【超簡単・消費税申告】消費税申告書の作り方・簡易課税編を徹底解説! ~初心者でもラクラク簡単作成~

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確定申告・個人

消費税申告書の作り方・簡易課税編を徹底解説!
~初心者でもラクラク簡単作成~


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はじめに

令和4年(2022年)から消費税の課税事業者になったけれど、消費税の申告書の作り方がよくわからない……。あるいは毎年作っているが、これで本当に正しくできているのか不安。そんな方は多いのではないでしょうか。

さらに2023年(令和5年)10月から始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)を見据えて、「簡易課税」で消費税申告をするイメージを早めに掴んでおきたい方も多いと思います。

本記事では、「簡易課税制度」を選択した際の消費税申告書の作り方を、初心者の方にもわかりやすく、ステップごとに解説します。実際の国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使った作成手順も詳しく紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

  • 簡易課税制度とは?
  • インボイス制度と簡易課税は両立できる?
  • 納税額が本則課税より安くなることがあるって本当?
  • 実際に消費税申告書をどうやって作るの?

こうした疑問に答えながら進めていきますので、最後まで読んでいただくことで「簡易課税による消費税申告書のポイント」をしっかりマスターできるでしょう。



消費税申告書の基本

まずは、消費税の納付義務がある「課税事業者」が提出する消費税申告書について基本を押さえましょう。

課税事業者とは

  • 消費税の課税事業者とは、一定の売上規模(基準期間の課税売上高が1,000万円超)を満たしたり、あるいは自ら「課税事業者選択届出書」を提出して選択したりすることで、消費税を納める義務がある事業者を指します。
  • 基準期間とは、個人事業主の場合2年前、法人の場合前々事業年度のことです。

例えば、個人事業主が令和4年分(2022年分)の消費税を納める必要があるかどうかを判定するなら、令和2年分(2020年分)の課税売上高が1,000万円超であれば課税事業者になります。

本則課税と簡易課税

消費税の納付額を計算する方法は、大きく**「本則課税(一般課税)」「簡易課税」**に分かれます。

  1. 本則課税(一般課税)
    • 売上に含まれる消費税(課税売上に係る消費税額)から、経費や仕入れ等にかかった消費税(課税仕入れに係る消費税額)を差し引く方法。
    • 売上の消費税・仕入れの消費税の両面で細かく集計しなければならないため、実務上の計算や証憑管理が複雑になりやすい。
  2. 簡易課税
    • 基準期間の課税売上高が5,000万円以下など、一定要件を満たした場合に選択可能。
    • 売上の消費税は同じく計算するが、仕入れ側の消費税額は**「みなし仕入れ率」**を用いて簡易計算ができる。
    • 事務処理が大幅に簡略化できるうえ、実際に本則課税よりも納税額が安くなるケースが多いとされています。

簡易課税制度とは?

簡易課税制度とは、その名の通り消費税の納付額を簡単に計算できる制度です。本則課税では経費や仕入れにかかった消費税を一つひとつ集計しますが、簡易課税では「売上の消費税×みなし仕入れ率」を仕入税額控除として認め、最終的な納税額を算出します。

  • 想定以上の経費がかかる業態の場合は本則課税の方が有利になることもありますが、一般的には簡易課税の方が事務処理が楽になり、結果的に節税になる可能性もあると言われています。
  • ただし、簡易課税を選択するにはあらかじめ「消費税簡易課税制度選択届出書」を期限内に提出する必要があるなど、いくつかの要件・注意点があります。

簡易課税を選択できる要件と注意点

選択要件

簡易課税制度を選択するには、以下の要件を満たしている必要があります。

  1. 基準期間(個人は2年前、法人は前々事業年度)の課税売上高が5,000万円以下
  2. 「消費税簡易課税制度選択届出書」を、その適用を受けたい課税期間の前日までに提出していること
    • 例えば令和5年分から簡易課税を選択したい場合、令和5年1月1日(個人事業主の場合)の前日、つまり令和4年12月31日までに届出を出す必要があります。

選択届出を出せないケース

  • 一定の事業形態によっては、簡易課税が適用できないケースもあります。例えば、一部の特定収入(不動産の譲渡など)が多い場合など、制限がかかる場合もあります。
  • 不動産販売業(譲渡を行うケース)は、みなし仕入れ率の区分には該当するものの、取引形態によっては簡易課税の適用に注意が必要です。

