冒頭文(イントロダクション)
「実家の和式トイレ、親が高齢になって使うのが大変そう…」「自分が要介護認定を受けたけど、この和式トイレでは将来が不安…」
横浜市にお住まいで、ご家族やご自身のためにトイレのリフォームをお考えではありませんか? 和式から洋式へのリフォームは、立ち座りの負担を減らし、転倒リスクを防ぐために非常に重要です。でも、いざリフォームとなると、気になるのはやっぱり「費用」ですよね。
「まとまったお金がないと難しいかな…」と諦めかけているあなたに、ぜひ知っていただきたいのが、横浜市の介護保険を使った補助金制度です。
実は、横浜市では介護保険の「住宅改修費」という制度を活用することで、トイレリフォームにかかる費用のうち最大18万円(※1割負担の場合)の補助を受けることができるんです!
この記事では、介護リフォームに長年携わってきた専門家の視点から、横浜市で介護保険を使ってトイレリフォームを行うための全てを、どこよりも分かりやすく解説します。
- 補助金の対象者や金額、対象となる工事の詳しい範囲
- 「ケアマネジャーへの相談」から始まる、失敗しない申請の全ステップ
- 一時的な出費を抑える「受領委任払い」という裏ワザ
- 後悔しないための信頼できるリフォーム業者の見つけ方
- 意外と知らない注意点やよくある失敗例
この手続き、少し複雑に感じるかもしれませんが、ポイントさえ押さえれば大丈夫。この記事を最後まで読めば、あなたは補助金制度を賢く活用し、最小限の負担で、安全で快適なトイレを手に入れる方法を完璧に理解できます。さあ、一緒に一歩を踏み出しましょう。

まずは基本から!横浜市の介護保険トイレリフォーム補助金(住宅改修費)とは?
「トイレリフォームの補助金」と一言で言っても、その正体は何なのでしょうか。これは、介護保険制度の中に設けられている「住宅改修費の支給」という制度を指します。
要支援・要介護状態になった方が、できるだけ長く自宅で自立した生活を送れるように、手すりの設置や段差の解消といった住宅の小規模な改修にかかる費用の一部を、横浜市が補助してくれるという、非常にありがたい制度です。
もちろん、和式トイレから洋式トイレへのリフォームも、この制度の対象になっています。まずは、この制度のキホンとなる「誰が使えるの?」「いくらもらえるの?」という疑問から解決していきましょう。
誰が使えるの?補助金の対象者となる条件
この制度を利用できるのは、以下の条件をすべて満たしている方です。
- 横浜市の介護保険被保険者であること
- 要支援1・2、または要介護1~5のいずれかの認定を受けていること
- 認定されている方が、実際に居住している(住民票がある)住宅の改修であること
ここで最も重要なポイントは、「要介護(要支援)認定を受けていること」です。
「リフォームを急ぎたいから、先に工事を始めて、後から認定申請しよう」と考えてしまうと、原則として補助金の対象外になってしまいます。必ず、要介護認定の結果が出てから、リフォームの手続きをスタートするようにしてください。これが、補助金活用の絶対的なルールです。
いくらもらえるの?補助金の上限額と気になる自己負担
費用の話は、一番気になるところですよね。分かりやすく整理してみましょう。
- 補助金の対象となる工事費用の上限額:20万円
これは、生涯にわたって同じ住宅で利用できる上限額です。 - 補助金の支給割合:所得に応じて7割~9割
利用者本人の所得によって、自己負担の割合が変わります。- 1割負担の方(多くの方が該当):支給額 最大18万円(20万円 × 90%)
- 2割負担の方(一定以上の所得):支給額 最大16万円(20万円 × 80%)
- 3割負担の方(現役並み所得):支給額 最大14万円(20万円 × 70%)
つまり、工事費用が20万円だった場合、1割負担の方なら自己負担は2万円で済む、ということです。これは非常に大きなメリットですよね。
ただし、注意点もあります。
- 20万円を超えた分は全額自己負担
例えば、工事費用が25万円だった場合、補助の対象になるのは20万円までです。1割負担の方なら、自己負担は「2万円(20万円の1割)+ 超過分の5万円 = 合計7万円」となります。 - 自己負担割合は「介護保険負担割合証」で確認
