【5分で分かる創業者列伝】
社会課題を解決し続ける革新者
近藤 太香巳
- 1. はじめに:日本を変える“未常識”への挑戦者
- 2. 近藤 太香巳の原点:若き日の挑戦と起業ストーリー
- 3. “初期費用0円”ビジネスモデルの誕生と大ブレイクの背景
- 4. ITバブル崩壊と上場取消し──最大のピンチをどう乗り越えたのか
- 5. 北尾吉孝氏(SBI)との運命的出会いと奇跡の30億円調達
- 6. 相次ぐ上場と事業拡大:社会貢献型ビジネスの加速
- 7. CO2排出削減200万トンの偉業:ネクシーズグループの環境貢献
- 8. 未常識を常識にする“サブスク型”モデルの展開例
- 9. 組織を支える“心を尽くす”経営論:社員を巻き込むコミュニケーション術
- 10. 限界突破のすすめ:チャレンジ精神と“何のために頑張るのか”
- 11. 若者を輝かせるために:近藤流“人材育成”と“1点突破”戦略
- 12. これからのビジョン:ナンバーワンを目指す企画力・営業力の融合
- 13. まとめ:未常識をカタチにする“誇り”と“挑戦”の未来
1. はじめに:日本を変える“未常識”への挑戦者
日本の経済界には、多くの革新的な経営者が存在します。そのなかでも、**「まだない常識を次の当たり前に」**を掲げ、社会課題を解決し続けているのがネクシーズグループの創業者・**近藤 太香巳(こんどう たかみ)氏です。彼は、LED・空調をはじめとした環境配慮型設備の導入支援から、タレント広告や電子雑誌・EC支援など、実に多角的な事業を手がけています。その幅広いサービスの根底には、“常識を疑う”**という姿勢と、社会に貢献できるビジネスモデルを創造し続ける想いがあります。
本記事では、近藤氏が歩んできた創業までの道のり、ITバブル崩壊による上場取消しという絶体絶命の状況、そして再起を果たして当時最年少で東京証券取引所一部上場を成し遂げるまでの軌跡を、創業者列伝として詳細に紐解きます。さらに、若い世代への熱いメッセージや**“1点突破”戦略**など、ビジネスパーソンや起業家を志す方々にとって必見の内容もあわせてお伝えしていきます。
2. 近藤 太香巳の原点:若き日の挑戦と起業ストーリー
近藤氏の人生が大きく動き出したのは、わずか18歳のときでした。NTTの関連会社に入社した彼は、そこで営業の基礎を学びながら、わずか1年後の19歳という若さで独立の道を選びます。
この驚くべきスピード感は、後に続く事業展開にも色濃く反映され、ネクシーズグループの大きな原動力となっていきました。
2-1. 若き営業マンの視点
NTT関連会社で身につけた営業力は、近藤氏のビジネスキャリアを語るうえで欠かせません。テレマーケティングや飛び込み営業など、当時の通信業界はまだ整備途上でしたが、そんな状況だからこそ、**「誰もやっていないことに挑戦しよう」**というマインドが育まれたのです。
2-2. 独立への決意
わずか19歳の若者が自ら起業する──周囲には前例が少なく、大きなリスクを伴う挑戦でした。しかし、近藤氏は**「常識の枠を超えるサービスをつくりたい」**という強い思いを原動力に独立。後に数々のサービスを創造していく姿が、ここから始まります。
3. “初期費用0円”ビジネスモデルの誕生と大ブレイクの背景
近藤氏が創業当初から掲げてきたのが、**「初期費用0円で高品質なサービスを提供する」**という独自のビジネスモデルでした。これは通信業界からスタートし、後に放送・インターネット・設備投資など、さまざまな分野に応用されていきます。
3-1. 携帯電話への応用
創業後、間もなくして世の中に登場した携帯電話。その当時は端末価格が20万円、基本料金も通話料も高額という、現在では考えられない市場でした。そこで近藤氏は、月々2,000円で持てる、かつ初期費用はいらないというプランを発案。これが大ヒットにつながり、一躍注目を集める存在となりました。
3-2. A放送やETCへの展開
携帯電話ビジネスの成功をきっかけに、ビジネスモデルはさらに広がります。衛星放送(有料放送サービス)の初期費用を無料化し、国土交通省の依頼でETCも初期費用0円で導入支援。こうした事例は、それまで「導入コストが高い」「仕組みが複雑」などの理由で普及が進まなかったサービスの常識を一変させ、爆発的な顧客獲得につながりました。