選択後の注意点

  • 簡易課税をいったん選択すると、原則として2年間は継続して適用しなければならない(やむを得ない事情がある場合を除く)。
  • 基準期間の売上高が5,000万円を超えた場合でも、原則として届け出を取り下げない限りは簡易課税が続くわけではなく、自動的に簡易課税の要件を満たさなくなれば、その期間は本則課税に戻る扱いとなるので注意が必要です。

インボイス制度と簡易課税の関係

インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは

  • 2023年(令和5年)10月1日から導入された新しい制度で、課税事業者間の取引ではインボイス(適格請求書)の保存が仕入税額控除の要件となります。
  • インボイスを発行できるのは、適格請求書発行事業者として登録を受けた課税事業者のみです。免税事業者のままではインボイスを発行できず、取引先から仕入税額控除を受けられないデメリットを懸念される可能性があるため、事業者によってはインボイスを機に課税事業者を選択する人も多いです。

簡易課税とインボイス制度は両立可能?

  • 結論としては、両立可能です。
  • インボイス制度は「仕入税額控除」の制度設計が大きく変わるしくみですが、簡易課税を選択している場合でも、インボイス発行事業者となることができます
  • ただし、インボイスを発行するためには課税事業者である必要があり、さらに別途「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出しなければなりません。

インボイス導入後の2割特例(負担軽減措置)

  • 免税事業者がインボイスの開始を機に課税事業者へ転換し、「簡易課税」ではなく、「2割特例(2割納税)」を適用するという方法もあります。
    • これは、売上の消費税の2割だけを納めれば良いという特例で、2023年10月1日から3年間限定(2023年10月~2026年9月まで)の経過措置です。
    • 言い換えれば、みなし仕入れ率80%相当の計算と捉えることができます。
  • もっとも、適用対象は「免税事業者がインボイス発行事業者になるために課税事業者を選択するケース」に限られます。すでに課税事業者で簡易課税を選択している方はこの2割特例の対象にはなりません。

簡易課税のメリット・デメリット

メリット

  1. 計算が圧倒的にラク
    • 本則課税では、全ての課税仕入れを精査し、消費税額を分けて記帳する必要があります。軽減税率(8%)や標準税率(10%)の区分管理も加わり、非常に複雑です。
    • 簡易課税なら、売上高に含まれる消費税さえ正確に把握できれば、あとはみなし仕入れ率を掛けるだけで仕入税額控除を計算できます。
  2. 実際の仕入や経費が少ない業態ほど有利になりやすい
    • みなし仕入れ率は事業区分ごとに設定されていますが、例えばサービス業(第5種)なら50%、小売業や卸売業(第1・第2種)なら**80%や70%**と高めの率が設定されています。
    • 実際にはそこまで経費がかかっていない場合、**「実際の経費 < みなし仕入れ率」**となり、結果的に納税額が本則課税より少なくなる可能性があります。
  3. 事務負担の軽減と納税額の減少の両方が見込めるケースが多い
    • 「なんとなく簡易課税=不利」と思われている方もいますが、実際に計算してみると事務処理も楽になり、しかも税負担まで減ったという例がよくあります。

デメリット

  1. 経費が多い事業者には不利になる可能性もある
    • 大規模設備投資や高額仕入れがある場合、本則課税なら大きく仕入税額控除を受けられ、逆に消費税が還付されるケースさえあります。そうした業種やタイミングでは簡易課税を選ぶと不利になることがあります。
  2. 一度選択すると原則として2年間は撤回できない
    • 届出を出した後に「やはり本則課税の方が有利だった……」と思っても、すぐには戻せないという問題があります。
  3. みなし仕入れ率が実態と大きく異なる場合
    • 例えば、サービス業に該当してみなし仕入れ率が50%でも、実際には経費がほとんどゼロに近い業態ならメリットが大きいですが、逆に人件費や設備投資が多いサービス業だと、さらに慎重なシミュレーションが必要になります。

簡易課税の計算方法(みなし仕入れ率)

みなし仕入れ率の区分

簡易課税では、事業内容を以下の5つの区分(※不動産業を含める場合は第6種まで)に分け、それぞれに定められたみなし仕入れ率を使って計算します。

事業区分代表例みなし仕入れ率
第1種事業卸売業90%
第2種事業小売業80%
第3種事業農業、漁業、製造業、建設業等70%
第4種事業飲食店、その他の運送・通信等60%
第5種事業サービス業全般、自由業など50%
第6種事業不動産業40%
  • 「サービス業」は一括りに第5種事業になるケースが多いですが、実際の業態によって判断が必要です。
  • **事業を複数行っている場合(多角経営)**は、各事業ごとに区分し、それぞれの区分で計算して合算します。

