
こんにちは!ビジネスやテクノロジーの話題にアンテナを張っている皆さん、特にホリエモンこと堀江貴文さんの発言にはいつも注目してしまいますよね。
最近、新経済番組『REAL VALUE(リアルバリュー)』で、ホリエモンが楽天モバイルの未来について、かなり踏み込んだ発言をして話題になっています。「楽天モバイルは事業を撤退すべきか、継続すべきか」というテーマで、ホリエモンは明確に「撤退すべき」という立場を取ったんです。
ホリエモン「僕は撤退すべきだと思います」
この一言、かなりインパクトがありましたよね。長年、楽天グループを率いてきた三木谷浩史さんにとっては、まさに「最終通告」とも受け取れるような厳しいメッセージです。
この記事では、『リアルバリュー』でのホリエモンや他の出演者たちの議論を詳しく掘り下げながら、なぜホリエモンが「撤退」を主張するのか、楽天モバイルが抱える課題、そして今後の未来について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。楽天モバイルの契約を検討している方、楽天グループの株主の方、あるいは単に日本のモバイル業界の動向が気になる方にとっても、非常に興味深い内容になるはずです。
この記事でわかること
- 『リアルバリュー』での楽天モバイル「撤退 vs 継続」討論の詳細
- ホリエモンが楽天モバイル「撤退」を主張する核心的理由(MVNOで良かった論、財務リスク、将来性への疑問など)
- 継続派や慎重派の意見(森川氏、水口氏らの視点)
- 楽天モバイルの未来を左右する重要ファクター(設備投資、ARPU、ライブコマース、楽天シンフォニー)
- ホリエモンが提案する楽天モバイルの「バリューアッププラン」(KDDIによる買収案など)
- 三木谷氏へのメッセージと今後の展望
それでは、早速『リアルバリュー』での白熱した議論の中身を見ていきましょう!

『リアルバリュー』で勃発!楽天モバイル「撤退 vs 継続」討論の全貌
今回の『リアルバリュー』は、まさに楽天モバイルの未来を占うような、緊張感あふれる討論会となりました。冒頭から、番組レギュラーであり、自らもソフトバンクの事業に11年間携わった経験を持つ水口哲也さん(リアルバリューCEO)が「撤退派」を表明。水口氏「あ、もういらないっすね。楽天に撤退」と、かなりストレートな意見が飛び出します。
そして、満を持して登場したホリエモンも、迷うことなく「撤退派」の席に着席。これにはスタジオも「勝ったね!」という雰囲気に包まれました。ホリエモンの楽天に関する発言は、これまでもYouTubeなどでたびたびバズってきましたが、今回もその影響力の大きさを感じさせました。
なぜホリエモンは「撤退派」なのか?その核心的理由
では、なぜホリエモンはこれほどまでに強く楽天モバイルの「撤退」を主張するのでしょうか?番組内での彼の発言を紐解いていくと、いくつかの明確な理由が見えてきます。
1. 楽天グループ全体の企業価値を毀損している
ホリエモン「株価はどう考えても楽天グループの全体の今の企業価値を考えたらめちゃくちゃアンダーバリューだと思うんですよ。で、なんでかって言うとそれは楽天モバイル始めたからですようん。だからやめたら戻りますよ」
ホリエモンがまず指摘したのは、楽天モバイル事業が楽天グループ全体の株価を著しく押し下げているという点です。楽天市場(Eコマース)は好調で、金融事業(楽天カード、楽天銀行、楽天証券など)も非常に収益性が高いにも関わらず、モバイル事業への巨額投資と赤字がグループ全体の足を引っ張り、企業価値が正当に評価されていない(アンダーバリュー)と考えているのです。
2. 金融事業など「虎の子」の切り売りリスク
ホリエモン「金融事業もめちゃくちゃ好調なのに金融事業、みずほ銀行に切り売りしてるからね。だってさ、証券も銀行も売って…カードも売っちゃったじゃん、ちょっと。あれ結構本当ギリギリだから、カード売り始めたら俺危ないって言ってたわけです」
