簿記だけでは見えない!経理の仕事内容と全体像を徹底解説【実践ロードマップ】

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簿記だけでは見えない!経理の仕事内容と全体像を徹底解説【実践ロードマップ】 ① 経理・会計
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  1. イントロダクション:簿記の知識だけでは足りない「実践的経理」の全貌を徹底解説
    1. 「簿記はわかったけど、経理って実際何するの?」そう思っていませんか?
      1. 会社の「お金」を扱う経理部門のリアルな姿
    2. この記事で得られること:経理業務の「全体像」と「実践」
      1. あなたの疑問を解決し、実務に役立つロードマップを提供
  2. 経理部門の役割と会社における重要性:なぜ「実践」が求められるのか
    1. 簿記と経理はココが違う!「実践」に焦点を当てた経理の定義
      1. 簿記は「記録」、経理は「管理と活用」
    2. 会社経営における経理の3つの役割
      1. 会社の羅針盤となる「心臓部」としての機能
  3. 経理の主要業務:年間サイクルと日々の流れを徹底解説
    1. 日次業務:会社の「今」を支える日常のルーティン
      1. 毎日欠かせない業務の具体例とポイント
    2. 月次業務:経営の羅針盤となる重要なプロセス
      1. 月末月初に集中する業務と効率化のヒント
    3. 年次業務:会社の健康診断と未来への準備
      1. 年に一度の大仕事と税務・法令対応のポイント
    4. 随時業務:予期せぬ対応と戦略的な視点
      1. 臨機応変な対応が求められるイレギュラー業務
  4. 経理業務で直面する「あるある」課題と「実践的」解決策
    1. 課題1:ヒューマンエラーと属人化
      1. 誰かのミスが会社全体の損失に
    2. 解決策:業務標準化とダブルチェック体制の構築
      1. ミスを減らし、誰もが対応できる仕組みを作る
    3. 課題2:膨大な手作業と時間不足
      1. 「残業ありき」の業務フローからの脱却
    4. 解決策:会計ソフト・クラウド会計の徹底活用
      1. 経理業務の基盤をデジタル化する
    5. 解決策:Excel VBA、GAS、Python、RPAによる自動化
      1. プログラミングで「超」効率化を実現する
    6. 解決策:生成AI(ChatGPTなど)を活用した業務効率化
      1. AIを「もう一人の経理担当者」にする
    7. 課題3:他部署との連携不足と情報非対称性
      1. 孤立しがちな経理部門が陥る落とし穴
    8. 解決策:コミュニケーション強化と情報共有システムの導入
      1. 経理を「経営のパートナー」にする
  5. 経理のプロを目指す!必要なスキルとキャリアパス
    1. 経理に必須の基礎スキル
      1. これだけは押さえておきたい経理の土台
    2. 経理のキャリアパス:専門家から経営幹部、独立まで
      1. あなたの未来を描く選択肢
  6. まとめ:実践的経理で会社と自分を成長させよう
    1. 経理は会社の心臓部!そして自身の成長を促す舞台
    2. 今から始める実践的経理の一歩
  7. よくある質問
  8. 免責事項

イントロダクション:簿記の知識だけでは足りない「実践的経理」の全貌を徹底解説

簿記だけでは見えない!経理の仕事内容と全体像を徹底解説【実践ロードマップ】

「簿記はわかったけど、経理って実際何するの?」そう思っていませんか?

 

会社の「お金」を扱う経理部門のリアルな姿

「簿記3級、2級は取ったけど、いざ経理の求人を見ると、具体的な仕事内容がイメージできない…」
「経理って、ずっと帳簿をつけているだけなのかな?」
私自身も昔、簿記の資格を取ったばかりの頃は、同じような悩みを抱えていました。教科書で学んだ「仕訳」や「勘定科目」が、実際の会社のどんな業務に繋がるのか、正直ピンとこなかったんです。

でも、安心してください。経理の仕事は、単に帳簿をつけることではありません。会社の血液である「お金」の流れを管理し、経営判断を支え、法令遵守を確実にする、会社の心臓部とも言える非常に重要な役割を担っています。まさに、会社の存続と成長を左右する「縁の下の力持ち」であり、経営にとって欠かせない存在なのです。

しかし、簿記の知識だけでは、実際の業務イメージは掴みにくいものです。なぜなら、簿記が「記録」の技術であるのに対し、実際の経理業務は、その記録を「管理し、活用し、会社を守る」という、より実践的で多岐にわたる側面を持っているからです。簿記の知識をさらに深め、実務で活かしたい方は、ぜひ簿記の知識を仕事で活かすための入門講座も参考にしてみてください。

