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【副業 確定申告 初心者必見】
サラリーマンと税理士の対談
確定申告の基本と流れ
1. はじめに
サラリーマン(以下、田中)「いやあ、最近は副業が本当に流行ってますよね。ぼくも会社勤めのかたわら、週末だけ動画編集の仕事を請け負い始めてみたんですけど、そろそろ確定申告のことが気になってきました。」
税理士兼公認会計士・坂本先生(以下、坂本)「それはよい試みですね。実際、サラリーマンの方が副業を始めることは珍しくなくなりました。会社勤務だと年末調整をしてもらえますが、副業分の所得があれば申告が必要な場合があります。」
田中「そうなんですよ。ネットで『副業 確定申告 初心者』なんて調べたら情報は多いんですが、いざ自分にあてはめると分からないことだらけで…。」
坂本「制度を理解してしまえば、それほど難しくないですよ。段階を踏んでお話ししていきましょう。」
2. 副業の収入が生まれる仕組み
田中「最初に、副業による収入とは具体的にどんなものを指すのでしょうか。ぼくは動画編集の報酬を個人間で受け取っているんですが、それもちゃんとした所得になるんですよね?」
坂本「もちろんです。会社員としての給料だけでなく、広告収益やアフィリエイト、デザインや動画編集などの報酬、オンライン販売、コンサルティングなどで得た収益も含めて、副業の収入と言えます。」
田中「じゃあ、振り込みでも現金手渡しでも、お金を得たらすべて“収入”として扱う必要があると?」
坂本「そうですね。支払い方法は関係ありません。受け取ったら、まずはその金額をしっかり記録しておきましょう。」
田中「なるほど。カード決済や電子マネー経由でも、最終的には自分のところに入ってきたらカウント、ということですね。」
坂本「ええ。あとで申告に使うことにもなりますからね。」
3. 副業で確定申告が必要になる理由
田中「会社員の場合、年末調整してくれますよね。じゃあ、副業の収入があっても大丈夫なんじゃないかと思うこともありますが…?」
坂本「年末調整は主に給与所得の調整です。給与以外の所得がある場合、年間の所得総額をもとに最終的な納税額を計算し直す必要があるんです。」
田中「それで確定申告なんですね。」
坂本「はい。副業を続けるなら、後からトラブルを避けるためにも必要になります。」
田中「となると、無視しているとまずいですか?」
坂本「その場合、追徴課税や延滞税のリスクがあります。正確に申告しておけば、余計な出費をしなくて済みますし、安心して副業を続けられますよ。」
4. 給与所得と副業の所得区分
田中「所得区分って大事だとよく聞きます。最初からきちんと押さえておいたほうがいいと…。給与は“給与所得”ですよね? では副業の報酬は?」
坂本「そこにいくつかパターンがあるんですが、副業による収入は一般的に“雑所得”か“事業所得”に分類されます。もちろん他の分類もあり得るんですが、副業の場合はこの2つを意識しておけば十分です。」
田中「そういえば、クラウドソーシングの仕事とかは“雑所得”扱いってよく見ます。事業所得とのちがいは何でしょう?」
5. 「雑所得」と「事業所得」のちがい
田中「そもそも副業ならみんな“雑所得”というわけでもないんですか?」
坂本「個人事業主として開業届を出すようなケースや、メインの仕事並みに力を入れている状況なら“事業所得”と見なされる場合があります。たとえば継続性や規模などが大きいときは“事業所得”に該当しやすいですね。」
田中「ああ、なるほど。規模や安定性、反復性などが基準になるということですね。」
坂本「そうです。また、法改正でおおむねの目安として“年間の売上が300万円を超えるかどうか”といった基準も示されるようになりました。ただし、それだけで完全に区分されるわけではなく、総合的に判断されます。」
田中「なるほど。副業とはいえ、相当稼いでいる方は“事業所得”として認められる可能性が高まるわけですね。」
坂本「そう思っておいてください。反対に、本業が会社員で週末にちょこっと稼ぐくらいであれば“雑所得”として扱うケースが多いかと思います。」
6. 20万円ラインと注意しておきたいこと
田中「初心者向けの情報サイトを見てると、やたらと“20万円”という数字が出てきます。あれは何を意味しているんでしょう?」
坂本「会社員の方が1か所から給与を受け取っている場合、給与以外の所得が年間20万円以下なら、確定申告をしなくてもよいという特例があります。ただ、これは“所得”が20万円以下という話。売上じゃありません。」
田中「収入-経費=所得、ということですよね。」
坂本「そのとおりです。例えば、クラウドソーシングで報酬が年間30万円あったとして、経費が15万円あれば、所得は15万円なので確定申告不要となります。ただ、住民税の申告は別途必要なケースもあるので注意が必要です。」
田中「あ、確定申告はしなくても住民税が課税されることもあるんですよね?」
坂本「そのとおりです。あと、医療費控除やふるさと納税を追加で申告するなど、ほかの要因があるときは、たとえ副業の所得が20万円以下でも確定申告が必要になるケースがあります。」