モバイル事業の赤字を補填するために、楽天はこれまで好調だった楽天銀行や楽天証券の一部株式を売却してきました。ホリエモンは、楽天経済圏の根幹とも言える楽天カードにまで手をつける状況は、かなり危険な兆候だと警鐘を鳴らしています。楽天ポイントと密接に結びついたカード事業を手放すことは、楽天経済圏の競争力そのものを失うことになりかねないと懸念しているのです。
3. そもそもMNO(自社回線網)である必要性がなかった(MVNOで十分だった)
ホリエモン「別にMVNOでいいじゃん。…なんでMVNOじゃなくてMNOを選んだのかが俺さっぱりわかんない」
ホリエモン「それだったら別にMVNOでやってりゃよかったんじゃねえのっていうの、俺ね、前澤さんの株(カブアンドモバイル)を見てそう思ったの」
これがホリエモンの主張の核心部分かもしれません。楽天モバイルは当初、ドコモやauの回線を借りてサービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)としてスタートし、IIJに次ぐ業界2位の規模でした。しかし、三木谷氏は自社で基地局を建設し、回線網を持つMNO(移動体通信事業者)として、ドコモ、au、ソフトバンクに次ぐ第4のキャリアになる道を選びました。
ホリエモンは、このMNO化がそもそもの間違いだったと指摘します。MVNOのままでも、工夫次第で楽天経済圏とのシナジーを活かして会員数を伸ばすことは可能だったはずだと考えているのです。
その根拠として、ホリエモンは自身が手がける「ホリエモバイル」や、前澤友作氏が始めたMVNOサービス「カブアンドモバイル」が好調である点を挙げます。「カブアンドモバイルめっちゃ伸びてますよ。もう楽天モバイルに迫る勢いで。あのMVNOでも売れてるわけだったらMVNOでいいじゃん。そしたら設備投資いらないじゃん。お金かかんないじゃん」と、MVNOでも十分に戦えることを強調しました。
なぜMVNOのままではダメだったのか?ホリエモンは、三木谷氏が「MNOじゃないから伸びない」という言い訳をし、トップダウンで強引にMNO化を進めたのではないかと推測しています。また、「意地になってるだけかなって感じです」とも。
4. 巨額の設備投資負担と将来のインフラコスト
ホリエモン「MVNOでいいじゃん。そしたら設備投資いらないじゃん。お金かかんないじゃん」
ホリエモン「今まだ楽天モバイル使ってる人少ないからいいんだけど、増えてくるとインフラ投資が馬鹿にかかってくんすよね。…彼ら(ドコモ、au、ソフトバンク)の企業体力からすると早々に僕は撤退した方が傷が浅くていいのかな、今のうちだと思いますよ、私もうん」
ホリエモン「これから5G対応とかして、これから5、6000億またさらに積みますわけですよ。さらに言うと、これから長期金利上がってきますよね、多分。…首、もう回らなくなりますよ、今のうちにやめないとうん」
MNOである以上、自社で基地局を建設・維持し、常に最新技術(5G、そして将来の6G)に対応していくための莫大な設備投資が不可欠です。楽天モバイルはすでに1兆5000億円以上を投じているとされますが、今後もさらに数千億円規模の投資が必要になるとホリエモンは指摘します。
加えて、今後の金利上昇リスクも懸念材料です。巨額の有利子負債を抱える楽天にとって、金利上昇はそのまま利払い負担増に直結します。「テンパ(10%)…1兆円のテンパって1000億すからね。うん。それが毎年なくなるんすよ。すごいよね」という発言からも、その深刻さがうかがえます。
5. ARPU(顧客単価)の低さと向上策の不在
ホリエモン「あともう1個、ARPUが上がんないんすよ。で、上がりようないんすよ。だって低額でやっちゃってるんで。…だって他のキャリアに比べて1000円以上低いんすよ。だからこれ上げる手段ないよね」
楽天モバイルは「Rakuten最強プラン」で低価格を武器にシェア拡大を図ってきました。その結果、ARPU(1契約あたりの月間平均収入)が他の大手3キャリアと比較して1000円以上低い水準にとどまっています。ホリエモンは、この低価格戦略がARPU向上の足かせになっており、今後も収益性を改善させる有効な手段が見当たらないと指摘します。
