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会社経費のポイントは誰のもの?
税務リスクと対策を税理士に聞いてみた!
こんにちは、エンジョイ経理編集長です。私は大手IT企業で長年財務経理の幹部を務め、税務調査や経理システムの導入まで数多くの実務を経験してきました。
キャッシュレス決済の普及とともに、個人のクレジットカードやマイレージサービスで会社経費を支払い、その際に貯まるポイントやマイルが増えています。ところが、この「会社経費精算 ポイント 課税」の問題が意外と複雑で、社内規定や税務リスクを把握していない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回、私自身も気になったことがあったので、顧問税理士の先生に直接質問してみました。ここでは、そのやりとりを会話形式でお伝えします。実務経験豊富な税理士の見解を交えつつ、ポイント利用における所有権や税務リスク、そして会社側が取るべき対策などを徹底解説していきます。
1. 会社経費精算でポイントが貯まる仕組み
キャッシュレス社会がもたらすポイント制度
航空チケットや宿泊代、オンラインショッピングなどを個人のクレジットカードで支払い、後日会社へ経費精算するケースが増えています。これにより、従業員が利用したカードやマイレージサービスのポイントやマイルが自動的に付与される仕組みです。
- 例)飛行機代を1万円個人カードで支払う → クレジットカードのポイントが貯まる
- 例)出張先のホテル代を個人カードで決済 → 航空会社のマイルが貯まる
本来は会社が負担する費用を個人が一時的に立て替えているだけですが、その立替えを行った個人にポイントが帰属してしまう状況が起こっています。
2. 会社経費精算 ポイント 課税が話題になる理由
経済的利益と税務上の取り扱い
税法上、「給与」とは金銭だけを指しません。個人が会社から“経済的な利益”を受け取ったと見なされれば、それも給与課税の対象になる可能性があります。
経費精算によるポイントをめぐっては、「本来会社に帰属すべき価値(ポイント)を従業員が個人的に受け取っているのでは?」という視点で議論されることが多いのです。
しかし、実際には税務当局がどこまで厳格に取り締まっているのか、そしてポイントを給与課税としてどのように評価すべきかなど、実務上グレーな部分が存在します。
3. 【会話】顧問税理士に聞いてみた:ポイントは誰のもの?
では、ここからは私(エンジョイ経理編集長)と、顧問税理士の先生との会話形式で解説していきます。
私
「先生、今日はよろしくお願いします。実は前から気になっていたんですが、会社経費精算 ポイント 課税って大丈夫なんでしょうか? 私自身、大手IT企業の財務経理を経験してきて、従業員が個人カードで出張代を払っているケースも多いんですよね。」
顧問税理士
「こちらこそ、よろしくお願いします。確かに、最近はキャッシュレス決済が進んでいて、従業員が個人的にポイントを貯めている場面が増えました。税法上は、会社が負担すべき費用を個人が立て替えて、その結果ポイントが個人に付与されるわけなので、『そのポイントは実質的に会社のものでは?』という解釈も可能です。」
私
「やっぱりそうなんですね。ということは、ポイント相当額を給与所得として課税するリスクが出てくる感じでしょうか?」
顧問税理士
「理論上はその可能性がゼロではありません。税務調査で厳しく見られると、『会社負担分を個人が受け取っている』として、給与課税の対象になる場合があります。もっとも、現状ではポイントの価値評価が難しい上に、税務署がすべてを追いかけきれていないのも事実です。」
私
「なるほど。ポイントやマイルって、有効期限や用途によって実際の価値が変わりますし、会社側で給与として管理するのは正直難しいですよね。」
顧問税理士
「おっしゃる通りです。実務レベルでポイント換算を給与化するとなると、会社も従業員も負担が増えすぎるでしょう。ただし、全く放置しておくと、万が一税務調査で指摘される可能性がありますから、会社としてルールを整備しておくことが大切ですよ。」
私
「やっぱりそうですよね。具体的にはどんなルールが必要なんでしょうか?」
顧問税理士
「たとえば、
- ポイントは会社に帰属すると定める(ただし実際に回収は難しいので、事実上黙認するケースも多い)
- 法人カードを導入して、ポイントも会社に紐づける
- ポイント換算が可能な仕組みなら、給与課税として処理する運用を設ける
など、会社の規模や実態に応じて対策を検討すべきです。」
私
「ありがとうございます。ちなみに、逆のパターン、つまり個人のポイントを使って会社経費を払う場合はどうなりますか?」
顧問税理士
「それもよくある質問ですね。個人が保有していたポイントを利用して支払いをしても、法的には『個人資産を建て替えた』という構造に変わりありません。会社から見ると、出張費や仕入れ費用を個人が立て替えて払ってくれただけですから、通常通り全額を経費精算する義務があります。会社側としては、『ポイント部分は実質的に現金ではないから払わない』とは言えないわけです。」
私
「なるほど。つまり、個人のポイントを会社経費として使っても、会社は全額精算しなくてはならない、そしてその分で課税リスクは生じにくいということですね。」
顧問税理士
「はい。そこでは会社→従業員の経済的利益の供与が発生していないので、給与課税には基本的につながらないです。一方で、会社側としてはポイント生産を認めてしまうと事務処理が煩雑になったり、トラブルの種が増えたりしますので、禁止している企業も多いですね。」
私
「よく分かりました。結局、ポイントが発生する仕組み自体は消せないので、どこまで会社が許容して、どこまで税務リスクを管理するかが重要そうですね。ありがとうございます!」
4. 個人のポイントを会社経費で使う場合
上記の会話に出てきた「逆パターン」を、もう少し詳しく整理します。
