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インボイス制度の出張旅費特例を徹底解説!「インボイス不要」の条件と実務上の注意点

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インボイス制度の出張旅費特例を徹底解説!「インボイス不要」の条件と実務上の注意点 税金実務教育

こんにちは、公認会計士兼税理士の坂本です。

インボイス制度がスタートして以来、多くの事業者様から「これってどうなるの?」というご質問をいただくのが、まさに「出張旅費」に関する特例です。「ホテル代やタクシー代なのに、インボイスがなくても消費税の仕入れ税額控除が取れるって、本当ですか?」——こんな違和感や不安を感じている方も少なくないのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、所定の条件を満たせば、インボイスがなくても消費税の仕入れ税額控除の適用を受けることができます。

この「出張旅費特例」は、経理担当者の方々にとって、実務上非常に重要なポイントになります。しかし、その内容が多岐にわたり、他の税制度との関係性も複雑に絡み合っているため、理解を深めるのが難しいと感じるかもしれません。

ご安心ください。この記事では、インボイス制度における出張旅費特例について、その適用要件から実務上の具体的な注意点、さらには所得税や法人税との関係性まで、「これを見ればすべて分かります!」 と断言できるほど徹底的に深掘りして解説していきます。

この記事を最後までお読みいただければ、あなたの抱える不安は解消され、自信を持って出張旅費の経費処理を進められるようになるはずです。さあ、一緒にインボイス制度の出張旅費特例の全貌を解き明かしていきましょう。

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1. インボイス制度における「出張旅費特例」とは?基本から徹底理解

インボイス制度の出張旅費特例を徹底解説!「インボイス不要」の条件と実務上の注意点

まず、インボイス制度が導入された背景と、なぜ「出張旅費特例」というものが設けられているのか、その基本的な考え方から理解を深めていきましょう。

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、消費税の仕入れ税額控除の適用を受けるためには、原則として「適格請求書(インボイス)」の保存が必要となる制度です。インボイス制度の経過措置は2026年9月末で終了し、その後は本記事で解説する特例を除き、原則通りインボイスが必要となるため、制度の全体像と今後の動向を理解しておくことが重要です。しかし、事業者にとってすべての取引でインボイスを受け取ることが現実的に難しい場面もあります。特に、出張旅費のような小口かつ多様な支出においては、インボイスの取得が困難なケースが多発します。そうした実情に配慮し、事務負担を軽減するために設けられたのが「出張旅費特例」なのです。

この特例は、具体的に以下のものを指します。

> 事業者が従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当等)については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存により、消費税の仕入れ税額控除が可能になる

この一文に、インボイス制度における出張旅費特例の核となる情報が凝縮されています。一つずつ詳しく見ていきましょう。

1.1. 出張旅費特例の対象となる範囲

特例の対象となるのは「出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当等」です。これらは、従業員が会社の業務遂行のために支出する費用であり、通常、その経費の性質上、インボイス発行事業者が発行するインボイスを都度取得することが難しいものが含まれます。

特に重要な点として、この「従業員等」には、会社に正式に入社する前の「内定者」も含まれるという点です。例えば、内定通知を受けて入社誓約書等を提出している一般的な内定者が、会社説明会や研修のために発生した旅費についても、この特例の適用を受けることが可能です。これは、将来の従業員として会社と密接な関係にあるとみなされるためです。経理処理の際には、内定者の旅費も忘れずにこの特例の対象として検討しましょう。

1.2. 「帳簿のみの保存」で仕入れ税額控除を受けるための要件

出張旅費特例の最大のポイントは、「帳簿のみの保存」で仕入れ税額控除が認められるという点です。これは、原則であるインボイスの保存が不要になることを意味します。ただし、そのためには、通常の帳簿記載事項に加えて、特定の情報を追記する必要があります。