3-3. 孫正義氏(ソフトバンク)からの依頼
さらにはソフトバンクの孫正義氏から直接連絡を受け、モデムを無料で配布するモデルに参画。安価・便利なサービスを普及させるという方向性でタッグを組み、ITインフラの底上げに大きく貢献しました。
こうした一連の流れから、「初期費用0円」で新たな需要を開拓するというビジネスモデルは、その後のネクシーズグループ躍進の原型となっていきます。
4. ITバブル崩壊と上場取消し──最大のピンチをどう乗り越えたのか
順調に拡大を続けていた事業も、2000年のITバブル崩壊という大きな波に飲み込まれてしまいます。実はネクシーズグループ(当時の社名を含む)は、マザーズへの上場を目前に控えていましたが、上場取消しという衝撃的な事態を迎えます。
4-1. マザーズ第1号の上場取消し
ITバブル崩壊による株式市場の混乱は、上場審査にも大きな影響を及ぼしました。日本では20数年ぶりの金融不安のなか、マザーズの設立初期タイミングだったことも重なり、わずか2週間前に上場が取り消されるという前代未聞の事態が起こります。
このショックは大きく、世間の報道も過熱。すでにIR活動も終え、時価総額まで見込みが立っていたなかでの突然の決定に、会社は倒産寸前にまで追い込まれました。
4-2. 社員の“ファイティングポーズ”と諦めなかった経営者
しかし、この絶望的な状況下でも、近藤氏をはじめ社員たちは**「やっている事業が社会に必要とされている」という自負を失いませんでした。誰一人として辞めることなく、むしろ「ファイティングポーズを崩さない」**という強い意志を示し続けます。
この一枚岩の結束力は、後に奇跡とも呼べる大逆転劇を引き寄せる重要な要素となりました。
5. 北尾吉孝氏(SBI)との運命的出会いと奇跡の30億円調達
倒産の危機と表裏一体だった時期、近藤氏はSBIホールディングスの北尾吉孝氏と15分だけの面会チャンスを得ます。その短い時間に、近藤氏は**「自社のビジネスが社会にとっていかに価値があるか」**を必死に説きました。
5-1. 15分で決まった30億円の資金調達
その結果、北尾氏はわずか15分間の面談で30億円の資金支援を即決。これにより、会社の倒産は回避され、上場を目指す再起の道筋が見えてきます。
「ビジネスモデルは正しい。社会に必要とされるサービスである。」──その強い確信を得た北尾氏の支援が、ネクシーズグループの再スタートを後押ししました。
5-2. 2年後の上場とさらなる飛躍
2002年3月6日、同社はナスダックジャパン(後のヘラクレス、現・JASDAQ)に上場。その2年後の2004年11月11日には、当時最年少で東京証券取引所市場第一部上場を果たします。近藤氏の誕生日が11月1日であったことから、**「11月1日生まれの自分が11月11日に一部上場」**という数字の偶然も相まって、大きな話題を集めました。
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6. 相次ぐ上場と事業拡大:社会貢献型ビジネスの加速
近藤氏のビジネスは、単なる売上拡大やスピード上場だけが目的ではありません。常に意識しているのは、**「社会課題を解決し、人々が当たり前に使えるサービスを展開する」**という使命感です。
6-1. 自社完結型モデルへの進化
初期費用0円モデルは、携帯電話や放送サービスだけでなく、LEDなどの設備投資にも応用されます。企業が導入しづらかった最新の省エネ設備を月額料金だけで利用できるようにする仕組みを展開。
従来の代理店的な手法ではなく、**「自社完結型のサービス提供」**へと進化したことにより、業績と社会貢献が同時に拡大していきました。
6-2. メディアプロモーション事業と電子雑誌
一方で、ネクシーズグループはブランジスタという新たな上場会社を設立し、電子雑誌やタレント広告、EC支援といったメディア事業へも進出します。これらは単なる広告ビジネスではなく、「企業のプロモーションを初期費用0円で可能にする」というサブスクモデルが特徴。
広報費が高額になることを敬遠していた中小企業にとっては、利用しやすい仕組みであり、タレント側にも安定的な収益がもたらされるなどWin-Winの関係を構築しました。
