令和6年度(2024年)インボイス制度における改正案:経過措置、自販機特例、経理方法の見直し

インボイス制度における改正案:経過措置、自販機特例、経理方法の見直し

インボイス制度の改正案には以下の3つの重要な改正が含まれています。これらの改正は順に把握しておくことが重要です。

  1. 免税事業者からの課税仕入れについての経過措置の改正
  2. 自販機特例の住所記載の改正
  3. 「2割特例」または「簡易課税適用」における経理方法の見直し

1. 免税事業者からの課税仕入れについての経過措置の改正

インボイス登録をしていない免税事業者から課税仕入れを行った場合、通常は仕入税額控除が受けられません。しかし、移行期間の経過措置として、最初の3年間は80%控除が適用されます。今回、この経過措置に改正が入りました。

改正内容:

  • 同じ取引先と同じ事業年度中に10億円を超える取引を行った場合、10億円を超えた金額については経過措置の適用がされない。

この改正は、主に大企業や大口取引を行う中小企業が対象です。大口で取引をしている場合、経過措置が適用されなくなるため、注意が必要です。

2. 自販機特例の住所記載の改正

自販機で購入した商品などは通常、領収書が発行されません。このような場合、かつ税込み3万円未満の場合は、帳簿に一定の事項を記載することで仕入税額控除が認められていました。これには「仕入の相手方の住所または所在地の記載」が含まれていましたが、今回の改正でこの記載が不要となりました。

改正内容:

  • 「自動販売機および自動サービス機による販売」における「仕入の相手方の住所または所在地の記載」が不要に。

令和5年10月1日以後に行われた自販機などの購入に関する帳簿への住所などの記載がなくても、改めて求められることはありません。この改正により、経理担当者や会計を担当する従業員の手間が大幅に削減されます。

3. 「2割特例」または「簡易課税適用」における経理方法の見直し

令和5年10月1日以後に行う課税仕入れについて、「税抜経理方式」を適用している場合に改正が入ります。

税抜経理方式とは:

  • 仕入れ時に業者に支払った代金や、商品・サービスを提供して取引先から受け取った売上金を、消費税と本体価格に分けて経理処理する方法。
  • 仕入れにかかる消費税を「仮払消費税」、売上にかかる消費税を「仮受消費税」として仕訳します。

改正内容:

  • 仮払消費税等として計上する金額は、継続適用を条件として課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10を乗じた金額とすることが認められる。

消費税の納付額は、取引先が課税事業者か免税事業者かによって控除額が変わります。「2割特例」または「簡易課税制度」は、経理事務負担を軽減する目的で設けられた制度です。

これまで、仮払消費税の計上額を計算するために取引先が課税事業者(インボイス登録事業者)であるかどうかを確認する必要がありましたが、これは経理負担軽減と相反するものでした。今回の改正により、より簡易的な経理処理が認められるようになりました。


これらの改正は、事業者にとって重要な影響を及ぼすため、順に把握し適切な対応を行うことが求められます。

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