サイトアイコン エンジョイ経理

行列ができる外食チェーンの株主優待徹底解説!スシロー、丸亀製麺、一風堂、吉野家などの注目銘柄

行列ができる外食チェーン
株主優待徹底解説!

 国内外から多くの人が訪れる日本の外食産業には、さまざまな業態が存在する。特に、訪日客が集中するエリアでは“行列必至”と呼ばれる人気店も多く、それらのブランド力はビジネスの成長を支える大きな要因になっている。ここでは、株主優待が存在する企業のなかでも、実際に行列ができるほどの人気を誇る外食チェーンに着目する形で、その魅力やインバウンド需要との関連性、今後の成長余地などを詳しく整理する。

 本稿は、大手IT企業で財務・経理業務に長く携わり、企業成長を数字の面から支えてきた立場としての視点を織り交ぜながら、各銘柄の強みや優待制度の特長について掘り下げる構成をとっている。業界分析や株式投資の観点はもちろん、行列が生じる現場の熱気やブランドイメージがもたらす効果も交えながら、その“今”を解説していきたい。

 なお、ここで取り上げるのは、「行列ができる人気店」を展開している企業に限定している。優待制度がある外食銘柄自体は数多く存在するが、国内・海外問わず“列を作るほどの人気”は経営陣が描くブランド戦略やメニュー開発力、SNSなどによる拡散効果など、複数要因が重なって実現しているケースが多い。そのため、そうした企業を分析することは、外食産業のダイナミクスを理解するうえでも有意義といえるだろう。


スポンサーリンク

1. 行列ができる人気店が外食企業にもたらす影響

 店舗に行列ができるという現象は、単なる“混雑”を指しているだけではない。そこには、多くの人が“待っても食べたい”“訪れたい”と思えるだけの強い魅力が存在し、ブランドへの信頼やSNS上での話題性など、あらゆる要素が一体となっている。

  1. 強力なブランドアピール
    目に見える“行列”は、それだけで宣伝効果が高い。通りを歩く人々が「何か特別なお店なのだろう」と興味を抱き、SNSで写真や動画が拡散され、さらなる集客につながる。
  2. 差別化要因の確立
    外食業界では競合が激しいが、行列店は“特別感”を醸成しやすい。メニューの味やサービスの質、店舗の雰囲気など、多方面でブランドの優位性を確立すると顧客が絶えず訪れるようになる。
  3. 海外からの注目度の上昇
    訪日外国人は、日本独特の食文化や行列の様子をエンターテインメントのように捉える場合がある。特に有名チェーンや話題性のある店舗には、海外メディアやSNS経由で観光客が押し寄せることが多い。

 このように、行列は企業の成長を語る際に欠かせない指標の一つだ。とはいえ、行列が長ければ必ずしも企業として安泰というわけではない。店舗運営の効率や人員の確保、顧客満足度の向上など、乗り越えなければならない課題も多々ある。適切なオペレーションが確立されていなければ、長時間待たされたあげくに満足度が下がるリスクもあるため、行列の管理や顧客体験の向上にどこまで力を注げるかが企業の実力を測るカギになる。


2. インバウンド需要との親和性

 現在の外食産業を考えるうえで見逃せない要素として、海外から日本を訪れる人々の存在が挙げられる。和食だけに限らず、多様なメニューを好む訪日客は、日本国内でも特に知名度のあるチェーン店や希少価値の高い店舗に積極的に足を運ぶ。人気チェーンの場合、すでに海外展開をしていることも多く、海外支店でブランドの認知度を高めてから日本へ“本場巡礼”をする流れが生まれることもある。

 ⇒⇒特に“行列のできる店”は、SNSや口コミサイトで話題性が高いため、海外の人が来日計画を立てる段階でリストアップされやすい。いわゆる“聖地巡礼”のような動機が働き、日本を訪れる大きな目的の一つとして組み込まれる場合も少なくない。この傾向は、牛丼チェーンや回転寿司、ラーメン、カレー、焼肉など、幅広いジャンルに波及している。

 企業サイドもインバウンド需要を取り込みやすいように、多言語メニューの作成や海外クレジットカードの受け入れ拡充、店舗スタッフへの語学教育など、積極的に投資を行っている。結果として、海外からの利用客が増えて売上が底上げされ、その売上増が新たな投資を生むという好循環ができあがる。こうしたサイクルを確立している企業は、行列のできる店舗を生かしてブランド力をさらに向上させられる見込みがあるだろう。


