【株式投資の入門】
PER、PBR、PSR、PEGとは?
割安株を見つけるための超入門ガイド
はじめに:株価は「高い?安い?」を見極める重要性
株式投資を始めたばかりの初心者にとって、株価が「高いのか?安いのか?」を判断するのは非常に難しいものです。
「この会社、すごく良い会社らしいけど、今の株価って割高なのかな?」
「なんかみんなが騒いでるけど、今はちょっと高すぎる気がする…」
そんな疑問を抱えたことがあるのではないでしょうか。
株式投資の世界では、株価の割高・割安を判断するための指標がいくつか存在します。これらの指標を理解することで、より賢く投資判断ができるようになります。
この記事では、株式投資の初心者でも分かりやすいように、以下の4つの指標について徹底解説します。
- PER(株価収益率): 企業の利益と株価を比較する指標
- PBR(株価純資産倍率): 企業の純資産と株価を比較する指標
- PSR(株価売上高倍率): 企業の売上高と株価を比較する指標
- PEGレシオ(株価収益成長率): 成長率も考慮した割安度を測る指標
これらの指標を使いこなし、株式投資の世界をより深く理解していきましょう。
1. PER(株価収益率):利益と株価の関係を読み解く
PERとは?
PER(Price Earnings Ratio)は、株価が企業の利益に対して何倍になっているかを示す指標です。一般的に、PERが低いほど割安、高いほど割高と判断されます。
PERの計算式
PER = 株価 ÷ 1株あたり利益(EPS)
ここで、
- 株価: 現在の株価のこと。
- 1株あたり利益(EPS): 企業が1年間に上げた利益を、発行済み株式数で割ったもの。
PERから何がわかるのか?
PERは、企業の利益に対して株価がどれだけ評価されているかを示します。
例えば、PERが10倍の会社と20倍の会社があった場合、10倍の会社は「利益に対して株価が割安」、20倍の会社は「利益に対して株価が割高」と判断できます。
PERの注意点
- 業種による違い: 業種によってPERの平均値は異なります。成長性の高いIT企業などは、PERが高くなる傾向があります。
- 成長性を考慮する必要性: PERはあくまで現時点での利益をベースに計算されます。将来の成長性を見込んでPERが高く評価されている場合もあります。
- PERだけで判断しない: PERはあくまで数ある指標の一つです。他の指標も合わせて総合的に判断しましょう。
- 「1株あたりの利益(EPS)」は忘れてOK: 複雑な計算を避けるため、記事内では「会社の価格」と「利益」の比較として捉えてください。
実例で見てみよう
例えば、ある会社の「会社の価格(時価総額)」が8兆円で、年間利益が1兆円だったとしましょう。
この会社のPERは、8兆円 ÷ 1兆円 = 8倍 となります。
これは、この会社の利益が、現在の株価の8倍になっていることを意味します。
PERは「回収年数」の目安
PERは、単純に「何年で投資金額を回収できるか」の目安としても捉えることができます。
PERが8倍であれば、今の利益が続く限り、8年で投資金額を回収できる計算になります。
しかし、実際の投資においては、利益が変動すること、株価が変動することなどを考慮する必要があります。
2. PBR(株価純資産倍率):会社の「実質価値」と株価を比較
PBRとは?
PBR(Price Book-value Ratio)は、株価が企業の純資産に対して何倍になっているかを示す指標です。一般的に、PBRが低いほど割安、高いほど割高と判断されます。
PBRの計算式
PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)
ここで、
- 株価: 現在の株価のこと。
- 1株あたり純資産(BPS): 企業の純資産を発行済み株式数で割ったもの。
PBRから何がわかるのか?
PBRは、企業の「実質的な価値」である純資産に対して株価がどれだけ評価されているかを示します。
例えば、PBRが0.5倍の会社と1.5倍の会社があった場合、0.5倍の会社は「純資産に対して株価が割安」、1.5倍の会社は「純資産に対して株価が割高」と判断できます。
PBRの注意点
- 業種による違い: 業種によってPBRの平均値は異なります。例えば、不動産会社などはPBRが高くなる傾向があります。
- 純資産の算出方法の違い: 純資産の算出方法は会計基準によって異なる場合があります。
- PBRだけで判断しない: PBRはあくまで数ある指標の一つです。他の指標も合わせて総合的に判断しましょう。
- 「1株あたり純資産(BPS)」は忘れてOK: 複雑な計算を避けるため、記事内では「会社の価格」と「会社の純資産」の比較として捉えてください。
実例で見てみよう
例えば、ある会社の「会社の価格(時価総額)」が8兆円で、純資産が16兆円だったとしましょう。
この会社のPBRは、8兆円 ÷ 16兆円 = 0.5倍 となります。
これは、この会社の純資産が、現在の株価の半分しかないことを意味します。
PBRは「バーゲンセール」の目安
PBRが1倍を下回っている場合、その会社の株価は「バーゲンセール」状態にあると捉えることができます。
これは、その会社の「実質的な価値」よりも、株価が低く評価されていることを意味します。
ただし、PBRが低いことには、それなりの理由があるかもしれません。
業績が低迷していたり、将来性が不安視されている場合もあります。
PBRが低いというだけで、安易に投資判断をするのは危険です。
3. PSR(株価売上高倍率):売上高と株価の関係を読み解く
PSRとは?
PSR(Price Sales Ratio)は、株価が企業の売上高に対して何倍になっているかを示す指標です。特に、まだ利益が出ていない成長企業を評価する際に使われることが多いです。
PSRの計算式
PSR = 株価 ÷ 1株あたり売上高(SPS)
ここで、
- 株価: 現在の株価のこと。
- 1株あたり売上高(SPS): 企業の売上高を発行済み株式数で割ったもの。
PSRから何がわかるのか?