この記事で得られること:経理業務の「全体像」と「実践」

 

あなたの疑問を解決し、実務に役立つロードマップを提供

この記事では、そんなあなたの「実際の経理の仕事内容と全体像」に対する疑問を解決し、実務で役立つ具体的なロードマップを提供します。読み終える頃には、あなたは経理の仕事が「単なる事務作業」ではない、奥深くやりがいのある仕事だと感じているはずです。

  • 経理の具体的な仕事内容を年間・月間のサイクルで理解できる:日次から年次、さらにはイレギュラーな随時業務まで、一連の業務フローがクリアになります。

 

  • 各業務で求められるスキルと、効率化・自動化の具体的な方法がわかる:最新のテクノロジーを活用した効率化のヒントや、実務で役立つツールを紹介します。

 

  • 経理の仕事でよくある課題と、その実践的な解決策がわかる:経験者が直面する「あるある」の悩みとその乗り越え方をお伝えします。

 

  • 経理のキャリアパスと、将来に役立つスキルの磨き方がわかる:あなたの経理としての未来を具体的に描くヒントが得られます。

さあ、一緒に「実践的経理」の世界を覗いていきましょう!

経理部門の役割と会社における重要性:なぜ「実践」が求められるのか

簿記と経理はココが違う!「実践」に焦点を当てた経理の定義

 

簿記は「記録」、経理は「管理と活用」

まず、簿記と経理の違いを明確にしましょう。
簿記が「お金の動きを記録する技術」であるのに対し、経理は「記録されたお金の情報を管理し、経営に活用する実務」です。例えるなら、簿記は料理のレシピを覚えること。経理は、そのレシピを使って実際に美味しい料理を作り、お客様に提供し、喜んでもらうこと、そしてお店を繁盛させること、といったイメージでしょうか。

経理の仕事は、日々の取引から決算、納税まで、会社のお金の流れをトータルで管理する、非常に広い範囲をカバーします。単に会計ソフトに入力するだけでなく、そのデータの意味を理解し、会社の現状を把握し、未来のための情報として活用していく「実践」が常に求められるのです。

会社経営における経理の3つの役割

 

会社の羅針盤となる「心臓部」としての機能

経理部門は、会社経営において以下の3つの重要な役割を担います。まさに、会社の羅針盤となる「心臓部」としての機能と言えるでしょう。

1. お金の流れの管理と可視化:キャッシュフローの健全性を保つ
会社がどれだけ利益を出していても、手元に現金がなければ倒産してしまいます。経理は、日々の現金の出入りや預金の残高を管理し、会社のお金が滞りなく流れているか、足りなくならないかを常に監視しています。売上がきちんと回収され、支払いが滞りなく行われているかを確認し、会社の「血液」であるキャッシュフローを健全に保つことが第一の役割です。
2. 経営判断への貢献:正確な情報で未来を予測する
経理が作成する試算表や財務諸表は、経営者が会社の現状を把握し、今後の経営戦略を立てる上で不可欠な情報源です。例えば、「この事業は今月どれくらいの利益が出たのか?」「あとどれくらいコストを削減できるのか?」といった問いに対し、正確な数字を提供することで、経営者は適切な意思決定を下すことができます。未来を予測し、会社の成長を支えるための重要な情報提供者となるのです。
3. 法令遵守とリスク管理:会社を守るための防波堤
会社は、法人税法や消費税法、会社法など、様々な法令を遵守して事業活動を行う義務があります。経理は、これらの法律に基づき、適切な会計処理を行い、期日までに正確な税金を申告・納付する責任を負います。もし誤りがあれば、追徴課税や会社の信用失墜に繋がりかねません。不正やミスのないよう、正確な処理を徹底し、会社を守るための「防波堤」となることも、経理の極めて重要な役割です。

私自身、この3つの役割を常に意識することで、単なる作業ではなく、会社にとって不可欠な存在であるという誇りを持って仕事に取り組めるようになりました。

経理の主要業務:年間サイクルと日々の流れを徹底解説

経理の仕事は、年間を通して様々な業務があります。日々のルーティンから、月に一度の締め作業、そして年に一度の大仕事まで、それぞれのサイクルの業務内容を具体的に見ていきましょう。

日次業務:会社の「今」を支える日常のルーティン

 