ご自身の負担割合が何割かは、毎年交付される「介護保険負担割合証」に記載されていますので、必ず確認しておきましょう。
何回でも使える?利用回数のルールについて
「上限20万円なら、今回は10万円分だけ使って、残りは別のリフォームで使いたい」ということも可能です。
- 分割利用が可能
上限20万円の範囲内であれば、複数回に分けて制度を利用することができます。例えば、まずトイレリフォームで15万円分を使い、数年後に廊下に手すりを付ける工事で残りの5万円分を使う、といった計画が立てられます。 - 転居した場合はリセットされる
もし引越しをした場合は、新しい住居で再び20万円を上限として制度を利用できます。 - 要介護度が著しく上がった場合の特例
非常にまれなケースですが、介護の必要度が著しく高くなった場合(要介護状態区分が3段階以上上昇した場合)、例外的に再度20万円までの支給を受けられる特例があります。(例:要支援1 → 要介護3など)
このルールを理解しておけば、長期的な視点で住環境の整備を計画することができますね。
どこまでが対象?補助金が使えるトイレリフォームの具体的な範囲
「和式から洋式へのリフォームが対象なのはわかったけど、具体的にどんな工事まで補助してくれるの?」という疑問にお答えします。せっかくなら、この機会に必要な改修をまとめて行いたいですよね。
メインの工事:和式から洋式トイレへの交換
これが今回のリフォームの主役です。介護保険の対象となる「便器の取替え」には、以下の工事が含まれます。
- 和式便器から洋式便器への取替え
- 工事に伴う、床材の変更(かさ上げ部分の解体・補修など)
- 暖房便座や洗浄機能付き便座(ウォシュレットなど)への交換
高齢になると、足腰の筋力が低下し、和式トイレでの「かがむ・立ち上がる」という動作が大きな負担になります。この動作は、ふらつきによる転倒の危険性も高く、非常に危険です。洋式トイレにすることで、椅子に腰掛けるように楽に用を足せるようになり、QOL(生活の質)が劇的に向上します。
【重要】対象外となるケースに注意!
一方で、以下のような工事は補助金の対象外となるので注意が必要です。
- 既に設置されている洋式便器の交換(老朽化や故障が理由の場合)
- 既存の洋式便器に、温水洗浄便座(ウォシュレット)の機能だけを後付けする工事
- 簡易的なポータブルトイレの購入(これは「福祉用具購入費」の対象です)
あくまで「和式から洋式へ」など、身体機能の低下を補うための便器形状の変更が目的である、と覚えておきましょう。
一緒にやると超お得!手すり設置や段差解消などの「付随工事」
トイレリフォームの際に、ぜひ一緒に検討してほしいのが、この「付随工事」です。便器を交換するだけでなく、トイレ空間全体の安全性を高めることで、補助金の効果を最大限に引き出すことができます。
介護保険の住宅改修では、以下の工事も対象となります。
- 手すりの取付け
立ち座りの動作を助ける「L字型手すり」や、トイレまでの廊下に設置する「横手すり」など。壁にしっかりと固定するタイプのものが対象です。 - 段差の解消
和式トイレにありがちな「一段上がった床」を解体して、廊下との段差をなくす工事。つまずきによる転倒を防ぎます。 - 床または通路面の材料の変更
濡れても滑りにくい床材(クッションフロアなど)への変更。安全性を高めるための工事が対象です。 - 扉の取替え
開閉スペースが狭い開き戸から、軽い力で開けられ、万が一中で倒れても救助しやすい引き戸や折れ戸への交換。
これらの工事をトイレリフォームと同時に行うことで、工事費の合計額に対して最大20万円までの補助が受けられます。例えば、「和式→洋式工事で15万円」+「手すり設置で3万円」+「段差解消で2万円」=合計20万円の工事も、1割負担なら自己負担2万円で実現可能です。
これは対象?意外と知らない「付帯工事」の扱い
リフォームには、メインの工事以外にも様々な「付帯工事」が発生します。どこまでが補助金の対象になるのか、知っておくと安心です。
【対象になる付帯工事の例】
- 給排水設備工事: 洋式便器の設置に必要な給水管・排水管の移設や接続工事。
- 壁の下地補強: 手すりを安全に取り付けるための壁の補強工事。
- 床の補修: 便器を撤去した跡の床を補修する工事。