田中「なるほど。だから“20万円以下なら完全に何もしなくていい”というわけじゃないんですね。」
坂本「ええ、そこは誤解されやすいので気をつけましょう。」
7. 副業で押さえておくべき経費の考え方
田中「副業の経費ってどうやって計算したらいいんでしょうか。たとえば、自宅のPCを使って動画編集する場合、パソコン代やネット回線代は経費になるんですか?」
坂本「業務に使った部分は含めていいですが、私用との区別ができない場合、全部を一括で経費にするのは難しいですね。たとえばパソコン代を何割か“業務用”として考える方法もあります。ネット回線なら、業務を行う時間帯の割合などを反映して計上することが多いです。」
田中「なるほど。自宅の光熱費とか、家賃はどうなりますか?」
坂本「自宅を仕事で使っている部分は按分計算するやり方があります。たとえば部屋の面積や使用時間などで業務用と生活用の割合を分けるイメージです。ただ、細かすぎる計算は面倒なので、合理的な基準で按分するのが一般的ですね。」
田中「そうすると、副業初心者でも記録をしっかり残すことが大事そうですね。」
坂本「そうです。レシートや領収書を保管しておくとか、Excelなどで収支管理の表をつくるとか。最近は会計ソフトやアプリも充実していますし、なるべく楽に記録できる方法を選ぶといいですよ。」
8. 確定申告書の書き方
田中「いよいよ申告書の作成ですね。初めてなので想像するだけで大変そうに思えますが、実際どうでしょうか。」
坂本「ざっくり説明すると、まずは年末調整済みの給与所得を入力したうえで、副業の“収入”と、それにかかった“経費”を加えていきます。最終的に出てくる“雑所得”の金額を申告書に反映させればOKです。もちろん源泉徴収されている場合は、その情報も記載します。」
田中「あ、雑所得の場合は収入から経費を差し引いた金額が申告書の“雑所得”欄に入る、ということですよね?」
坂本「その通りです。あと、雑所得の金額の合計が20万円を超えるときは申告が必要になりますし、20万円以下でも別途申告するパターンがあると知っておきましょう。さらに、経費がそれほどかからなかったら金額が大きくなるし、経費が多ければ雑所得自体が小さくなります。」
田中「スマホ申告とかe-Taxなら画面の指示に従えばいいと聞いたことがあります。紙より簡単?」
坂本「そう思う方が多いですね。ソフトが案内してくれるので、あまり迷わずできるでしょう。紙で提出する場合でも、国税庁のサイトで“確定申告書作成コーナー”を使えばシステム側が自動で計算してくれます。」
9. 住民税への影響と納め方
田中「住民税が上がるのがイヤで、副業が会社にバレるんじゃないかと心配する人もいると思います。僕の知人も、どうやって住民税を支払うか悩んでましたね。」
坂本「確定申告書を提出する際、“普通徴収”を選択すれば、副業分の住民税は自分で納付する形になります。そうすると、会社の給料から天引きされないので、副業が発覚しにくくなります。ただ、住民税の計算は自治体が行うので、完全に知られないとは言い切れません。」
田中「100%バレない保証はないのか…。」
坂本「会社から見れば、住民税の金額がいつもと違っていたり、担当者が不審に思えば調べられる可能性はありますね。副業可の職場であればあまり問題にはならないでしょうし、無断でやる場合はリスクをよく考えてください。」
10. e-Taxやスマホ申告を活用する方法
田中「最近はスマホで申告する人が増えてきたと聞きます。ぼくも気軽にできるなら試してみたいです。」
坂本「スマホ申告は非常に便利ですよ。マイナンバーカードがあればICカードリーダーなしでも“スマホでマイナンバーカード読取り”が可能になっています。あとは事前準備のID・パスワード方式を利用する方法もあります。」
田中「なるほど。画面で案内通りに入力すれば、副業の収入や経費を打ち込む場所もわかりやすいんでしょうか。」
坂本「ええ。国税庁のサイトで“スマホ専用申告フォーム”も整備されています。質問形式で誘導してくれるので、迷うことが少ないと思います。」
田中「添付書類とかってどうするんですか?」
坂本「源泉徴収票などの書類は、数字を転記するだけですが、場合によっては画像をアップロードしたり、郵送したりするケースもあります。事前に確認しましょう。」
11. 副業を継続していくための心がまえ
田中「副業と確定申告について、ここまで色々とわかってきましたが、長く続けるにはどんなところを大事にすればいいんでしょうか。」
坂本「記録をきちんと残すことと、適正な処理をすることですね。副業が安定してきたり、売上が拡大してきたら、事業所得の可能性も検討して、より節税しやすい方法を考えるのも手です。開業届を出すのも選択肢ですね。」
田中「そういえば、青色申告ができるようになると、控除が受けられておトクになるんでしたっけ?」
坂本「青色申告は事業所得や不動産所得の方に適用される制度なので、雑所得のうちは対象外です。もし副業が大きくなって事業として認められるレベルになったら、青色申告で65万円控除などの優遇を受けることも考えられます。」
田中「一歩ずつ、あせらずにやっていくのが良さそうですね。」
12. よくある質問Q&A
Q1:経費になりそうなものは全部計上していい?