毎日欠かせない業務の具体例とポイント

会社の活動は日々行われるため、経理の仕事も毎日発生します。これらは会社の「今」を正確に記録し、月の締め作業の基礎となります。

1. 現金・預金管理:小口現金から銀行振込、ネットバンキング活用術
* 日々の現金の出入りチェックと帳簿付け:会社の規模によっては、従業員の少額の立替金や交通費精算のために小口現金を管理することがあります。毎日、手元にある現金と帳簿の残高が一致するかを確認し、差異があれば原因を特定します。
* 銀行口座の残高確認と照合(消込業務の基礎):毎朝、会社のネットバンキングにログインし、前日までの入出金を確認します。特に売上入金や仕入支払いの確認は重要です。入金があったら、どの請求書に対するものかを特定し、会計システム上で消し込む「消込(けしこみ)業務」を行います。私自身、昔は通帳とにらめっこしながら手作業で消し込んでいましたが、今は会計ソフトと連携させることで大幅に効率化できます。
* 自動化ツールやオンラインバンクの活用:銀行口座と会計ソフトを連携させれば、入出金明細が自動で取り込まれ、仕訳の提案まで行ってくれます。これにより、大幅な時間短縮と入力ミスの削減が可能です。
2. 請求書発行・受領・処理:売上・仕入の入口と出口を確実に
* 売上請求書の発行と送付(クラウド請求書システム):取引先への売上請求書は、通常営業部門が作成しますが、経理が内容を最終確認し、発行・送付を担うこともあります。クラウド請求書システムを使えば、発行から郵送代行、入金管理まで一元化でき、業務が劇的に楽になります。
* 仕入請求書の受領と内容確認(ペーパーレス化):仕入先から届く請求書の内容(金額、日付、商品名など)が発注内容と合致しているか確認します。最近では、PDFで送られてくることが多く、スキャナ保存や電子帳簿保存法対応のシステム導入でペーパーレス化が進んでいます。
* 証憑(しょうひょう)書類のデジタル保存と管理:請求書や領収書などの証憑書類は、税務調査などで必要になる重要な書類です。紙で保管する場合はファイリングを徹底し、デジタル保存する場合は、適切にファイル名を付けてクラウドストレージなどに保存します。
3. 経費精算:立替精算から交通費まで、効率的な処理フロー
* 従業員の経費申請受付と確認:社員が出張や会議などで立て替えた費用(交通費、接待費など)の申請を受け付けます。領収書の内容と申請額が一致しているか、会社の経費規定に沿っているかを確認します。
* 仮払金・立替金の処理と精算:出張前に従業員に渡した仮払金や、従業員が立て替えた費用の精算を行います。
* 経費精算システムの導入メリットと選び方:クラウド型の経費精算システムを導入すれば、従業員はスマホで領収書を撮影・アップロードするだけで申請が完了し、経理は承認・仕訳を効率的に行えます。導入時には、自社の規模や経費規定に合うか、会計ソフトと連携できるかなどを考慮して選びましょう。
4. 仕訳入力と証憑管理:会計ソフトの活用と正確性の追求
* 日々の取引を勘定科目に振り分け、会計ソフトに入力:上記で確認・処理した現金・預金の動き、請求書、経費などのあらゆる取引を、適切な勘定科目に仕訳し、会計ソフトに入力します。これはまさに簿記の知識が活かされる場面ですね。
* 証憑書類(領収書、レシートなど)の電子保存と整理:入力した仕訳に対応する証憑書類は、後から確認できるよう、きちんと整理して保管します。電子帳簿保存法に対応した形で電子保存ができれば、保管の手間も省けます。
* AI-OCRによる入力自動化の可能性:最近では、AI-OCR(光学文字認識)技術を使って、領収書や請求書をスキャンするだけで、日付や金額、勘定科目まで自動で読み取り、仕訳を自動生成してくれるシステムもあります。これにより、入力作業の負担が大幅に軽減されます。

月次業務:経営の羅針盤となる重要なプロセス

 

月末月初に集中する業務と効率化のヒント

月次業務は、1ヶ月間の会社の経済活動を集計し、経営状況を把握するための重要なプロセスです。月末月初に業務が集中しがちですが、効率化の余地も大いにあります。

1. 月次決算の締め作業:試算表作成と経営状況の把握
* すべての取引が計上されているかの確認:1ヶ月間のすべての取引が漏れなく会計ソフトに入力されているかを確認します。未処理の請求書や未精算の経費がないか、念入りにチェックします。
* 月次試算表の作成と経営者への報告:会計ソフトから月次試算表を出力し、売上や費用、利益が計画通りか、異常値はないかなどを確認します。私自身、この月次試算表をもとに経営者に報告する際は、単に数字を並べるだけでなく、「なぜこの数字になったのか」「来月に向けてどう改善すべきか」といった分析を添えるように心がけていました。
* 経営判断に活かすための分析視点(予実分析の基礎):予算と実績を比較する「予実分析」は、月次決算の重要なポイントです。予算と実績に乖離がある場合、その原因を特定し、改善策を検討することで、経営判断に貢献できます。