6. 動画・ライブコマース戦略の欠如
ホリエモン「さらにさっきのあのおっしゃった通り、動画のプラットフォーム持ってないじゃないですか、楽天って。だからその、これから絶対オンラインライブコマース来ますよ、日本でも。だからそれができない」
今後、日本でもTikTokコマースのようなライブコマースが普及すると予想される中、楽天には強力な動画プラットフォームがないことが弱みになるとホリエモンは指摘します。ライブコマースはECと親和性が高く、大きな成長が見込める分野ですが、楽天はこの潮流に乗り遅れる可能性があるというわけです。これが実現できないと、EC事業(楽天市場)の成長にも影響が出かねません。
7. 楽天シンフォニーへの疑問
楽天が海外展開も視野に入れる通信プラットフォーム「楽天シンフォニー」。これを活用してコスト削減や新たな収益源を狙う戦略ですが、ホリエモンはこの技術的優位性にも疑問を呈します。
ホリエモン「別に他のキャリアがその仮想化技術に関して研究開発してないかっていうとしてますよね。…だから楽天の強みですとかって言ってんだけど、ドコモとかが本気で仮想化し始めたら全然楽天よりすごくなると思いますよ」
さらに、楽天シンフォニーの導入先が他国の財務的に不安定な4番手、5番手のキャリアになる可能性を指摘し、「貸し倒れリスクとか倒産したりとかするんじゃないかなと思って、そういうところがね。はい。危ない危ないです」と、新たなリスク要因になる可能性も示唆しました。
8. 会計上の懸念(EBITDAの「お化粧」)
ホリエモン「もう1個、企業としての末期症状を、典型的な末期症状を言うと、EBITDAをそのお化粧し始めてんですよ。これNOホリエモン「もう1個、企業としての末期症状を、典型的な末期症状を言うと、EBITDAをそのお化粧し始めてんですよ。これnon-GAAPって言って一般に公正妥当と認められる会計基準ってあるんですよ。で、それに該当しない数字とかをこう出す傾向が最近あって。で、それをあたかもマイナスをプラスのように見せてる決算資料にしか見えないんです、僕には」
ホリエモンは、楽天の決算発表におけるEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)の示し方にも疑問を呈します。一般的な会計基準(GAAP)に沿わない指標を使い、実態よりも良く見せようとしているのではないか、いわゆる「お化粧決算」の兆候が見られると指摘。これは企業が苦しい状況にあるサインだと捉えています。「知らない人は騙してますよ、そう。あ、EBIDTA黒字化した、すごい!とかってなってんだけど、それは分かんない情弱騙す手段じゃないですか。そうですそうですそうです。良くないよそれは」と、かなり厳しい言葉で批判しました。
9. MNOとしての差別化の難しさ
ホリエモン「正直、大したビジネスじゃないすよ。その差別化が難しいところなんですよね。…基地局とか回線って何の意味もないんだもん。ただの土管ですよ。…楽天の利益を創出する源ではないのかなって僕は思っていて」
結局のところ、通信インフラ(基地局や回線)そのものは、他社との差別化が難しく、大きな付加価値を生み出すものではないとホリエモンは考えています。いわば「土管」のようなものであり、そこに巨額の投資を続けることの合理性に疑問を投げかけているのです。
これらの理由から、ホリエモンは楽天モバイル事業はグループ全体の足かせであり、将来性にも疑問符がつくため、「今すぐ撤退すべき」と結論付けているわけです。
継続派・慎重派の意見は?森川氏、水口氏らの視点
一方で、番組内では楽天モバイル事業の「継続」を支持する意見や、撤退に慎重な意見も出されました。
「ここまで来たら進むしかない」継続派の論理
LINEの生みの親としても知られる森川亮さん(C Channel CEO)は、「今のタイミングで撤退するのも相当リスクだなと思っていて」と、撤退のリスクを指摘。コストを削減すれば黒字化も可能であり、あえて撤退する必要はないのではないか、という見方を示しました。