【対象にならない工事の例】
- 水洗化工事: 最も注意が必要なのがこれです。汲み取り式の非水洗トイレを、水洗トイレにするための工事(下水道への接続工事など)そのものは、介護保険の住宅改修の対象外です。この場合、便器の交換費用は対象になりますが、水洗化にかかる費用は全額自己負担となるため、見積もりをしっかり確認する必要があります。
- 見た目を良くするためだけのリフォーム: おしゃれな壁紙への変更や、デザイン性の高い照明への交換など、バリアフリー化に直接関係のない工事は対象外です。
「この工事は対象になるのかな?」と少しでも迷ったら、必ず工事を始める前にケアマネジャーや区役所の担当者に確認しましょう。
【最重要】失敗しないための申請から工事完了までの全6ステップ
ここがこの記事の核心部分です。横浜市で介護保険の補助金を使ってトイレリフォームを行うための手続きは、「工事を始める前の申請(事前申請)」が絶対条件です。この流れをしっかり頭に入れて、損をしないように進めましょう。
ステップ1:ケアマネジャーへの相談がすべての始まり
まず最初に行うべきことは、担当のケアマネジャー(介護支援専門員)または地域包括支援センターの担当者への相談です。
「トイレのリフォームを考えているのですが、介護保険は使えますか?」
この一言からすべてが始まります。ケアマネジャーは介護のプロ。あなたの身体状況や生活環境を把握した上で、なぜトイレリフォームが必要なのかを専門的な視点で判断し、申請に不可欠な「住宅改修が必要な理由書」を作成してくれます。
この「理由書」は、「本人は膝に痛みがあり、和式トイレで深くかがむことが困難なため、転倒予防と自立した排泄行為の維持のために洋式便器への改修が必要である」といったように、改修の必要性を客観的に証明する超重要書類です。この書類なしでは、申請は絶対に通りません。
もし担当のケアマネジャーがいない場合は、お住まいの区の地域包括支援センターに相談すれば、手続きのサポートやケアマネジャーの紹介をしてくれます。
ステップ2:信頼できるリフォーム業者を探して「見積もり」を取る
ケアマネジャーと相談して改修の方向性が決まったら、次にリフォームを依頼する業者を探し、見積もりを取ります。
業者選びのポイントは後ほど詳しく解説しますが、この段階で重要なのは「介護保険の住宅改修に対応した見積書」を作成してもらうことです。
通常の見積書とは異なり、
- 工事内容を「便器の取替え」「手すりの取付け」など、介護保険の対象工事の区分ごとに分ける
- 材料費、施工費、諸経費などを細かく記載する
といった形式が求められます。介護保険の申請実績が豊富な業者であれば、スムーズに対応してくれるはずです。費用や提案内容を比較するためにも、できれば2~3社から相見積もりを取ることを強くおすすめします。
ステップ3:工事着工前!区役所への「事前申請」
見積もりが決まり、依頼する業者が確定したら、いよいよ区役所への申請です。工事を始める前に、以下の書類を揃えて、お住まいの区の区役所保険年金課の窓口に提出します。
【事前申請に必要な書類一覧】
- 介護保険住宅改修費支給申請書(事前申請用): 横浜市の様式。工事内容や費用、業者名などを記入します。
- 住宅改修が必要な理由書: ステップ1でケアマネジャーに作成してもらったもの。
- 工事費見積書: 業者から取得したもの。
- 見積額内訳書: 見積りの詳細な内訳。工事区分ごとに費用を分けたものが必要です。
- 改修前の写真: 必ず日付を入れて撮影してください。改修箇所全体がわかるように、少し引いたアングルと、問題箇所(和式便器や段差など)のアップの両方があると親切です。
- 改修後の完成予定図: 手すりの位置や便器の配置がわかる簡単な平面図やスケッチでOKです。業者が作成してくれることも多いです。
- (賃貸住宅の場合)住宅所有者の承諾書: 大家さんの許可を得たことを証明する書類。
- (受領委任払いを利用する場合)委任状: 後述する「受領委任払い」を利用するための書類。
書類が多くて大変に感じるかもしれませんが、ほとんどはケアマネジャーやリフォーム業者が準備をサポートしてくれます。一人で抱え込まず、専門家と協力して進めましょう。
ステップ4:市からの「承認通知」を受け取ってから工事スタート!