2. 給与計算と社会保険関連:正確な給与支払いの裏側
* 勤怠データ集計と給与計算:従業員の勤怠データ(出勤日数、残業時間など)を集計し、基本給、各種手当、残業代などを計算します。
* 社会保険料・源泉徴収税の計算と納付:給与から控除する社会保険料や源泉徴収税を計算し、期日までに所轄の機関に納付します。これは非常にデリケートな業務であり、正確性が求められます。
* 人事労務ソフトの活用と法改正への対応:給与計算は、税法や社会保険関連法規の改正が頻繁に行われるため、常に最新の情報を把握しておく必要があります。人事労務ソフトを利用すれば、法改正への自動対応や、計算の自動化が可能です。

3. 支払業務:買掛金・未払金の管理と支払いサイクル
* 期日までの支払いリスト作成:仕入先への買掛金や、家賃、通信費などの未払金を、支払い期日ごとにリストアップします。支払漏れがないよう、慎重に確認します。
* 銀行振込データの作成と実行:支払リストに基づき、ネットバンキングで一括振込データを作成し、承認を得て実行します。
* 請求書払いサービスの活用:最近では、企業間決済を効率化する請求書払いサービス(請求書の受領から支払業務まで代行してくれるサービス)も登場しており、活用することで経理の負担を減らせます。

4. 売掛金・消込業務:売上の回収と管理を徹底する
* 売掛金の残高確認と滞留債権の把握:月末時点で未回収の売掛金(売上代金でまだ入金されていないもの)がどれだけあるかを確認します。支払い期日を過ぎても入金がない「滞留債権」は、会社にとってリスクとなるため、早期に把握することが重要です。
* 入金データとの照合と消込(Excel VBA、GASでの自動化):銀行から入金があった際、どの請求書に対する入金かを特定し、会計ソフトで売掛金を消し込みます。件数が多い場合は、Excel VBAやGoogle Apps Script(GAS)を使って、入金データと売掛金データを自動で照合し、消込リストを作成するような自動化も可能です。これは私が実際に構築して、大幅な時間短縮に成功した経験があります。
* 未回収リスクの管理と督促対応:滞留債権がある場合、営業部門と連携して督促を行う必要があります。入金が遅れる原因を探り、回収に向けたアクションを促します。

5. 棚卸資産の管理と計上:正しい原価計算のために
* 月末棚卸の実施と評価:商品を扱う会社では、月末に倉庫や店舗にある商品の在庫数を数える「棚卸」を行います。その数量と単価から、月末時点の棚卸資産の金額を評価します。
* 棚卸資産の仕訳と帳簿残高との突合:評価した棚卸資産の金額を会計ソフトに仕訳計上し、帳簿上の在庫残高と実際の棚卸結果が一致するかを確認します。これにより、売上原価が正しく計算され、利益が適切に表示されることになります。

年次業務:会社の健康診断と未来への準備

 

年に一度の大仕事と税務・法令対応のポイント

年次業務は、年に一度の会社の「健康診断」とも言える一大イベントです。会社の1年間の成果を確定させ、税金を計算し、株主や税務署に報告する重要な責任を伴います。

1. 年次決算:有価証券報告書作成から確定申告までの一連の流れ
* 決算整理仕訳の実施:期末に、未払費用や前払費用、減価償却費などの決算特有の仕訳を行います。これらは「見越・繰延」などと呼ばれ、正しい期間損益を計算するために不可欠な処理です。
* 財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)の作成:決算整理仕訳が完了したら、会社の資産・負債・純資産の状態を示す「貸借対照表(B/S)」と、1年間の収益・費用・利益を示す「損益計算書(P/L)」などの財務諸表を作成します。
* 子会社を持つ場合の連結決算業務:親会社と子会社を持つグループ企業の場合、それぞれの会社の財務諸表を合算し、グループ全体の財政状態や経営成績を示す「連結財務諸表」を作成する「連結決算」が必要になります。これは非常に複雑で高度な知識が求められる業務です。