3. 行列ができる人気チェーンの優待銘柄ピックアップ

 ここでは、行列店として名高い、もしくは高い人気を誇りSNSなどで話題になる頻度が高い企業を中心に、株主優待の内容とあわせて整理する。実際に投資対象を検討する場合は、株価や配当利回り、業績の推移だけでなく、企業の経営方針やブランド戦略にも目を向けたい。

3-1. スシロー(FOOD & LIFE COMPANIES / 3563)

3-2. 丸亀製麺(トリドールホールディングス / 3397)

3-3. 一風堂(力の源ホールディングス / 3561)

3-4. CoCo壱番屋(壱番屋 / 7630)

3-5. いきなり!ステーキ(ペッパーフードサービス / 3053)

3-6. 餃子の王将(王将フードサービス / 9936)

3-7. 吉野家(吉野家ホールディングス / 9861)・すき家(ゼンショーホールディングス / 7550)

3-8. 鳥貴族ホールディングス(3193)


4. 行列人気店の株主優待を選ぶメリット

  1. ブランドの成長恩恵を享受できる
    行列ができるほどのブランド力を持つ店舗は、多くの場合リピーターや海外観光客の取り込みに成功している。株主優待を活用しながら、その成長の恩恵にあずかることが可能になる。
  2. 利用頻度が高い店舗で恩恵を実感しやすい
    日本全国に展開しているチェーン店であれば、優待券やポイントを日常的に使いやすい。生活圏内にある店舗に行列ができるほど人気ならば、自分自身も体験価値を得ながら投資成果を確かめられる。
  3. 海外からの需要増による安定性
    インバウンド需要が高まり続ける状況では、企業の売上増にも寄与しやすい。旅行客の動向は国内景気とも異なるサイクルを持つため、景気変動をある程度分散する効果も期待できる。

5. 財務経理目線で見る注意点

 どれだけ行列ができていても、収益構造が脆弱であれば長期的な成長は難しい。企業の財務諸表や投資計画を確認する際には、以下の視点が参考になる。

  1. 固定費と変動費のバランス
    外食企業の場合、原材料費の高騰や人件費の上昇は経営を圧迫する要因になる。行列ができるからといって利益が十分に残るとは限らず、店舗増加に伴う投資額も大きい。財務諸表からコスト構造を把握すると同時に、経営側がどのような効率化施策を実行しているかをチェックしたい。
  2. 海外進出に伴うリスク管理
    為替リスクや各国の法制度への対応など、海外店舗を展開するうえでの負担は軽視できない。現地でのビジネス慣習やローカライズへの取り組みが不十分だと、収益性を高めるのが難しくなるケースがある。
  3. 優待制度の継続性
    一部の企業は、業績低迷や経営方針の転換によって優待内容を見直す場合がある。過去のIR情報などを遡って、優待の方針がどの程度安定しているかを確認することで、長期的な保有メリットを判断しやすくなる。
  4. 行列が逆効果になるリスク
    人気店だからといって、行列が長すぎる場合に顧客が離れてしまう懸念もある。オペレーション改善が進まないと、SNSなどでネガティブ情報が拡散される可能性があり、評価を下げるリスクも考えられる。

6. とても重要なポイント

  1. 海外でのブランド認知の高まりが国内来店を促進する
    すでに海外に進出している企業は、現地でファンを獲得したうえで“日本の本店や有名店舗へ行きたい”という動機を作りやすい。行列を生む原動力の一つになっているため、海外展開と国内店舗の相乗効果に注目する必要がある。
  2. 多言語対応やキャッシュレス決済の重要性
    行列対応の効率を上げ、海外からの利用客にもストレスなくサービスを提供するためには、多言語メニューや交通系電子マネー・QR決済など、支払い方法の多様化が不可欠。企業がこうしたインフラ整備に力を入れているかは、さらなる成長を左右するポイントといえる。
  3. コロナ禍を経た新たな需要構造
    近年の国際的な事情でインバウンド需要が一時的に落ち込んだが、再び訪日客が増加している。リベンジ消費やSNSを通じた再熱の可能性も高く、行列店が一気に復活する例も少なくない。企業がこのチャンスを逃さないための施策を打ち出しているかを確認するとよい。
  4. 株主優待券の利用範囲の広さ
    グループ店舗全体で使える優待券やポイント制度ならば、焼肉から寿司、ラーメンに至るまで多彩に利用できる場合がある。株主として保有するメリットを最大化するために、優待券の利用範囲を事前に把握しておくことが重要だ。
  5. 財務の安定性とガバナンス
    行列ができる人気店でも、収益管理や投資戦略が適切でなければ急に経営が傾くリスクもある。資金調達や設備投資の判断がどの程度適切か、決算短信やIR活動から企業体質を読み解くことが欠かせない。