納税額の計算式

簡易課税の場合、納税額は下記のように求めます。

納付すべき消費税 = 課税売上に含まれる消費税額
                 - (課税売上に含まれる消費税額 × みなし仕入れ率)
  • 実際の仕入額や経費額は考慮しません。その代わりに、みなし仕入れ率を掛けた金額を仕入税額控除の額とみなします。

具体例:本則課税と簡易課税の比較

ここでは、売上高1,100万円(税込)のサービス業(第5種、みなし仕入れ率50%)を例に比較してみます。

  • 年間売上高:1,100万円(税込)
    • 税抜売上は1,000万円、消費税(10%)は100万円
  • 経費:外注費220万円(税込)、旅費交通費110万円(税込)
    • いずれも消費税率10%と仮定(税抜200万円+消費税20万円、税抜100万円+消費税10万円)

本則課税の場合

  1. 売上に含まれる消費税:100万円
  2. 仕入税額控除できる消費税:外注費の20万円 + 旅費交通費の10万円 = 30万円
  3. 納税額 = 100万円 – 30万円 = 70万円

簡易課税の場合

  1. 売上に含まれる消費税:100万円
  2. みなし仕入れ率がサービス業(第5種)なので50%
  3. 仕入税額控除額 = 100万円 × 50% = 50万円
  4. 納税額 = 100万円 – 50万円 = 50万円

結果として、この事例では簡易課税の方が20万円少ない納税で済むことがわかります。もちろん、経費や売上の内訳次第で有利不利は変わりますが、「簡易課税は常に不利」という誤解を持っている方は、一度シミュレーションしてみるとよいでしょう。


実際の消費税申告書の作り方(確定申告書等作成コーナーを使用)

ここからは、国税庁の**「確定申告書等作成コーナー」を使って、簡易課税による消費税申告書を作成する手順を解説していきます。
会計ソフトに消費税申告機能があれば、それを使うほうが帳簿データがそのまま反映されるため効率的です。しかし、会計ソフト未導入の方や
ソフトの使い方がわからない方**は、無料で使える作成コーナーを活用すると良いでしょう。

8-1. 事前準備

  1. パソコン・インターネット環境
    • 作成コーナーはWebブラウザ上で動作します。推奨環境や対応ブラウザをあらかじめ確認しましょう。
  2. マイナンバーカードや電子証明書の準備(電子申告を行う場合)
    • e-Tax(電子申告)を行う場合、マイナンバーカードやICカードリーダー、もしくはスマホ連携が必要です。
    • 書面提出を考えている方は、最終的にPDFを印刷して税務署に郵送または持参します。
  3. 売上高、経費、その他消費税額の計算に必要なデータ
    • 特に重要なのは「売上に含まれる消費税」を正確に把握することです。
    • 軽減税率対象の売上がある場合は、8%部分と10%部分を正確に区分しておく必要があります。

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8-2. 作成コーナーでの入力手順

以下は概略です。細かい画面構成やボタン名称は年度によって変更される可能性がありますので、実際の画面をよく確認しながら進めましょう。

  1. 「確定申告書等作成コーナー」を開く
    • 検索エンジンなどで「確定申告書等作成コーナー」と入力し、国税庁のページからアクセスします。
  2. 「作成開始」ボタンをクリック
    • 個人の消費税申告を作成する場合、「令和○年分 確定申告書等の作成」→「消費税」を選びます。
  3. ログイン/事業者情報入力
    • e-Taxでマイナンバーカード方式を使うか、もしくは書面提出を想定する場合はID入力または手動入力で進めます。
  4. 基準期間(2年前)の売上高入力
    • 基準期間の課税売上高が5,000万円以下であることが簡易課税の前提です。
  5. 経理方法(税抜・税込)や簡易課税の適用の有無
    • 「簡易課税を選択している」にチェックを入れると、みなし仕入れ率の区分選択画面へと進みます。
  6. 事業区分(第1種~第6種)の選択
    • あなたの事業形態に合った区分を選択します。複数事業がある場合は、それぞれ入力することも可能です。
  7. 売上金額を入力(軽減税率対象の有無も要確認)
    • 税抜・税込どちらで経理しているかに応じて売上金額を入力します。
    • 免税取引(輸出など)や非課税取引、対象外取引などがある場合は、該当箇所にチェックして金額を入れます。
  8. 中間納付の有無
    • 中間納付をしている場合は、その納付済み金額を入力します。最終的にこの金額が差し引かれ、追加で納める額が計算されます。
  9. 計算結果の確認
    • ここで、システムが自動的に「売上に含まれる消費税 – (売上に含まれる消費税 × みなし仕入れ率)」を計算してくれます。
  10. 納税方法の選択
    • 口座振替やダイレクト納付、コンビニ納付など、希望する納税方法を選択します。
  11. マイナンバー入力と送信
    • e-Taxで送信する場合は、最後にマイナンバー入力を行い、電子署名を付与して送信します。
    • 書面提出の場合は書類をPDFで出力し、印刷して提出。