田中「副業の初心者がやりがちな失敗って何でしょう?」
坂本「必要のない支出まで経費に入れてしまうことがありますね。業務と関係ない私用の出費を混ぜると、指摘されるリスクがあります。あくまで“副業のために必要だった出費”だけに限定するのが原則です。」
Q2:マイナンバーカードは必ず必要?
田中「スマホでやる場合、マイナンバーカードがないと厳しいって聞きますが…。」
坂本「カードがあると便利ですが、ID・パスワード方式など代替手段もあるので、必須というわけではありません。郵送申告など、アナログな方法も残っていますしね。」
Q3:雑所得の中にはどんな副業が含まれる?
田中「このあいだ、友人が印税も雑所得って言ってました。」
坂本「印税や講演料、原稿料も雑所得に含まれることが多いですね。仮想通貨やFXなども条件次第で雑所得に該当します。」
Q4:住民税の申告漏れはどうなる?
田中「確定申告と住民税の申告って別でしたっけ?」
坂本「確定申告をすれば基本的には住民税にも情報が回ります。ただ、先ほども話に出たように、20万円以下で確定申告しなくていい場合でも、住民税だけは申告が必要になる場合があります。自治体によって扱いが微妙に違うこともあるので注意してください。」
Q5:経費がたくさんあるけど領収書をなくしてしまった!
田中「これはどうしようもない…?」
坂本「領収書やレシートがないと、正しく経費を証明するのは難しくなります。どうしても紛失したなら、その出費が本当に業務に要したことを他の書類や記録で示すなど、工夫が必要です。今後はこまめにスキャンしたり保存したりして対策しておくと良いですね。」
13. まとめ
田中「これで副業の確定申告について、ひと通りポイントが把握できた気がします。最初は数字が苦手なのでかなり腰が重かったんですが、やればなんとかなりそうです。」
坂本「大切なのは、年間の収入と経費を整理して、申告期限までに手続きを行うことです。慣れれば毎年やることもだいたい同じですから、あまり怖がらずに一度チャレンジしてみてください。」
田中「はい、気を引き締めてやってみようと思います!」
14. 免責事項
本記事は、副業をする方が確定申告を行うにあたって一般的に知られている情報を、会話形式でまとめたものです。個別のケースによっては取り扱いが異なる場合があります。税法は改正される可能性があるため、最新の法令や国税庁の公表資料を必ず確認してください。最終的な判断は、税理士や公的機関への相談によって行うことをおすすめいたします。本記事の内容によって生じた損害や不利益に関して、執筆者および関係者は一切の責任を負いかねます。
【執筆者紹介】
坂本公認会計士事務所 (Sakamoto CPA Office)
当事務所は、個人事業主様から中小企業様、さらには上場を目指す企業様まで、幅広いクライアントの皆様に、会計・税務・経営に関する高品質なサービスを提供しております。
代表の坂本恒夫は、公認会計士・税理士として長年の実務経験を有し、特に個人事業主様の確定申告や節税対策、中小企業の経営改善、IPO支援に強みを持っております。
また、AIコーディネーター、RPA導入支援、AIプログラミング指導など、最新技術を活用した業務効率化支援にも積極的に取り組んでおり、クライアントの皆様の持続的な成長をサポートいたします。
「お客様の成長を、会計とデジタルの力で支える」をモットーに、皆様のビジネスを全力でサポートいたします。
所在地: 〒101-0065 東京都千代田区西神田2-5-7 神田中央ビル502
代表: 坂本 恒夫 (公認会計士・税理士)
公式サイト: https://sakamoto.accounting-firm.net/