7. 将来の見通しと企業成長の可能性

 行列のできる店舗は、国内需要に限らず海外旅行客の来店も取り込みやすい環境を備えている場合が多い。今後、日本を訪れる外国人観光客の数が増加傾向を続ければ、回転寿司やラーメン、焼肉、牛丼といったジャンルの人気はさらに拡大する見込みがある。

 特に、インターネットやSNSによる口コミは、世界中に瞬時に伝播する力を持っている。日本に留学していた人が母国へ帰り、そこで日本式の飲食店を紹介するなど、海外から新たな需要が生まれる仕組みが確立されつつある。株主優待制度が整備されている企業は、国内個人投資家のみならず、将来的には海外投資家からの注目を集める可能性も否定できない。

 行列ができる人気外食チェーンは、現場の顧客満足度やブランドロイヤルティが高いため、既存店売上の安定や新規店舗展開の成功率に好影響を及ぼすことがある。一方で、急速な店舗拡大に伴う人手不足やサービス低下、原材料の安定調達といった課題も散見されるため、企業ごとにどのようにリスクヘッジしているかを注目しておきたい。

 ⇒⇒総合的に判断すれば、行列のできる外食チェーンはインバウンド需要の伸びを背景にさらなる成長が期待できるが、財務体質や経営力、ブランド維持の仕組みなどを丁寧に見極めることが投資リスク軽減につながる


8. 総括

 行列ができる外食チェーンは、その強いブランド力を武器に国内外から高い注目を集める。特に、株主優待制度がある企業は、投資家にとって日常の食事で得られるお得感や、店舗を通じた企業の成長実感を同時に享受できる点が魅力だ。訪日外国人の増加傾向やSNS映えなどの要素が加わり、多くの外食企業が行列を生成するだけのパワーを発揮している今こそ、株主優待を通じてそうした企業を“応援”しながら恩恵を受けるスタイルが注目を集めている。

 もちろん、行列店であっても投資をするうえではリスクが伴う。景気変動や国際情勢、為替、原材料価格の高騰など、さまざまな要素が収益を左右するため、一喜一憂せずに長期的な視点で企業体質を見極める姿勢が大切になる。特に、海外展開を進める企業は管理コストや言語対応などの投資負担も増えるため、決算書やIR情報を活用して財務戦略の妥当性を確認することが必要不可欠だ。

 一方で、行列ができるほどの魅力を持つ外食企業は、コロナ禍を経ても粘り強く集客を続ける強さを証明する例が少なくない。人々が再び自由に行き来し始めた今こそ、日本の食文化に触れたいと願う訪日客が戻りつつあることを企業業績の数字にも反映できれば、株価の上昇や優待制度の拡充など、投資家にとっても好ましいシナリオが期待できるだろう。

 日常的に利用しやすい店舗を展開しながら、行列を生むだけの“特別な存在感”を育んでいる企業群。その戦略や仕組みを理解し、財務の視点も踏まえてじっくり評価していくことで、株主優待を手にしながら成長の波に乗れる可能性がある。いずれにせよ、行列店の魅力は数字には現れにくい部分も多いため、店舗を実際に訪れて肌感覚を養いながら、経営情報を丹念に読み解くアプローチが有効となるだろう。


免責事項

 本記事は情報提供のみを目的として作成されたものであり、特定の銘柄や投資手法の推奨を行うものではありません。掲載情報の正確性や完全性については万全を期しておりますが、それを保証するものではなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。いかなる場合も、本記事の利用により発生した損害や不利益に対して、筆者および関係者は一切の責任を負いかねます。投資にはリスクが伴い、元本割れを含む損失が生じる可能性があります。ご自身の投資目的やリスク許容度を十分に考慮したうえで、慎重な判断を行っていただけますようお願いいたします。


モバイルバージョンを終了