7. CO2排出削減200万トンの偉業:ネクシーズグループの環境貢献
環境負荷の低減は、今や世界的な課題となっています。近藤氏が率いるネクシーズグループでは、LED照明や省エネ空調の導入支援を通じて、すでに200万トンのCO2排出削減を実現してきました。
7-1. 20万人分のCO2削減インパクト
1人あたり年間9トン~10トンのCO2を排出すると言われるなかで、200万トン削減という数字は約20万人分の排出量に相当します。これは、都内の著名な都市(渋谷区全体)の年間人口規模の排出量に匹敵するレベルです。
近藤氏は社員に向けて、**「渋谷の人々が1年間、息を止めて電気を消しているのと同じ削減量だぞ」**と具体例を用いて説明し、誇りを共有。環境保護がいかに自分たちのビジネスで推進できているかを強く意識させています。
7-2. 社員にとっての“誇り”
こうした成果により、社員はただ仕事をこなすだけでなく、**「自分たちは社会に必要とされている」という自負心を持っています。近藤氏自身も、社員が「誇りを持てるビジネス」**を設計することこそが企業成長の原動力だと断言しています。
8. 未常識を常識にする“サブスク型”モデルの展開例
近藤氏が生み出したビジネスモデルの大きな特徴は、従来の常識や業界の慣習を見直し、誰もが利用しやすい形に再構築することにあります。それはタレント広告の世界にも広がりました。
8-1. タレント広告のサブスク化
通常、テレビCMや雑誌広告にタレントを起用する際には数千万円単位の広告費がかかるのが常識でした。しかし近藤氏はサブスク型(月額制)を導入し、**「月々40万円程度であの有名タレントが起用できる」**という革新的な仕組みを実現。
企業にとっては負担が軽減され、タレント側もストック収入が得られることで安定性が高まるというメリットがあります。まさに、**業界の“未常識”を“常識”**に変えた事例といえます。
8-2. 新規事業立ち上げのポイント
近藤氏は新しいサービスを検討する際、以下の3つの要素を必ず見極めると語っています。
- 世の中はどうなっているか(トレンド・現状分析)
- そこにある課題は何か(問題点の抽出)
- 自社ならどう解決できるか(独自性・キラーカードの提示)
これらの条件を満たしたうえで、**「ナンバーワンを狙えるビジネスかどうか」を徹底的に議論。もしも競合が強固な場合には、「業界の一部を切り出して磨き上げる」という“1点突破”**戦略を取ることで差別化を図ります。
9. 組織を支える“心を尽くす”経営論:社員を巻き込むコミュニケーション術
近藤氏は全国各地の支店や拠点を回り、社員とのコミュニケーションを極めて大切にします。その際に繰り返し説くのが、**「心を尽くす」**というキーワードです。
9-1. カラオケに例える“心の伝え方”
近藤氏は、同じ曲でも歌手によって心に響く場合とそうでない場合があるとし、営業や接客も同じだと説きます。どんなに商品知識を身につけても、**「自分が本当に良いと思って心から伝えているか」**によって結果は大きく変わるというのです。
9-2. 利他の精神と“ありがとう”の力
ネクシーズグループでは、**「お客様を大事にする気持ち」を根底に据えています。どれだけサービスが良くても、顧客を尊重する姿勢が伴わなければ、長期的なリピーターや紹介は得られません。
また社内では、上司・部下や同僚間で「ありがとう」**を積極的に言い合う文化が育まれており、人間力こそが営業力や企画力を支える土台になっています。
10. 限界突破のすすめ:チャレンジ精神と“何のために頑張るのか”
ベンチャー経営者として、近藤氏は**「自分の能力の範囲内で頑張るのはチャレンジではない」**と断言します。限界を超えることでこそ大きな成長が生まれ、真のベンチャースピリットが生まれるというのです。
10-1. “何のために頑張るのか”の重要性
最大のピンチを乗り越えるためには、「何のために頑張るのか」という動機付けが不可欠だといいます。近藤氏の場合、社員と共に歩んできた歴史から、「出会ってよかったと思ってもらいたい」という信念が原動力になりました。