PSRは、企業の売上高に対して株価がどれだけ評価されているかを示します。
例えば、PSRが1倍の会社と3倍の会社があった場合、1倍の会社は「売上高に対して株価が割安」、3倍の会社は「売上高に対して株価が割高」と判断できます。
PSRの注意点
- 業種による違い: 業種によってPSRの平均値は異なります。一般的に、利益率の高い企業はPSRが高くなる傾向があります。
- 利益が出ていない企業を評価する際に有効: PSRは、まだ利益が出ていない成長企業を評価する際に特に有効です。
- PSRだけで判断しない: PSRはあくまで数ある指標の一つです。他の指標も合わせて総合的に判断しましょう。
- 「1株あたり売上高(SPS)」は忘れてOK: 複雑な計算を避けるため、記事内では「会社の価格」と「売上高」の比較として捉えてください。
実例で見てみよう
例えば、ある会社の「会社の価格(時価総額)」が8兆円で、年間売上高が4兆円だったとしましょう。
この会社のPSRは、8兆円 ÷ 4兆円 = 2倍 となります。
これは、この会社の売上高が、現在の株価の2倍になっていることを意味します。
PSRは「将来性」の目安
PSRは、まだ利益が出ていない成長企業を評価する際に有効です。
売上高が伸びていれば、将来的に利益も伸びる可能性が高いと判断できます。
ただし、PSRが高いからといって、必ずしも将来性が高いとは限りません。
売上高が伸びているものの、利益率が低い場合もあります。
PSRだけで判断するのではなく、他の指標も合わせて総合的に判断することが大切です。
4. PEGレシオ:成長率も考慮した「真の割安度」を測る
PEGレシオとは?
PEGレシオ(Price Earnings to Growth ratio)は、PERを企業の利益成長率で割った指標です。成長性を考慮した、より精度の高い割安度を測るために用いられます。
PEGレシオの計算式
PEGレシオ = PER ÷ 利益成長率
ここで、
- PER: 株価収益率
- 利益成長率: 企業の利益がどれだけ成長しているかを示す割合
PEGレシオから何がわかるのか?
PEGレシオは、PERだけでは判断できない、企業の成長性を考慮した割安度を測ることができます。
例えば、PERが高い企業でも、高い成長率が見込まれる場合は、PEGレシオが低くなり、割安と判断される場合があります。
PEGレシオの注意点
- 成長率の算出方法に注意: 成長率は、過去の実績から算出する場合と、将来の予想から算出する場合があります。
- 成長率が変動する可能性: 企業の成長率は常に一定ではありません。様々な要因で変動する可能性があります。
- PEGレシオだけで判断しない: PEGレシオはあくまで数ある指標の一つです。他の指標も合わせて総合的に判断しましょう。
- 成長企業向け指標: PEGレシオは、特に成長率の高い企業を評価する際に有効な指標です。
実例で見てみよう
例えば、ある会社のPERが20倍で、利益成長率が20%だったとしましょう。
この会社のPEGレシオは、20倍 ÷ 20% = 1倍 となります。
一方、別の会社のPERが10倍で、利益成長率が5%だったとしましょう。
この会社のPEGレシオは、10倍 ÷ 5% = 2倍 となります。
この例では、PERだけを見ると、後者の会社の方が割安に見えますが、PEGレシオで見ると、前者の会社の方が割安と判断できます。
PEGレシオは「成長」の可能性を考慮
PEGレシオは、成長性の高い企業を評価する際に非常に有効な指標です。
成長が期待できる企業は、PEGレシオが低くなる傾向があります。
ただし、成長率の変動リスクも考慮する必要があります。
成長率が予想を下回った場合、PEGレシオが割高になる可能性もあります。
【補足】株式投資初心者が陥りやすいワナ
これらの指標は、あくまで企業の状況を判断する材料の一つです。
指標だけで投資判断をすることは非常に危険です。
特に、株式投資初心者が陥りやすいワナを以下にまとめます。
- 「安い」という言葉に釣られる:
指標だけで「安い」と判断して投資をすると、
実は業績が低迷していて、将来的に株価が下落する可能性があります。
「なぜ安いのか?」という理由をしっかり分析しましょう。 - 指標だけで判断してしまう:
株価を判断する要素はたくさんあります。
業績、業界動向、将来性など、様々な要素を総合的に判断しましょう。 - 「良いニュース」に飛びついてしまう:
「この会社、すごい技術があるらしい!」といったニュースに飛びついて
投資をしてしまうと、実は株価が割高だったということもあります。
自分で調べて、企業の価値を判断しましょう。 - 「難しい」と敬遠する:
株式投資を難しく捉えて、何もしないのはもったいないです。
一歩ずつで良いので、理解を深めていきましょう。
まとめ:PER、PBR、PSR、PEGレシオを使いこなそう
この記事では、株式投資の初心者でも分かりやすいように、以下の4つの指標について解説しました。
- PER(株価収益率): 企業の利益と株価を比較する指標
- PBR(株価純資産倍率): 企業の純資産と株価を比較する指標
- PSR(株価売上高倍率): 企業の売上高と株価を比較する指標
- PEGレシオ(株価収益成長率): 成長率も考慮した割安度を測る指標
これらの指標を使いこなし、株式投資の世界をより深く理解していきましょう。
重要なのは、これらの指標はあくまで「参考」程度にとどめ、他の指標や企業のファンダメンタルズ分析と合わせて、総合的に判断することです。
焦らず、じっくりと企業の価値を見極め、賢い投資家を目指しましょう。