【通常の帳簿記載事項】
1. 取引の相手方の氏名または名称
2. 取引年月日
3. 取引内容
4. 税率の異なるごとに区分した支払い対価の額

これらの情報に加えて、出張旅費特例の適用を受ける旨を帳簿に記載しなければなりません。

【出張旅費特例適用時の追加記載事項】

  • 「出張旅費特例の適用を受ける旨」

例えば、帳簿の摘要欄に「出張旅費特例適用」や「旅費特例」といった記載をすることが考えられます。

もし、貴社でこの出張旅費特例以外にも、インボイスが不要で仕入れ税額控除が取れる他の特例(例えば後述する「公共交通機関特例」など)を適用する場合があるならば、それぞれを区別するための社内ルールを設けることをお勧めします。例えば、出張旅費特例には「☆」、公共交通機関特例には「△」といった記号を定めて、帳簿にその記号を記載することで、事務処理の効率化を図ることができます。量が非常に多い場合でも、このような工夫で事務負担を大きく軽減できるでしょう。

2. 特例適用における最重要ポイント:「通常必要と認められる」基準とは?

出張旅費特例を適用する上で、最も重要な要件の一つが「通常必要と認められる出張旅費等」であるかどうかです。この「通常必要と認められる」という表現は、具体的な金額が明記されていないため、判断に迷う方が多いかもしれません。

この判定にあたっては、所得税基本通達9-3という国税庁の通達が基準となります。これは、所得税法上非課税となる旅費の範囲を定めたもので、消費税の仕入れ税額控除における出張旅費特例の判断にも準用されることになります。

所得税基本通達9-3には、以下のような内容が記載されています。

> 「その旅行に通常必要とされる費用の支出に当てられると認められる範囲内の金品」

やはり具体的な金額は示されていませんが、以下の2つの判断基準が提示されています。

2.1. 「通常必要と認められる」を判断する2つの基準

1. 支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
* これは、社内で定められている旅費規程が適切かどうか、という観点です。例えば、「一般社員は1泊〇〇円まで、課長職は〇〇円まで、役員は〇〇円まで」といったように、役職や職位に応じて上限額が設定されている場合、その上限額が社内全体で合理的なバランスを保っているかが問われます。特定の役職者だけが極端に高額な旅費を支給されているようなケースは、この基準を満たさない可能性があります。

2. その社内だけでなく、同業他社や同規模の法人と比較して、社会通念上相当な金額であるかどうか。
* これは、貴社の旅費規程や実際の支給額が、一般的な水準から大きく逸脱していないか、という観点です。例えば、宿泊費の平均が1泊1万円程度の地域で、1泊5万円のホテルを常に利用しているといったケースは、社会通念上相当とは認められない可能性があります。あくまで「常識的に考えて」適正な範囲内であるかどうかが問われることになります。

結局のところ、具体的な金額が示されていないため、「常識的に考えて」という判断が必要になってくるわけですが、これは非常に悩ましい点です。もし貴社で旅費規程が未整備であったり、金額設定に不安がある場合は、税理士や税務署に事前に相談し、アドバイスを得ることを強くお勧めします。特に日当の金額設定については、円安や物価高騰の影響も考慮した日当設定のコツを参考に、役職別支給で無理なく節税する具体策を検討することも有効です。

すでに適切な旅費規程を作成・運用されている企業であれば、その規程に基づいて旅費を支給している限り、基本的にこの要件を満たしていると判断されるでしょう。旅費規程は、従業員の公平性を保つだけでなく、税務調査時の重要な証拠資料にもなりますので、定期的な見直しと社員への周知徹底が不可欠です。

3. 実務で役立つ!出張旅費特例の具体的な注意点と応用

ここからは、出張旅費特例を実務で適用する際の具体的な注意点や、よくある疑問について深掘りしていきます。特に、支払い方法によって適用可否が変わる点や、他の特例との関係性は、経理担当者が最も混乱しやすいポイントです。

3.1. 従業員への支払い方法と特例の適用

従業員への出張旅費の支払い方法は、主に以下の2パターンが考えられます。

1. 実費精算: 従業員が立て替えた費用(ホテル代、交通費など)を、後日会社が精算・支給する。
2. 出張ごとに定額支給(日当など): 出張日数や距離に応じて、一定額を事前にまたは後から支給する。

「実費精算の場合、従業員がインボイスを受け取って会社に提出しないとダメなのでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、ご安心ください。どちらの支払い方法を取った場合でも、上記の「通常必要と認められる出張旅費等」の要件を満たせば、出張旅費特例の適用は可能です。