また、別の出演者からは「850万回線まで来て、リクープライン(採算ライン)のところのね、1000何百万まであとちょっとって形やから」「もう利益は見えかけてきてるから、もうここまで来たらもう行っちゃった方がいいんじゃないですか」という意見も出ました。2024年12月に初の単月黒字を達成したという報道もあり、ようやくトンネルの出口が見え始めたタイミングで撤退するのはもったいない、という考え方です。これまでの巨額の投資が無駄になってしまうという「サンクコスト(埋没費用)」の観点も含まれているでしょう。
水口氏が見た「現場の温度感」と三木谷氏への期待
番組冒頭で「撤退派」を表明した水口さんですが、その理由の一つとして、楽天の法人営業の責任者のスタンスに疑問を感じた点を挙げています。「泥臭くないんですよね。なんか声かかって当然みたいなスタンスでちょっといて」「現場が一体感持ってこの事業で絶対成功するんだってのはあんまり僕は感じなかったんです」と、目標達成に向けた現場の熱量や危機感の不足を感じたようです。(ただし、これに対してはホリエモンから「たった1人の人の印象で営業決めるってのはちょっとおかしい」と反論もありました。)
しかしその一方で、水口さんは三木谷浩史さんという経営者に対する期待感も示唆しています。
水口氏「僕正直でもあの結構前、5年前とかコロナ前とか三木谷さんってなんか飲み歩いてるイメージがあって、あの大成功して上がっちゃってんのかなと思ったんですけど、なんかも最近すごい僕本当尊敬してて、なんかかっこいいなと思ったんですよね。こうもうあれだけ大きな会社の経営者でなんかこんだけリスク張って、で日本のこう通信っていうめちゃくちゃでかい産業で勢力を塗り替えに行ってるじゃないですか。さらに可処分所得を増やすって」
「いや僕本当になんか成功してほしいし…このモバイル自体は成功して欲しいなっていう風に思ってて」
水口さんは、三木谷氏が巨大企業のトップでありながら、現状に満足せず、日本の通信業界という巨大な市場に果敢に挑戦し、国民の可処分所得を増やそうとしている姿勢を高く評価しています。だからこそ、このモバイル事業を成功させてほしい、という強い思いを持っているようです。「なんか三木谷さんだったらやりきりそうな感じがしますよね」という言葉に、その期待が表れています。
MVNO vs MNO論争:ホリエモンが「MVNOで良かった」と断言する根拠
今回の討論で最も重要な論点の一つが、楽天はMNO(自社回線を持つキャリア)になる必要があったのか、それともMVNO(他社の回線を借りる事業者)のままで良かったのか、という点です。ホリエモンは一貫して「MVNOで良かった」と主張しました。
なぜMNO(自社回線)にこだわったのか?三木谷氏の「意地」か戦略か
楽天がMNOの道を選んだ理由について、ホリエモンは三木谷氏の「意地」や「プライド」があったのではないかと推測しています。「ソフトバンク、ドコモみたいな経済圏を俺らも手に入れるんだみたいな感じを僕は正直受けた」
もちろん、戦略的な理由もあったはずです。自社回線を持つことで、
- サービス設計の自由度を高める
- 楽天経済圏との連携をより深める
- 将来的な技術革新(5G、6G)に自社で対応できる
- MVNOよりも高いブランドイメージを構築する
といったメリットを期待したのでしょう。楽天のIR資料でも、「楽天はモバイルがあるので市場の流通額もそれで年々伸びていて」と、MNOであることが楽天経済圏全体の成長に貢献していると説明されています。
しかし、ホリエモンはこの「MNOだからシナジーが生まれる」というロジックに疑問を呈します。「MVNOでも全然シナジーは埋めるからね」と反論。結局、MNOになったことで楽天モバイルや楽天経済圏に具体的にどのようなメリットがあったのかが不明確だと指摘します。「MVNOからのMNOの流れで何が変わったんですか?…結局MNOになったから楽天モバイルがなんかいいことありましたか?別にないんですよ、実質として」