2. 確定申告(法人税・消費税など):税務署への正確な報告
* 法人税・消費税・事業税などの税額計算:作成した財務諸表をもとに、法人税、消費税、事業税など、会社が支払うべき税金を計算します。税法上の特例や優遇措置を適用できるかどうかも検討します。
* 申告書作成とe-Taxでの電子申告:計算した税額に基づき、各種税務申告書を作成します。現在では、ほとんどの会社がe-Tax(電子申告システム)を利用して、インターネット経由で申告を完了させています。
* 税理士との連携と税務調整:多くの会社では、税務申告書の作成や税務上の相談を税理士に依頼します。経理部門は、税理士がスムーズに業務を行えるよう、必要な資料を提供し、連携を密に取ります。決算書の利益と税法上の利益には差異があるため、その調整(税務調整)も重要なプロセスです。

3. 年末調整・法定調書作成:従業員の税務手続きを一括で
* 従業員の扶養控除等申告書等の回収:会社が従業員に代わって所得税を計算・納付する「源泉徴収」の一環として、年末に従業員から扶養控除申告書などを回収し、年末調整を行います。
* 源泉徴収票・給与支払報告書の作成と提出:年末調整の結果に基づき、従業員の源泉徴収票を作成し、従業員に交付します。また、市町村に提出する給与支払報告書などの法定調書も作成します。

4. 償却資産税申告:固定資産の正確な把握と税務上の処理
* 償却資産台帳の管理:会社が保有する土地や建物以外の事業用資産(機械、備品など)は「償却資産」として固定資産税が課税されます。これらの資産を正確に把握し、償却資産台帳で管理します。
* 償却資産税の申告書作成と提出:毎年1月1日時点の償却資産の状況を、市町村に申告します。これにより、固定資産税の一部である償却資産税が計算されます。

随時業務:予期せぬ対応と戦略的な視点

 

臨機応変な対応が求められるイレギュラー業務

上記の定型業務以外にも、経理には臨機応変な対応が求められる「随時業務」が存在します。これらは会社の経営戦略にも深く関わる重要な業務です。

1. 資金繰り管理と融資対応:会社の生命線を守る
* 日々のキャッシュフロー予測と実績管理:日々の入出金だけでなく、数ヶ月先までの資金の流れを予測し、資金が不足しないよう管理します。これは会社経営の生命線とも言える重要な業務です。
* 金融機関との折衝と融資書類の作成:設備投資や事業拡大のために資金が必要な場合、金融機関と交渉し、融資を受けるための事業計画書や財務諸表などの書類作成をサポートします。
* 経営セーフティ共済や補助金活用:不測の事態に備える経営セーフティ共済への加入や、事業に活用できる各種補助金・助成金の情報収集・申請手続きなども経理が担うことがあります。

2. 固定資産管理と減価償却:資産の取得から売却までを追跡
* 固定資産台帳の更新:会社が新たに土地、建物、機械などを取得した場合や、売却・除却した場合に、固定資産台帳を更新します。
* 減価償却費の計算と計上:固定資産は、時間の経過とともに価値が減少していくため、その減少分を費用として計上する「減価償却」を行います。計算方法も定額法、定率法など複数あり、適切な方法で計算・計上します。

3. 税務調査対応:日頃の正確な処理が鍵を握る
* 税務署からの連絡対応と資料準備:数年に一度、税務署による税務調査が入ることがあります。経理は、税務署からの事前連絡を受け、調査に必要な会計帳簿や証憑書類などを準備します。
* 税理士との連携:税務調査当日は、税理士と共に立ち会い、税務署からの質問に対応します。日頃から正確な会計処理を行っていれば、自信を持って対応できるはずです。

4. 監査対応:透明性確保のための外部チェック
* 監査法人からの資料請求と質問対応:上場企業や特定の規模以上の企業は、外部の監査法人による監査を受ける義務があります。経理は、監査法人の求めに応じて資料を提出し、質問に回答することで、財務情報の透明性確保に協力します。
* 内部統制評価への協力:会社全体の業務プロセスが適切に整備され、機能しているかを評価する「内部統制評価」にも協力します。

5. 予算管理・予実分析:経営戦略への貢献と目標達成の支援
* 年間予算の策定と進捗管理:次年度の事業計画に基づき、売上や費用、利益などの年間予算を策定します。各部門と連携し、予算達成に向けた進捗を月次で管理します。
* 実績と予算の差異分析と改善提案:月次決算で把握した実績と予算との差異を分析し、その原因を特定します。そして、経営層や各部門に対して、予算達成に向けた改善提案を行います。これはまさに経理が「経営のパートナー」として貢献できる、非常に戦略的な業務です。