事前申請の書類を提出すると、横浜市で内容の審査が行われます。審査の結果、工事内容が保険給付の対象として適切であると認められると、「住宅改修に関するお知らせ(確認通知書)」といった書類が自宅に届きます。
この通知書には、給付が認められた工事内容や、支給決定額(予定)などが記載されています。
絶対に、この通知書が手元に届く前に工事を始めてはいけません。
フライングで工事を始めてしまうと、万が一申請内容に不備があった場合に修正ができず、最悪の場合、補助金が一切受け取れないという事態になりかねません。必ず、市の「OKサイン」であるこの通知書を確認してから、業者に工事開始の連絡をしてください。
ステップ5:いよいよリフォーム工事の実施
承認通知を受け取ったら、いよいよリフォーム工事の開始です。業者と事前に打ち合わせた内容に沿って、工事を進めてもらいます。和式から洋式へのリフォームは、通常1日~2日程度で完了することが多いです。工事中は、安全に配慮し、業者の指示に従いましょう。
ステップ6:工事完了後の「事後手続き」で補助金を受け取る
無事に工事が完了したら、最後の手続きです。工事費用を支払い、補助金を受け取るための事後手続きを行います。この手続きは、費用の支払い方法によって少し異なります。
A. 償還払いの場合(一旦全額を自分で立て替える方法)
- あなたが業者に工事費用の全額を支払います。
- 以下の書類を区役所に提出します。
- 介護保険住宅改修費支給申請書(事後申請用)
- 領収書(原本): 業者から発行されたもの。
- 工事費内訳書: 実際にかかった費用の明細。
- 改修後の写真: 必ず日付を入れて撮影し、改修前と同じアングルで撮ると比較しやすくてベストです。
- 書類が受理されると、後日、あなたの指定した口座に補助金(費用の7~9割)が振り込まれます。
B. 受領委任払いの場合(自己負担分だけ支払う方法)
- あなたは業者に工事費用の自己負担分(1~3割)のみを支払います。
- 業者が、あなたに代わって残りの補助金(7~9割)を横浜市に請求します。
- あなたは業者から受け取った領収書の写しなどを、事後申請の書類として区役所に提出します。(多くの場合、業者が手続きを代行してくれます)
どちらの方法を選ぶかはあなた次第ですが、次の章で詳しく解説する「受領委任払い」は、一時的な金銭負担を大幅に減らせるため、非常におすすめの方法です。
お金の負担をグッと軽く!「受領委任払い」と賢い業者選びのコツ
手続きの流れはわかったけど、やっぱり気になるのはお金のこと。「償還払いだと、一度に20万円も立て替えるのは大変…」と感じる方も多いはずです。そんなあなたの強い味方になるのが「受領委任払い」制度と、それを扱える信頼できる業者選びです。
一時的な高額出費が不要!「受領委任払い」を徹底活用しよう
「受領委任払い」とは、簡単に言うと「リフォーム費用の支払いを、自己負担分だけで済ませられる制度」です。
【償還払い(原則)】
あなた →(全額20万円支払い)→ 業者
横浜市 →(後日18万円振込)→ あなた
(あなたの懐から一時的に20万円が出ていく)
【受領委任払い(おすすめ)】
あなた →(自己負担分2万円支払い)→ 業者
横浜市 →(直接18万円支払い)→ 業者
(あなたの懐から出ていくのは最初から2万円だけ)
この差は大きいですよね。手元にまとまった資金がなくても、安心してリフォームに踏み切ることができます。この便利な制度を利用しない手はありません。
ただし、この「受領委任払い」は、どの業者でも利用できるわけではないのです。
横浜市で信頼できるリフォーム業者を見つける3つのポイント