政府保証の「上下分離」制度とMVNOの可能性
ホリエモンが「MVNOで良かった」と考えるもう一つの大きな理由は、日本の通信業界における「上下分離」という制度の存在です。
ホリエモン「MVNOってのは上下分離っていう仕組みで政府が保証してんすよ。MNOはドコモ、au、ソフトバンク、楽天は、どんなMVNO業者に対しても平等に自分たちの卸値で卸さなきゃいけないって決まってんです、法律で。嫌がらせとかできないんですよ」
つまり、MNOは自社の回線を、どのMVNOに対しても差別なく、公正な条件で貸し出さなければならない、というルールがあるのです。これは電力自由化における送配電網の分離(新電力が既存電力会社の送電網を使える)と同じような仕組みです。
この制度がある以上、MVNOであっても回線の品質や利用条件で不利になることはなく、サービス内容や料金、楽天経済圏との連携といった「付加価値」で十分に勝負できたはずだ、というのがホリエモンの考えです。わざわざ莫大なコストとリスクをかけて自前でインフラ(土管)を持つ必要はなかった、というわけです。
前澤友作氏「カブアンドモバイル」の成功が示す道
ホリエモンは、前澤友作氏が手がけるMVNO「カブアンドモバイル」が楽天モバイルに迫る勢いで伸びていることを例に挙げ、MVNOでも十分に成功できることを示唆しました。「カブアンドモバイルがめちゃくちゃ人気なわけですよ。だからやりようあったじゃんって。MVNOでも勝ち筋あんじゃんここにって思った」
これは、楽天がMVNOのままで、もっとマーケティングやサービス連携に注力していれば、MNO化せずとも目標を達成できたのではないか、という仮説を補強するものです。
楽天モバイルの「未来」を左右する重要ファクター
では、今後、楽天モバイルの未来はどうなるのでしょうか?『リアルバリュー』の議論を踏まえると、いくつかの重要なファクターが見えてきます。
巨額の設備投資と金利上昇リスク
これはホリエモンが繰り返し指摘した最大のリスク要因です。今後も続くであろう5G/6Gへの投資負担と、金利上昇による利払い負担増に、楽天グループ全体が耐え続けられるのか。特に、すでに財務状況が厳しい中で、さらなる資金調達(増資や資産売却)が必要になる可能性は高く、その手段も限られてきています。
ARPU(顧客単価)低迷の壁と打開策の不在
低価格戦略で獲得したユーザーから、いかにしてARPUを引き上げていくか。これが収益化に向けた最大の課題です。しかし、ホリエモンが指摘するように、現状では有効な打開策が見えにくい状況です。他のキャリアのように、光回線や電力、金融サービスなどとのセット割引を強化する、あるいは法人向けサービスを拡大するなどの策は考えられますが、それだけで大幅なARPU向上につながるかは未知数です。
動画・ライブコマース時代の到来と楽天の立ち位置
今後、ECの主戦場がライブコマースなどに移行していく中で、楽天がこの分野でどう立ち回るか。現状、TikTokやYouTubeのような強力な動画プラットフォームを持たない楽天が、どのようにしてこの潮流に対応していくのかは大きな課題です。これがうまくいかなければ、本業であるはずのEC事業の競争力低下にもつながりかねません。
楽天シンフォニーは救世主となり得るか?
通信プラットフォーム「楽天シンフォニー」の海外展開などが成功すれば、新たな収益源となり、モバイル事業の赤字を補う可能性があります。しかし、ホリエモンが指摘するように、技術的な優位性が絶対的なものではなく、導入先のカントリーリスクなども存在します。これが本当に楽天グループの救世主となり得るのか、まだ見通しは不透明です。
M&A(買収・合併)の可能性
議論の中では、楽天モバイル事業、あるいは楽天グループ全体のM&Aの可能性も示唆されました。特にホリエモンは、KDDIによる楽天グループの買収が最善のシナリオではないかと提案しています。
ホリエモン提案の「バリューアッププラン」とは?