つまり、実費精算の場合であっても、従業員がホテルやタクシーで受け取った領収書にインボイスの要件が満たされていなくても、会社の帳簿に「出張旅費特例適用」の旨を記載すれば、仕入れ税額控除が認められるということです。

ただし、一点注意が必要です。出張旅費特例は、あくまで「所得税法上で非課税となる範囲」の旅費に適用されます。もし旅費規定の上限を超える高額な支出があった場合、その非課税枠を超えた部分については、所得税法上、従業員の給与として課税される可能性があります。そして、消費税の仕入れ税額控除の観点からは、非課税枠を超えた部分は特例の対象外となるため、原則としてインボイスが必要となります。

3.2. 会社が直接支払った場合の注意点

ここまで見てきた出張旅費特例は、「事業者が従業員等に支給する」 ものが対象でした。つまり、従業員が一時的に立て替えて、後日会社から精算されるケースを想定しています。

では、会社が直接支払った場合はどうなるのでしょうか?例えば、以下のようなケースです。

  • コーポレートカードでホテル代を直接決済した。

 

  • 会社が旅行会社を通じて、従業員の航空券やホテルをまとめて予約・決済した。

このような場合、残念ながら出張旅費特例の適用はありません。なぜなら、これらは「従業員に支給する旅費」ではなく、会社が直接役務提供を受けて支払った対価とみなされるためです。

したがって、会社が直接支払った場合には、原則通りインボイスの保存が必要となります。インボイスがなければ、その支出に係る消費税の仕入れ税額控除は受けられません。

ただし、この原則には例外もあります。それが次に解説する「公共交通機関特例」です。

3.3. 知っておきたい「公共交通機関特例」との違いと活用法

会社が直接支払った場合でも、特定の条件を満たせばインボイスなしで仕入れ税額控除が認められる特例があります。それが「公共交通機関特例」です。

この特例は、以下の要件を満たす場合に適用されます。

  • 適格請求書発行事業者ではない者(免税事業者など)から受ける3万円未満の公共交通機関による旅客の運送

ポイントは以下の2点です。

  • 「3万円未満」であること: 1回の取引(1枚の領収書)あたりの金額が3万円未満であることが条件です。例えば、1人分の新幹線代が2万円だったとしても、2人分の領賃をまとめてもらい、合計が4万円になった場合は、3万円以上となるためこの特例は適用できません。

 

  • 「公共交通機関による旅客の運送」であること: 電車、バス、船などが該当します。

重要なのは、タクシーや飛行機はこの公共交通機関特例の対象にはならないという点です。タクシーや飛行機は、不特定多数の利用者を対象とする一般的な公共交通機関とは性質が異なると考えられているためです。

この公共交通機関特例を適用する場合も、出張旅費特例と同様に、帳簿にその旨の記載が必要となります。例えば、「公共交通機関特例適用」などと記載しましょう。

【出張旅費特例と公共交通機関特例の使い分け】

  • 従業員が立て替えて精算する場合: まず「出張旅費特例」の適用を検討します。非課税枠内であればインボイス不要です。

 

  • 会社が直接支払う場合: 原則インボイスが必要ですが、3万円未満の電車、バス、船の運賃であれば「公共交通機関特例」の適用を検討できます。

このように、どちらの特例が適用できるのか、支払い方法や交通手段によって判断が変わるため、実務では混同しないように注意が必要です。

3.4. 消費税だけじゃない!法人税・所得税との関係性

インボイス制度は「消費税」に関するルールですが、出張旅費の経費処理においては、法人税や所得税との関係も無視できません。

出張旅費特例によって、消費税の仕入れ税額控除の観点からはインボイスが不要になったとしても、法人税や所得税の計算において「経費」として認められるためには、原則として領収書や証憑書類の保存が必須です。

これは、税務調査が入った際に、その支出が本当に事業活動に必要なものであったか、適切な金額であったかを証明するためです。領収書がないと、税務署は「本当にその支出があったのか」「架空の経費ではないか」と疑念を抱く可能性があります。