では、どうすれば「受領委任払い」が使えて、かつ安心して任せられる業者を見つけられるのでしょうか。以下の3つのポイントを意識して探してみてください。
ポイント1:横浜市の「受領委任払い取扱事業者」から選ぶ
「受領委任払い」を利用するには、横浜市に登録された「受領委任払い取扱事業者」に工事を依頼する必要があります。この事業者は、介護保険制度を熟知し、煩雑な申請手続きにも慣れているプロフェッショナルです。
事業者の一覧は、横浜市の公式ウェブサイトで公開されています。まずはこの名簿の中から、お住まいの区の業者を探してみるのが最も確実で効率的な方法です。
参照:横浜市公式ウェブサイト「介護保険住宅改修費について」こちらのページ内に「受領委任払取扱事業者登録名簿」へのリンクがありますので、最新の情報をご確認ください。(※具体的なURLは変動する可能性があるため、検索エンジンで「横浜市 介護保険 住宅改修」と検索して公式サイトをご確認ください)
ポイント2:介護リフォームの実績と専門知識を確認する
名簿の中から候補をいくつか見つけたら、その業者のウェブサイトを見たり、電話で問い合わせたりして、実績や専門性を確認しましょう。
特に注目したいのが「福祉住環境コーディネーター」という資格です。この資格を持つスタッフは、高齢者や障がい者の住環境整備に関する専門知識を持っています。利用者の身体状況や動線を考慮した、本当に使いやすいトイレの高さや手すりの位置などを的確に提案してくれるでしょう。
「介護保険を使ったリフォームの実績は豊富ですか?」「福祉住環境コーディネーターの資格を持っている方はいますか?」といった質問をしてみるのがおすすめです。
ポイント3:必ず「相見積もり」で費用と提案内容を比較する
これはどんなリフォームでも鉄則ですが、介護リフォームでは特に重要です。複数の業者から見積もりを取ることで、適正な価格を知ることができるだけでなく、各社の「提案力」を比較することができます。
- A社は、ただ便器を交換するだけの提案。
- B社は、利用者の身長に合わせて少し高めの便器を提案し、立ち上がりやすい位置にL字手すりを付けることを提案してくれた。
どちらの業者がより親身になって考えてくれているかは、一目瞭然ですよね。安さだけで選ぶのではなく、「誰のためのリフォームなのか」を一緒に考えてくれる、信頼できるパートナーを見つけることが、成功の鍵です。
よくある失敗例と注意点!これだけは押さえておこう
最後に、制度を利用する上で陥りがちな失敗例や、改めて確認しておきたい注意点をご紹介します。これを知っておくだけで、無用なトラブルを避けられます。
「これも対象だと思ったのに…」対象外工事のワナ
繰り返しになりますが、介護保険の住宅改修は、あくまで「身体機能の低下を補う」ための工事が対象です。
- 「古くなったから最新の洋式トイレに替えたい」 → 対象外(既存が洋式の場合)
- 「壁紙が汚れたから新しくしたい」 → 対象外(機能向上に関係ないため)
- 「置くだけの簡易手すりを買いたい」 → 対象外(工事を伴わないため。「福祉用具購入」の対象)
自己判断で「これも対象だろう」と工事を進めてしまうのは非常に危険です。少しでも迷ったら、「まずケアマネか区役所に電話で確認!」を合言葉にしましょう。
意外と高い?自己負担額と限度額オーバーに注意
補助金の上限は20万円ですが、リフォームの内容によっては、この金額を超えてしまうこともあります。
【例】少し凝ったリフォームで総額が30万円になった場合(1割負担)
- 補助金の対象になるのは、上限の20万円まで。
- 補助金額は、20万円の9割で18万円。