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8-3. 完成した消費税申告書の確認ポイント

  • 第1表(1ページ目) …最終的な納税額がまとめられています。
  • 第2表以降 …内訳明細が並んでおり、みなし仕入れ率や売上区分などが確認できます。
  • 入力ミスが多いのは「売上に含まれる消費税の計算」や「軽減税率の区分漏れ」です。金額や事業区分をしっかり確認して、間違いがないかをチェックしましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. みなし仕入れ率の適用区分が複数にまたがる場合はどうする?
A. 例えば「卸売業(第1種)と小売業(第2種)」など、複数事業を行っている場合は、事業ごとに区分して売上を入力し、算出した消費税額を合算します。作成コーナーでも複数区分が選択できます。

Q2. 本則課税に戻すにはどうすればいい?
A. 簡易課税をやめて本則課税に戻すには、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を出すなどの手続きが必要です。ただし、原則2年間は継続適用となるため、期間中は変更できません(特例ややむを得ない事情がある場合は除く)。

Q3. インボイス制度で簡易課税を選んでいても、取引先へのインボイスは発行できる?
A. 課税事業者かつ適格請求書発行事業者の登録を受けていれば、簡易課税を選択していてもインボイスを発行できます。インボイス制度は仕入税額控除の適格証明書類の保存に関する制度であり、簡易課税の適用とは直接の矛盾はありません。

Q4. 2割特例(2割納税)と簡易課税は併用できる?
A. 2割特例は、免税事業者がインボイス発行事業者になるために新たに課税事業者を選択する場合のみ使える特例です。もともと課税事業者で簡易課税を選択している方は2割特例の対象外とされています。


まとめ

簡易課税制度」は、事業規模が比較的小さい(基準期間の課税売上高が5,000万円以下)事業者が利用でき、「売上に含まれる消費税額 × みなし仕入れ率」に基づく簡易計算で納税額を求める制度です。本則課税のように仕入れや経費ごとに消費税を集計する手間を大幅に軽減できる一方で、経費が多くなるタイミングだと不利になる場合もあるので注意が必要です。

また、2023年10月からスタートしたインボイス制度とも併用可能で、簡易課税を選択していてもインボイス発行事業者として登録できます。ただし、今後は取引先からインボイスの発行を求められるケースも増えますので、免税事業者だった方がインボイスを機に課税事業者になり、その際に簡易課税を選ぶというパターンも十分考えられます。

簡易課税は事務処理面の大きなメリットがある一方で、選択の際には**「事前に届出が必要」**で、原則2年間は継続して適用するルールになっています。実際には「**本則課税だと還付の可能性が高い」**ケースなどもあるため、迷ったらシミュレーションしてみることがおすすめです。

本記事で紹介した具体例や、確定申告書等作成コーナーでの作成ステップを参考に、正確かつ効率的に消費税申告書を作成してみてください。もし難しいと感じる場合は、税理士や専門家に相談すると安心です。

ポイントまとめ

  • 簡易課税の適用要件:「基準期間の課税売上高5,000万円以下」+「事前の届出」
  • 納税額の計算:「売上消費税 – (売上消費税×みなし仕入れ率)」
  • メリット:事務負担の軽減、節税になる場合がある
  • デメリット:一度選択すると2年間やめられない、経費が多いと不利になる場合も
  • インボイス制度との併用:可能。発行事業者の登録手続きが必要

あなたの事業スタイルに合った方法を選び、正しく・無理なく消費税を申告しましょう。最後までご覧いただき、ありがとうございました。これからの申告にぜひお役立てください。

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