多くの会社では、不正防止の観点からも、経費精算時には領収書の提出を義務付けていることでしょう。インボイス制度が始まったからといって、そのルールを変える必要はありません。むしろ、消費税のインボイスは不要でも、法人税・所得税のために領収書はきちんと保管しておく、という意識が重要ですし、経理業務を円滑に進める上で不可欠です。

つまり、出張旅費特例は、あくまでも「インボイスがもらえなかった場合の消費税の仕入れ税額控除に関する救済措置」と捉えるべきです。法人税や所得税における経費計上とは、別個のルールがあることを常に意識しておきましょう。

4. ケーススタディ:こんな時どうする?出張旅費特例の疑問を解消

ここまで特例の概要や注意点を見てきましたが、実際の業務では様々な状況が想定されます。いくつかの具体的なケースを想定して、インボイス制度における出張旅費特例の適用可否を考えてみましょう。

4.1. ケース1:日帰り出張でのランチ代や喫茶代

質問: 日帰り出張で、従業員が立ち寄った喫茶店での打ち合わせ費用やランチ代は、出張旅費特例の対象になりますか?

回答: 一般的に、日当とは別に実費精算されるランチ代や打ち合わせの喫茶代は、出張旅費特例の直接の対象とはなりません。これらは「会議費」や「接待交際費」など、別の勘定科目で処理されることが多く、インボイスが必要となるのが原則です。

ただし、日当の一部として、食事代や小口の交通費を含んで定額支給している場合は、その日当が出張旅費特例の「日当」に該当すると判断できることがあります。この場合、インボイスは不要です。重要なのは、その支給が「通常必要と認められる範囲」であるかどうかです。

4.2. ケース2:海外出張における旅費

質問: 海外出張の場合も、インボイス制度の出張旅費特例は適用できますか?

回答: 海外出張に要した旅費は、消費税の課税対象外(不課税取引)となるため、そもそもインボイス制度の適用対象外です。 消費税は日本の国内における消費に対して課される税金であり、海外での取引は消費税の対象となりません。したがって、インボイスの有無を気にする必要はありません。仕入れ税額控除の適用もありませんが、消費税の課税対象とならないため、実質的に不利になることはありません。

4.3. ケース3:出張中のプライベートな支出

質問: 出張先で、業務とは関係のない個人的な飲食や買い物をしてしまった場合、その分の領収書も会社に提出して特例で処理できますか?

回答: いいえ、できません。 出張旅費特例は「業務のために通常必要と認められる」旅費にのみ適用されます。個人的な支出は業務とは無関係であり、旅費規定の範囲外となります。従業員が誤って提出してきた場合は、その部分を除外して精算するか、従業員に返還を求める必要があります。税務調査で指摘されるリスクを避けるためにも、公私混同は厳しく区別しましょう。

4.4. ケース4:内定者の出張旅費

質問: 入社前の内定者が、会社が指定した研修に参加するための交通費や宿泊費を立て替えて支払いました。これも出張旅費特例の対象になりますか?

回答: はい、内定者の旅費も出張旅費特例の対象になります。 前述の通り、「従業員等」には内定者も含まれるとされています(内定通知を受けて入社誓約書等を提出しているなど、一般的な内定者と認められる場合)。会社の事業に関連する支出であり、かつ通常必要と認められる範囲であれば、帳簿に「出張旅費特例適用」の旨を記載することで、インボイスなしで仕入れ税額控除を受けることが可能です。

5. 経理担当者が今すぐやるべきこと:社内規定の見直しと周知

インボイス制度における出張旅費特例を適切に運用し、税務上のリスクを避けるためには、経理担当者として以下の点を今すぐ確認し、必要に応じて対応を進めることが重要です。

5.1. 旅費規程の整備・見直し

貴社の「旅費規程」は適切に整備されていますか?税務調査のリスクを避け、従業員の公平性を保ちながら節税効果も高めるために、出張旅費規程の整備・見直しは非常に重要です。まず、貴社の「旅費規程」が最新の税法(特に所得税基本通達9-3)に準拠しているか、そしてインボイス制度導入後の実情に即しているかを確認してください。

  • 適正な金額設定: 役職や地域に応じた宿泊費、日当の上限額が、社会通念上適正な範囲内であるかを再評価しましょう。あまりにも高額な設定は、税務調査で否認されるリスクがあります。