- 従業員がもともと持っていたポイント(例:1,000円相当)
- 会社経費1万円のうち、1,000円分をポイントで、9,000円分を現金もしくはカード決済で支払う
- 従業員は会社に対して1万円の経費精算を請求
この場合、会社経費精算 ポイント 課税のリスクは基本的にありません。理由としては、会社が“得”していないどころか、従業員が自己のポイントを使っている状況だからです。
ただし、会社側としては**「ポイント使用分」をどのように会計処理するか**、従業員にはどのように説明するかなどのルール整備が必要になります。
5. 会社側が取るべき対策・ルール
5-1. ポイントの帰属を明文化する
- 就業規則や経理規程などで「会社経費の支払いによって発生するポイントは会社に帰属する」と定める
- ただし、実際に従業員からポイントを回収するのが困難な場合は、黙認に近い形を取ることも検討
5-2. 法人カードを導入する
法人カードを導入すると、ポイントやマイルが会社名義で付与される仕組みもあるため、個人への利益供与を抑えられます。
ただし、企業規模や利用頻度、カードの審査などの問題があり、全社員がスムーズに使えるとは限りません。導入コストやメリットを検討したうえで実施するとよいでしょう。
5-3. ポイント分を給与課税として処理する
ポイントやマイルの価値を現金換算し、それを従業員の給与として計上する方法も理論上はあります。しかし、
- ポイントのレートが複雑
- 有効期限や使用方法で価値が変動
- 事務処理が煩雑
などの理由で、ほとんどの企業にとっては現実的ではありません。大企業でも、ここまで詳細に対応している例は多くありません。
5-4. 従業員への周知徹底
税務リスクを回避するためには、従業員がルールを理解していなければ意味がありません。「ポイントが課税対象になる場合がある」という事実をしっかりアナウンスしておきましょう。
万が一、税務調査で指摘された際に「会社としては周知をしていた」「社内規定も整備している」と示せば、指摘を回避・軽減できる可能性があります。
6. 税務調査でのリスクと対応
6-1. 税務調査官がチェックするポイント
- 経費精算書と実際の支出状況に差異がないか
- ポイントやマイルが従業員個人に過剰に付与されている事実はないか
- 会社がそれを給与として計上していないか
6-2. 実際に追徴課税された事例はあるのか
「会社経費精算 ポイント 課税」に関して、具体的に大きな追徴課税事例が公になったものは多くありません。しかし、個別事例や非公表事例では、相当額のポイントを給与課税として扱われたケースがあるともいわれます。
税務署の裁量や調査官の見方によっても大きく異なるので、リスク管理のためにも社内ルールを整備しておくことが重要です。
6-3. 万が一指摘を受けたら
- ポイントの価値評価を巡って、税務署と交渉する
- 有効期限切れや実際に使っていないなど、利益が具現化していないことを示す
- それでも納得が得られない場合、追徴課税(源泉所得税や加算税)を支払う可能性もある
7. よくあるQ&A
Q1. 「会社経費を個人カードで払うと必ず課税されるの?」
顧問税理士の見解
「必ずではありません。あくまでも『課税リスクがある』という話です。ポイントやマイルの価値が曖昧なので、税務署もすべてを課税対象にしているわけではありません。ただ、規模が大きくなるほどリスクも高まるので、注意が必要です。」
Q2. 「個人ポイントで会社経費を払った分はどうなる?」
顧問税理士の見解
「こちらは課税リスクがほとんどありません。個人の資産を会社のために使っている構図なので、税務署から見ると会社→従業員の経済的利益の供与にはならないんです。会社はむしろ、全額を従業員に精算する義務があります。」
Q3. 「法人カードを導入すれば万事解決?」
顧問税理士の見解
「法人カードなら、ポイントが会社に直接帰属する形が可能なので、リスクはかなり減らせます。ただし、会社の規模や従業員数、年会費などコスト面も考慮が必要ですね。導入しても結局使われないというケースもあります。」
Q4. 「税務調査で具体的にどう聞かれる?」
顧問税理士の見解
「調査官が興味を持てば、『この出張で何マイル貯まりました?』『そのマイルはどう使いました?』と聞かれる可能性もあります。ただ、個別に全て追跡するのは現実的に難しいため、社内規定と運用実態をざっくり確認される程度が多い印象ですね。」
8. まとめ
- 会社経費精算 ポイント 課税は、税法上の「経済的利益の供与」に該当するかどうかが争点になる
- 現状では明確な法律や通達がなく、実務上はグレーゾーンが多い
- 会社側としては法人カード導入や社内規定整備でリスクを管理すべき
- 個人のポイントを会社経費に使う場合は課税リスクが低いが、会社の内部規定で禁止される場合もある
- 税務調査では、会社がどの程度ルールを整備し、従業員に周知しているかが重要視される
今後、デジタル化の進展や税務当局の調査手法の高度化に伴って、会社経費精算 ポイント 課税の問題がよりクローズアップされる可能性も十分あります。ぜひ、今回の顧問税理士との会話や解説を参考に、社内規定や管理体制を一度見直してみてください。
9. 免責事項
本記事の内容は、筆者および顧問税理士の見解をもとにした一般的な情報提供を目的としています。個別の事例における税務判断や適用可能性を保証するものではありません。 実際の対応にあたっては、税理士や弁護士などの専門家にご相談いただくことを推奨いたします。また、本記事に掲載されている情報は将来の法改正や通達などにより変更される可能性があります。常に最新の情報をご確認のうえ、自己責任でご対応ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
会社経費精算 ポイント 課税というちょっとややこしいテーマですが、顧問税理士の先生のお話を踏まえて少しでも理解が深まれば幸いです。何か気になる点があれば、ぜひ専門家に相談のうえで適切なルール整備を進めてみてくださいね。