- 自己負担額は、「20万円の1割(2万円)」+「上限を超えた10万円」= 合計12万円となります。
見積もりの段階で、どこまでが補助金の対象になり、最終的な自己負担額がいくらになるのかを、業者にしっかりと確認しておくことが大切です。
絶対NG!「工事後の申請」は原則として認められない
これは何度もお伝えしている最重要ポイントです。慌てていたり、制度を知らなかったりして、工事を終えてから「そういえば補助金が使えたかも…」と気づいても、時すでに遅し。事前申請と市の承認がなければ、補助金は1円も受け取れません。
やむを得ない事情(災害で緊急に工事が必要になった等)がある場合は、例外的に認められる可能性もゼロではありませんが、極めて稀なケースです。必ず「申請が先、工事は後」の順番を徹底してください。
「安ければいい」は危険!利用者に合わない改修の悲劇
費用を抑えたい気持ちはよくわかります。しかし、安さだけを追求した結果、利用者の身体に合わないリフォームになってしまっては本末転倒です。
- 便器の高さが合わず、結局立ち座りがつらい…
- 手すりの位置が悪く、かえって邪魔になってしまった…
- 床材が滑りやすく、転倒の危険が増してしまった…
こんな悲劇を生まないためにも、福祉住環境の知識を持った専門家とよく相談し、数百円、数千円の違いよりも、毎日の安全と快適さを優先してプランを立てることが、結果的に最も満足度の高いリフォームにつながります。
まとめ:横浜市の補助金を活用して、安全で快適なトイレを手に入れよう
今回は、横浜市の介護保険を利用して、和式トイレを洋式トイレにリフォームするための手順やポイントを詳しく解説してきました。
手続きが多くて難しそうに感じたかもしれませんが、重要なポイントを最後にもう一度おさらいしましょう。
- 対象者: 横浜市在住で要支援・要介護認定を受けている方
- 補助金額: 工事費20万円を上限に、費用の7~9割(最大18万円)が支給される
- 対象工事: 和式→洋式への便器交換、手すり設置、段差解消などが対象
- 絶対ルール: 必ず「ケアマネに相談」→「業者選定」→「事前申請」→「市の承認」のステップを踏んでから工事を開始する
- 賢い活用術: 一時的な負担が少ない「受領委任払い」に対応した業者を選ぶのがおすすめ
トイレは、私たちが毎日、何度も使う生活に不可欠な場所です。その場所が安全で快適であることは、ご本人の尊厳を守り、自立した生活を支える上で非常に大きな意味を持ちます。また、介助するご家族の負担を軽減することにも繋がります。
横浜市が用意してくれているこの素晴らしい制度を賢く利用して、あなたや、あなたの大切なご家族のために、安心できるトイレ環境を実現してください。この記事が、その第一歩を踏み出すための助けとなれば、これほど嬉しいことはありません。
■ 免責事項
この記事は、2025年6月時点の横浜市の介護保険制度に関する情報に基づき作成しています。制度の内容は将来的に変更される可能性があります。また、個々の状況によって対象となる工事の範囲や手続きが異なる場合がございます。
リフォームを計画・実施する際には、必ず担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、またはお住まいの区の区役所保険年金課にご相談の上、最新かつ正確な情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。当記事の情報を利用したことによって生じたいかなる損害についても、当サイトは一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。