経理業務で直面する「あるある」課題と「実践的」解決策

経理の仕事はやりがいがある一方で、多くの課題にも直面します。私自身も「なぜもっと早くこうしなかったんだろう…」と後悔した経験が何度もあります。ここでは、代表的な「あるある」課題と、その「実践的」な解決策をご紹介します。

課題1:ヒューマンエラーと属人化

 

誰かのミスが会社全体の損失に

 

  • 手作業による計算ミスや入力漏れ

「たった1円のズレで何時間も残業した…」経理担当者なら誰もが経験する悪夢です。手作業での入力や計算が多いと、どうしてもミスは発生しやすくなります。

  • 担当者しか業務内容を把握していない「ブラックボックス化」

特定の担当者しかできない業務があると、その人が休んだり退職したりした際に、業務が滞ってしまうリスクがあります。これを「属人化」と呼びます。私が入社したばかりの頃、経費精算業務が完全に属人化しており、担当者が不在の際に誰も対応できず、混乱したことがありました。

解決策:業務標準化とダブルチェック体制の構築

 

ミスを減らし、誰もが対応できる仕組みを作る

 

  • 業務マニュアルの作成と共有

各業務の具体的な手順、使用するシステム、注意点などを詳細に記した業務マニュアルを作成し、チーム内で共有します。これにより、新入社員でもスムーズに業務に入れるようになり、属人化も防げます。

  • 複数人でのチェック体制の導入

重要な業務、特に支払業務や決算処理など、ミスが許されない業務では、必ず複数人でチェックする体制を導入しましょう。私が在籍していた会社では、支払処理の最終承認は必ず経理部長が行うなど、段階的な承認プロセスを設けていました。

課題2:膨大な手作業と時間不足

 

「残業ありき」の業務フローからの脱却

 

  • 紙ベースの書類処理や手入力作業

紙の請求書や領収書が山積みになり、それを手作業で仕訳入力している。これは、多くの経理部門が抱える共通の課題です。月末月初や決算期には、残業が常態化してしまう原因となります。

  • 月末月初、決算期に集中する業務負荷

月次決算や年次決算の時期は、通常の業務に加えて、複雑な締め作業が重なり、経理部門の負担はピークに達します。「残業ありき」になりがちなこの状況を改善する必要があります。

解決策:会計ソフト・クラウド会計の徹底活用

 

経理業務の基盤をデジタル化する

 

  • 仕訳入力の自動化、連携機能の活用

Freee、マネーフォワードクラウド会計、弥生会計などのクラウド会計ソフトは、銀行口座やクレジットカード、POSレジなどと連携し、取引データを自動で取り込み、仕訳を自動提案してくれます。これにより、手入力作業を大幅に削減できます。

  • リアルタイムでの財務状況把握

クラウド会計は常に最新のデータが反映されるため、いつでも会社の財務状況をリアルタイムで把握できます。経営判断のスピードアップにも繋がります。

解決策:Excel VBA、GAS、Python、RPAによる自動化

 

プログラミングで「超」効率化を実現する

 

  • データ集計・加工、レポート作成の自動化

ExcelのVBA(Visual Basic for Applications)や、GoogleスプレッドシートのGAS(Google Apps Script)を使えば、複雑なデータ集計や加工、定型的なレポート作成を自動化できます。私自身も、毎月の予実分析レポートの作成をGASで自動化し、毎月数時間の短縮に成功しました。生成AIを活用したVBAプログラミングについては、こちらで詳しく解説しています。

  • 他システムとの連携スクリプト作成

Pythonなどのプログラミング言語を使えば、会計システムと販売管理システムなど、異なるシステム間のデータ連携を自動化することも可能です。RPA(Robotic Process Automation)は、人間が行うPC上の定型作業をロボットが代行してくれるツールで、入力作業やデータ転記などの自動化に威力を発揮します。

解決策:生成AI(ChatGPTなど)を活用した業務効率化

 

AIを「もう一人の経理担当者」にする

 

  • 複雑な税務・会計の質問への即時回答

「この取引の消費税区分は?」「減価償却費の計算方法は?」といった税務・会計に関する質問に対し、生成AIは膨大な学習データから瞬時に適切な回答を生成してくれます。もちろん最終確認は必要ですが、調べる時間を大幅に短縮できます。

  • 契約書や議事録からの情報抽出・要約

長文の契約書から重要な日付や金額、当事者情報を抽出したり、会議の議事録を要約したりすることも可能です。

  • 報告書やメール作成の支援

月次報告書のドラフト作成や、他部署への依頼メールの作成など、文章作成業務の支援にも活用できます。まさに、もう一人の経理担当者がいるかのように、日々の業務をサポートしてくれる存在となりつつあります。より具体的な活用事例については、経理の未来を劇変させるChatGPTの実践活用事例もご覧ください。