 

  • 記載事項の明確化: 旅費規程には、出張の目的、期間、経路、交通手段、宿泊場所、支給される旅費の種類と金額、精算方法などを明確に記載することが重要です。

 

  • 「通常必要と認められる」の定義: 規程内で「通常必要と認められる」範囲を具体的に例示するなど、従業員が判断しやすいように工夫するのも良いでしょう。

5.2. 従業員への周知徹底

旅費規程の内容や、インボイス制度における出張旅費特例の運用ルールを、全従業員に周知徹底することが不可欠です。

  • 説明会の実施: 新しい制度やルールについて、経理部門から全従業員向けに説明会を実施し、疑問点を解消する機会を設けましょう。

 

  • マニュアルの配布: 出張旅費精算に関する詳細なマニュアルを作成し、従業員がいつでも確認できるように配布または共有しましょう。特に、インボイスの取得が不要なケースと必要なケース、領収書の保管の必要性などを明確に伝えます。

 

  • 不正防止の意識付け: プライベートな支出と業務上の支出の区別、適切な申請の重要性を改めて啓発し、不正防止への意識を高めましょう。

5.3. 帳簿記載ルールの明確化と運用

出張旅費特例を適用する際には、帳簿への「適用を受ける旨」の記載が必須です。このルールを明確にし、経理担当者だけでなく、旅費精算に関わるすべての担当者が正確に運用できるようにしましょう。

  • 記載例の提示: 帳簿への具体的な記載例(例:「旅費特例適用」「公共交通機関特例適用」など)を示し、統一された運用を促します。

 

  • 記号の活用: 事務負担軽減のために、特定の記号(例:出張旅費特例=☆、公共交通機関特例=△)を使用するルールを設ける場合は、そのルールを明確に定義し、共有しましょう。

5.4. 税理士との連携の推奨

インボイス制度は複雑であり、貴社の事業内容や規模によって最適な対応は異なります。不明点や不安な点がある場合は、顧問税理士に積極的に相談し、適切なアドバイスを受けることを強く推奨します。税務の専門家と連携することで、安心して制度対応を進めることができるでしょう。

まとめ:インボイス制度の出張旅費特例を賢く活用し、経理業務をスムーズに!

今回は、インボイス制度における「出張旅費特例」について、その詳細から実務上の注意点、そして法人税や所得税との関係性まで、徹底的に深掘りして解説してきました。

ここで、特に重要なポイントを改めて確認しておきましょう。

  • 出張旅費特例の核心: 「通常必要と認められる出張旅費等(従業員等への支給)」であれば、帳簿に特例適用旨を記載することで、インボイスなしで消費税の仕入れ税額控除が可能です。

 

  • 判定基準は所得税基本通達9-3: 「適正なバランスが保たれているか」「社会通念上相当な金額か」がポイントであり、具体的な金額基準はありません。旅費規程の整備が鍵となります。

 

  • 支払い方法による違い: 従業員が立て替える実費精算でも、定額支給でも特例は適用可能です。

 

  • 会社が直接支払う場合: 出張旅費特例は適用できません。原則インボイスが必要ですが、3万円未満の電車・バス・船の運賃には「公共交通機関特例」が適用できます。

 

  • 領収書は依然として重要: 消費税のインボイスが不要でも、法人税・所得税の経費として認められるためには、領収書等の保存が必須です。あくまでインボイスがもらえなかった場合の「救済措置」として捉えましょう。

 

  • 社内体制の整備: 旅費規程の見直し、従業員への周知、帳簿記載ルールの徹底など、社内での適切な運用体制の構築が、制度対応の成功に不可欠です。

インボイス制度は、導入当初こそ戸惑うことも多いかもしれませんが、ポイントを押さえて正しく対応すれば、過度な事務負担に悩まされることなく、スムーズな経理業務を継続できます。この特例を賢く活用し、日々の経理業務に自信を持って取り組んでいきましょう。

免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の状況における税務相談や法的なアドバイスを提供するものではありません。具体的な税務判断や適用については、必ず管轄の税務署または税理士等の専門家にご相談ください。本記事の内容に基づいて生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いかねますことをご了承ください。

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