番組の終盤では、楽天が今後どうすべきか、具体的な「バリューアッププラン」も議論されました。
最善策は「KDDIによる買収」?その現実味とインパクト
ホリエモンは、楽天グループの株主の立場から、最も企業価値向上につながるシナリオとして「KDDIによる楽天グループの買収」を提案しました。
ホリエモン「多分KDDIが一番シナジーあると思うんですね、私は。やっぱりコマースとか全然弱いんで。買収もあんまうまくいってないじゃないですか…だから楽天買ったらめちゃくちゃいいっすよね」
KDDIはau経済圏の拡大を目指していますが、Eコマース分野では楽天に大きく水をあけられています。楽天グループを買収すれば、モバイル(au + 楽天モバイルでシェア拡大)、Eコマース(楽天市場)、金融(auフィナンシャル + 楽天金融)、ポイント(Ponta + 楽天ポイント)といった広範な分野で巨大な経済圏を構築でき、圧倒的なシナジー効果が期待できます。
KDDIの時価総額(約10兆円)は楽天グループ(約2兆円)の約5倍であり、財務体力も盤石なため、買収は十分に可能だとホリエモンは見ています。三木谷氏一族の持ち株比率が1/3を切っていることも、TOB(株式公開買付)による買収のハードルを下げていると指摘しました。
この買収が実現すれば、KDDIは楽天のモバイル基地局などの資産を有効活用しつつ、不採算部門は整理し、強力な経済圏を完成させることができるかもしれません。楽天の株主にとっても、株価の大幅な上昇が期待できる可能性があります。
バイトダンス連携案:決済機能提供による活路
森川亮さんからは、別の角度からの提案がありました。それは、動画プラットフォーム「TikTok」などを運営する中国の巨大テック企業「ByteDance(バイトダンス)」との連携です。
森川氏「バイトダンスって決済機能がないんですよ。…それだったら楽天(ID)で買えるって機能を真っ先に入れちゃえば」
今後、日本でも本格化すると見られる「TikTokコマース」において、ユーザーが楽天IDを使って簡単に決済できるようにする、というアイデアです。これにより、楽天は膨大なTikTokユーザーを自社の決済システムや経済圏に取り込むことができ、新たな収益機会を得られる可能性があります。ByteDance側にとっても、日本市場での決済インフラを一から構築する手間が省けるメリットがあります。インドネシアでは、ByteDance傘下のTikTokが地元のEC大手Tokopedia(楽天が出資していた過去も)と提携した事例もあり、現実味のある提案かもしれません。
三木谷氏へのメッセージ:株主・堀江貴文としての「最終通告」
番組の最後、ホリエモンは株主としての立場から、三木谷氏へ非常に直接的なメッセージを送りました。
ホリエモン「株主として、あの、今すぐモバイル事業から撤退しましょう」
これは単なる批判ではなく、楽天グループ全体の企業価値を最大化するための、株主としての提案である、というニュアンスが込められています。「僕、株主として言ってんですよ。株価が上がる提案をしてるんですよ、僕は」
ホリエモン自身、楽天の株を保有しており、モバイル事業が成功しようがしまいが(撤退しようが)、どちらに転んでも株価は上がると考えているようです。「サイバーエージェントの藤田晋社長が楽天に男気出資したタイミングが底値で、その後株価は上昇した。モバイル事業をやめたらやめたで株価はドンと上がるだろうし、うまくいったとしても上がる。どっちに転んでもうまくいく」という見立てです。
水口氏提案の奇策?「ブレイキングダウンで直接対決」
一方、水口さんからは、非常にユニークな提案が飛び出しました。
水口氏「三木谷さん、リアルバリューとブレイキングダウンオーディションで堀江さんと戦いませんか?」
これは半ば冗談かもしれませんが、もし実現すれば、両者の対談や討論、さらには格闘技イベント「BreakingDown」での対決は、とてつもない注目を集めることは間違いありません。水口さんは「間違いなく100万回線ぐらい増えると思う」と、その宣伝効果を強調。ホリエモンも「コスパいいよね」と、まんざらでもない様子でした。