課題3:他部署との連携不足と情報非対称性

 

孤立しがちな経理部門が陥る落とし穴

 

  • 情報が経理に集中し、他部署の状況が見えにくい

経理は会社のお金の流れをすべて把握していますが、その情報が他部署に適切に共有されず、「経理は何をしているのか分からない」と思われてしまうことがあります。

  • 経理からの依頼が「なぜ必要か」理解されない

「この領収書、いつのものですか?」「この費用の内容は何ですか?」と経理が他部署に質問しても、「なんでそんなこと聞くの?」と不満に思われたり、協力が得られにくかったりすることがあります。これは、経理がなぜその情報を必要としているのか、他部署が理解していないために起こります。

解決策:コミュニケーション強化と情報共有システムの導入

 

経理を「経営のパートナー」にする

 

  • 定期的な部門間ミーティングの実施

各部門の担当者と定期的にミーティングを行い、経理が把握している数字の背景にある事業活動を理解し、経理からも数字に基づいたフィードバックを行うことで、相互理解を深めます。

  • SFA、CRMなどのデータ共有プラットフォーム活用

営業管理システム(SFA)や顧客管理システム(CRM)などを導入し、営業やマーケティング、経理が共通のプラットフォームで情報を共有することで、部門間の情報非対称性を解消し、連携をスムーズにします。

  • 経理情報の「翻訳者」になる

私自身が意識しているのは、難しい会計・税務の専門用語を、相手が理解しやすい言葉に「翻訳」して伝えることです。例えば、営業担当者には「粗利益をあと5%改善するために、こんなコスト削減策を検討できませんか?」など、彼らの業務に落とし込んで具体的な話をするようにしています。これにより、経理が単なる「お金の番人」ではなく、「経営のパートナー」として認識されるようになります。

経理のプロを目指す!必要なスキルとキャリアパス

ここまで、経理の仕事内容と課題、解決策を見てきました。では、経理としてキャリアを築き、プロフェッショナルになるためには、どんなスキルが必要で、どのようなキャリアパスがあるのでしょうか。

経理に必須の基礎スキル

 

これだけは押さえておきたい経理の土台

1. 会計・税務知識:簿記からのステップアップと実践応用
* 簿記2級レベルの知識は必須:簿記3級で経理の基礎を理解し、簿記2級で工業簿記(製造業の原価計算)や株式会社の会計処理を学ぶことで、ほとんどの企業経理に対応できる土台ができます。
* 税法改正へのアンテナと情報収集能力:税法は毎年のように改正があります。常に最新の税法をキャッチアップし、自社の業務にどう影響するかを理解する情報収集能力が求められます。税理士のセミナーに参加したり、専門のニュースサイトをチェックしたりすることが重要です。
2. PCスキル(Excel・会計ソフト):実践で差をつける「神速」操作術
* Excel関数・VBAによるデータ分析・自動化:VLOOKUP関数、SUMIFS関数などの基本的な関数はもちろん、ピボットテーブルを使ったデータ集計・分析、マクロやVBAを使った定型業務の自動化ができると、仕事の効率が格段に上がります。これは「できる経理」の必須スキルと言えるでしょう。
* 主要会計ソフト(Freee, マネーフォワード, 弥生会計など)の習熟:実際に多くの企業で使われている会計ソフトの操作に習熟しておくことは、入社後すぐに戦力となるために非常に有利です。特にクラウド会計は、今後のスタンダードになっていくでしょう。
3. コミュニケーション能力:他部署連携の要となる「橋渡し役」
* 専門用語を使わない説明能力:経理は会計や税務の専門用語を使う機会が多いですが、他部署の人に話す際は、専門用語を避け、誰にでもわかる言葉で説明する能力が重要です。「なぜこの情報が必要なのか」「これをお願いすることで、会社にとってどんなメリットがあるのか」を明確に伝えられると、協力も得やすくなります。
* 円滑な情報収集と依頼調整:経理は、各部門から必要な情報を収集する必要があります。相手の業務を理解し、無理のない形で情報を引き出せるよう、日頃から良好な人間関係を築いておくことが大切です。

経理のキャリアパス:専門家から経営幹部、独立まで

 

あなたの未来を描く選択肢

経理の仕事は、その奥深さから多様なキャリアパスが描けます。簿記の知識とAIスキルを組み合わせることで、年収1000万円から3000万円を目指すキャリアも夢ではありません。

