで一気通貫での支援が可能。非財務情報全般、情報システム
EY新日本有限責任監査法人 (EY)高い監査品質と信頼性が特徴。クラウドセキュリティやサプライチェーンリスクに深い知見。クラウド、サプライチェーン、通信
【中堅・特化型監査法人】
三優監査法人 (BDO Japan)中堅・スタートアップへの伴走型支援に強み。内部統制の文書化支援も手厚い。SaaS、クラウド、スタートアップ
仰星監査法人独立系ならではのコスト効率と機動性が魅力。中小・中堅企業が相談しやすい存在。中小・中堅企業、Webサービス

認証機関(監査法人)選びで失敗しないための4つのチェックポイント

どの認証機関に依頼するかは、プロジェクトの成否を左右する重要な決断です。以下の4つのポイントを必ずチェックし、自社に最適なパートナーを見つけましょう。

① 報告書タイプ「Type 1」「Type 2」への対応

SOC 2には2つの報告書タイプがあります。

  • Type 1:時点評価ある一日の設計を評価。短期間・低コストで取得でき、初回取得におすすめ。
  • Type 2:期間評価6ヶ月〜1年の運用状況を評価。より高い信頼性を示せるため、多くの顧客が要求するのはこちら。

【チェックポイント】

まずはType 1を取得し、翌年にType 2へ移行するのが一般的な進め方です。このロードマップに対応し、移行支援の実績が豊富な認証機関(監査法人)を選びましょう。

② 「SOC 2+(拡張報告)」への対応力

海外展開や特定業界(医療など)でのビジネスでは、HIPAA(米国医療情報保護法)やGDPR(EUデータ保護規則)といった特定の規制への準拠証明が求められることがあります。これをSOC 2と同時に評価するのが「SOC 2+」です。

【チェックポイント】

将来的な事業展開を見据え、こうした拡張報告に対応できる知見や実績を持つ認証機関かを確認しておくことは、ビジネスの成長を止めないための重要な布石となります。

③ 自社の「業種」への理解度と実績

監査人があなたのビジネスモデルや業界特有のリスクをどれだけ理解しているかで、監査の質とスピードは大きく変わります。SaaSビジネスとデータセンターでは、見るべきポイントが全く異なるからです。

【チェックポイント】

問い合わせの際に「弊社の〇〇というビジネスで、特に重要な監査ポイントは何だと思いますか?」といった具体的な質問をしてみましょう。その回答の的確さで、相手の専門性を見極めることができます。

④ 「コスト」と「対応」のバランス

監査費用は決して安くありません。企業の規模や体力に合った選択が重要です。

  • 大手(BIG4): グローバルな信頼性は抜群ですが、費用は高額な傾向。
  • 中堅・特化型: コストパフォーマンスに優れ、柔軟でスピーディーな対応が期待できる。

【チェックポイント】

見積金額だけでなく、「その費用でどこまで支援してくれるのか」「担当者と密にコミュニケーションが取れるか」といったサービスの中身を比較することが重要です。複数の認証機関から話を聞き、最もバランスの取れたパートナーを選びましょう。


各認証機関(監査法人)の公式サービスリンク集

各機関の公式サイトで、より詳細な情報を確認してみてください。


まとめ:信頼という名の「投資」で、未来のビジネスを掴む

SOC 2保証報告書の取得は、単なるコストではありません。それは、自社のサービスに対する「信頼への投資」であり、グローバル市場で戦うための力強い武器です。

最適な認証機関(監査法人)を選ぶことは、その投資効果を最大化するための第一歩。

  • グローバルな信頼性を重視するなら大手監査法人
  • コスト効率と柔軟なサポートを求めるなら中堅・特化型監査法人

どちらが良いというわけではなく、あなたの会社のステージや事業戦略に合っているかどうかが最も重要です。

まずは気になる2〜3社に問い合わせ、担当者と直接話してみることから始めましょう。あなたの会社に最適なパートナーを見つけ、SOC 2という信頼の証を手にすることで、ビジネスを新たなステージへと押し上げてください。


免責事項

本記事は、2025年7月時点の公開情報に基づき、一般的な情報提供を目的として作成しております。記事の内容の正確性については万全を期しておりますが、その完全性、正確性、最新性を保証するものではありません。

各監査法人のサービス内容や費用等は変更される可能性があります。実際に契約を行う際には、必ず各監査法人の公式ウェブサイトをご確認いただくか、直接担当者にお問い合わせの上、最新かつ正確な情報をご確認ください。

本記事は特定の監査法人への依頼を推奨または勧誘するものではありません。認証機関の選定に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。本記事の情報に起因して生じたいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

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