水口氏は、前澤友作氏がSNSを駆使してユーザー獲得コストを抑えている例を挙げ、「それが僕は三木谷さんてできる経営者だと思うし、タレント性もあるし、発信力もあるじゃないですか。…だから僕は本当にSNSのパワーをなんか信じてそこにベットしてほしいなっていう。それにはリアルバリューとブレイキングダウンですやっぱり」と、三木谷氏自身の発信力やタレント性を活かした起爆剤の必要性を訴えました。
ホリエモン自身も、もし対決となれば「いいよ」と受けて立つ姿勢を見せ、週1回のキックボクシングトレーニングや柔道の経験もあることを明かしました。
フジテレビ買収騒動から見るホリエモンの経営観
ホリエモンといえば、かつてライブドア社長時代にニッポン放送株を大量取得し、フジテレビの経営権取得を目指した、いわゆる「フジテレビ買収騒動」を思い出す方も多いでしょう。あの時も、既存のメディア業界の常識に果敢に挑戦し、大きな議論を巻き起こしました。
今回の楽天モバイルに対する「撤退」提案も、一見過激に聞こえますが、その根底には、企業価値の最大化、非効率な事業からの撤退、変化への迅速な対応といった、ホリエモンが一貫して主張してきた経営哲学があるように思えます。彼は常に、既存の枠組みや慣習にとらわれず、最も合理的で価値を生む選択肢は何か、という視点で物事を捉えているのではないでしょうか。
フジテレビ買収騒動の詳細については、以下の記事が当時の状況や背景を詳しく解説しており、ホリエモンの経営観や行動原理を理解する上で参考になるかもしれません。
フジテレビの支配をめぐる熾烈な闘争の全貌──鹿内家から日枝久、そしてホリエモン
当時の騒動を知ることで、現在のホリエモンの発言の背景にある考え方や、彼が日本の大企業に対してどのような問題意識を持っているのか、より深く理解できるかもしれません。
まとめ:楽天モバイルの未来はどこへ?ホリエモンの提言が示す道
さて、今回は『リアルバリュー』でのホリエモンによる楽天モバイル「撤退」提言を中心に、その背景や他の出演者の意見、そして今後の展望について詳しく見てきました。
ホリエモンの主張のポイント
- モバイル事業は楽天グループ全体の企業価値を毀損している(株価アンダーバリュー)。
- 財務リスクが高く、虎の子の金融事業まで切り売りしている状況は危険。
- そもそもMVNOで十分であり、MNO化は戦略ミス。設備投資が重すぎる。
- ARPUが低く、向上させる有効な手段が見当たらない。
- 動画・ライブコマース時代への対応力に欠ける。
- 楽天シンフォニーの優位性・将来性にも疑問。
- 会計上の懸念(EBITDAのお化粧)もある。
- 結論:今すぐ撤退し、本業(EC、金融)に集中すべき。株主価値向上のためにはKDDIへの売却(買収されること)も有力な選択肢。
これに対し、継続派・慎重派からは、これまでの投資が無駄になることへの懸念や、黒字化が見えてきたタイミングでの撤退リスク、そして三木谷氏の経営手腕への期待などが示されました。
楽天モバイルの未来は、まさに予断を許さない状況です。ホリエモンの言うように、早期に撤退し、傷が浅いうちに事業を再構築する道を選ぶのか。それとも、ここまで来たからには、さらなる投資や工夫を重ねて、第4のキャリアとしての地位を確立し、楽天経済圏を完成させる道を目指すのか。あるいは、KDDIや他の企業による買収という形で決着がつくのか。
三木谷浩史さんが、ホリエモンの「最終通告」とも言える提言をどう受け止め、今後どのような決断を下すのか。日本のモバイル業界、そして楽天グループの未来を左右するであろうその一手に、引き続き注目していきたいと思います。そして、願わくば、三木谷さん自身が『リアルバリュー』に出演し、ホリエモンと直接対話する日が来ることを期待したいですね。
【免責事項】
本記事は、YouTube番組『REAL VALUE(リアルバリュー)』#17の内容および公開情報に基づき、筆者の解釈を加えて作成したものです。特定の企業やサービス、金融商品を推奨するものではありません。また、本記事は情報提供を目的としており、投資助言や勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。記事内の情報については正確性を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。本記事の情報に基づいて被ったいかなる損害についても、筆者および関係者は一切の責任を負いません。