1. スペシャリストとしての道:税務、監査、IFRSなど特定の分野を極める
* 税理士、公認会計士資格取得:より高度な税務知識や監査能力を身につけ、企業の税務顧問や監査業務を専門とする道です。特に税理士資格は、独立開業も可能な強力な武器となります。
* 国際会計基準(IFRS)対応の実務経験:グローバルに事業を展開する企業では、国際会計基準(IFRS)への対応が求められます。IFRSの実務経験を積むことで、国際的な経理のスペシャリストとして高い市場価値を得られます。

2. マネジメントへの道:経理部長、CFO(最高財務責任者)を目指す
* 部門全体の統括と戦略策定:経理の実務経験を積み、マネジメント職に昇進すると、経理部門全体の業務設計、人員配置、予算管理などを統括する役割を担います。
* 経営陣の一員として財務戦略を立案:CFO(最高財務責任者)は、経営陣の一員として会社の財務戦略を立案し、資金調達、投資判断、リスク管理など、経営の根幹に関わる意思決定を担います。これはまさに、経理が会社の「心臓部」として機能する最高峰のポジションと言えるでしょう。

3. 独立・起業という選択肢:マイクロ法人・個人事業主として自ら実践
* 自分の事業の経理を全て担当:経理の知識と経験は、個人事業主やマイクロ法人として独立・起業する際に非常に役立ちます。自分で会社の経理をすべて担当できるため、税理士報酬などのコストを削減し、事業の資金繰りを自分でコントロールできます。
* 会計事務所としての独立:税理士資格を取得して、自ら会計事務所を開業し、中小企業の経理支援や税務申告代行を行う道もあります。

まとめ:実践的経理で会社と自分を成長させよう

経理は会社の心臓部!そして自身の成長を促す舞台

この記事を通じて、経理の仕事は単なる事務作業ではないことをご理解いただけたでしょうか。経理の仕事は、会社の状況を最も詳細に把握し、経営を支える戦略的な役割を担っています。日々の業務を通じて、会計・税務の知識はもちろん、ITスキル(Excel、会計ソフト、VBA/GAS、RPA、そして生成AI)やコミュニケーション能力、問題解決能力を磨くことができます。

まさに、経理の仕事は、あなたのキャリアを豊かにし、人間的な成長を促す素晴らしい舞台なのです。私自身も、経理の仕事を通じて多くの学びと成長を経験してきました。

今から始める実践的経理の一歩

この記事で得た全体像を参考に、自身のキャリアプランや日々の業務改善に役立ててください。特に、業務効率化ツールや生成AIの活用は、これからの経理担当者にとって必須のスキルとなります。デジタルツールの進化は、経理業務のあり方を大きく変えつつあります。これらを積極的に学び、取り入れることで、あなたは会社にとって不可欠な存在となり、自身の市場価値を飛躍的に高めることができるでしょう。

さあ、今日から「実践的経理」の第一歩を踏み出し、会社を成長させるとともに、あなた自身の未来を切り拓いていきましょう!

よくある質問

Q1:未経験から経理職に転職することは可能ですか?
A1:はい、十分に可能です。特に、簿記2級程度の知識があれば、未経験でも採用されるチャンスは広がります。中小企業やベンチャー企業では、実務経験よりもポテンシャルや学ぶ意欲を重視する傾向があります。また、会計ソフトの基本的な操作スキルやExcelスキルをアピールすることも有効です。まずはパートや派遣から始めて実務経験を積むという選択肢もあります。

Q2:経理の仕事に向いているのはどんな人ですか?
A2:経理の仕事は、数字を正確に扱うため、几帳面で論理的な思考ができる人に向いています。また、日々のルーティンワークを地道にこなせる忍耐力や、法改正など新しい情報を常に学び続ける探求心も重要です。さらに、他部署との連携が多いため、コミュニケーション能力が高く、相手に分かりやすく説明できる人も経理で活躍できるでしょう。

Q3:経理の将来性は今後どうなりますか?
A3:AIやRPAなどのテクノロジーの進化により、定型的な仕訳入力やデータ処理などの業務は自動化が進むでしょう。しかし、経理の仕事がなくなるわけではありません。むしろ、自動化された時間を使って、データ分析、予算策定、資金繰り予測、経営戦略への提言といった、より高度で戦略的な業務へのシフトが求められます。したがって、変化に対応し、常にスキルアップを続けることで、経理の将来性は非常に明るいと言えます。

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