お客様を笑顔にすることで社員が笑顔になる。その笑顔がさらに株主や取引先などすべてのステークホルダーを笑顔にする──こうしたシンプルなロジックが、ブレない経営スタンスを支えています。
10-2. お金のためでは乗り越えられないピンチ
近藤氏は、**「もちろんお金はあった方がいいが、それだけを目的にすると本当の危機は乗り越えられない」**と語ります。ビジネスで成功する要件は、最終的には人の心を動かす志や理念があるかどうかにかかってくるのです。
11. 若者を輝かせるために:近藤流“人材育成”と“1点突破”戦略
次世代育成に力を入れている近藤氏は、日本最大規模の経営者交流会の代表理事を務めたり、若手向けの講演やセミナーにも積極的に参加しています。その背景には、**「時代を担うのは若者」**という確固たる思いがあります。
11-1. 学歴・学力ではなく“モチベーションが内在する人材”
近藤氏が採用・育成で重視するのは、「こうなりたい」という強い意志です。学歴や過去の実績よりも、**「自分の未来を切り開きたい」という意欲があるかどうかが最重要ポイントになります。
そうした自発的なモチベーションがあってこそ、近藤氏の言葉や周囲のサポートが“心に響く”**のだといいます。
11-2. 大手に勝つための“1点突破”
若者が起業を考える際に、近藤氏は**「1点突破」を強く推奨しています。
たとえば、総合ネットサービスを展開するYahoo!があるなかで、ショッピング機能だけを切り出して磨き上げた楽天市場のように、巨大プレイヤーが手がけるサービスの一部領域を徹底的に特化して競争力を高める戦略です。
大手はサービスや製品ラインアップを幅広く持っているからこそ、「一点においては大手をしのぐクオリティを追求する」**ことで勝機を見出せると近藤氏は説きます。
12. これからのビジョン:ナンバーワンを目指す企画力・営業力の融合
近藤氏が率いるネクシーズグループは、今後も**「ナンバーワンになれることなら何でもやる」**という姿勢を貫きます。企画力と営業力を掛け合わせ、業界の慣習や常識を打ち破るサービスを、圧倒的なスピードで展開していくのです。
12-1. 数値目標と使命感
上場企業としての責務もあり、明確な数値目標を設定しているネクシーズグループ。利益を出し続けることで、株主や社員、取引先といったステークホルダーを幸せにするという使命感を常に意識しています。
そのために、内部から数多くのアイデアを引き出し、企画から営業、導入サポートまでをワンストップで行う体制を構築。世の中のニーズをいち早く察知して、新しい常識をつくりあげることが目標です。
12-2. 短期間で進化し続けるための企業文化
外部環境が目まぐるしく変化する中で、旧来のやり方に固執していては成長は望めません。ネクシーズグループでは、社員が自由に発言できる場を作り、**「ダメ出しよりもチャレンジを歓迎する」企業文化を醸成しています。
こうした姿勢が、同社の強みである“企画力×営業力”**をさらに高め、未常識を常識に変えるサービスを次々と生み出す原動力となっているのです。
13. まとめ:未常識をカタチにする“誇り”と“挑戦”の未来
近藤 太香巳氏が築き上げたネクシーズグループは、「常識」とされていた高額な初期費用を**“0円”に変え、企業が導入しにくかった先端設備や広告モデルを“誰もが使えるサービス”**として世の中に提供してきました。その結果、200万トンものCO2排出削減を達成し、社会課題の解決にも貢献しているのは、並大抵のことではありません。
しかし、近藤氏はそこで満足することなく、さらに新たな領域でナンバーワンを目指す姿勢を崩しません。本人いわく、ビジネスで重要なのは以下のポイントです。
- 何のために頑張るのかを明確にする
- 自らの限界を超えるチャレンジでこそ大きな成長がある
- 世の中の課題と自社の独自性を結びつけるキラーカードを創る
- 学歴や肩書きよりも“本気で成長したい”という意志が大事
- 大手に挑むなら、特定の領域で“1点突破”する戦略を狙う
こうした考え方は、今後起業を志す若い世代や、新規事業にチャレンジしようとするビジネスパーソンにとって、大きなヒントになるでしょう。社会や顧客にとって本当に価値があることを形にし、誰もが使いやすいビジネスモデルとして定着させていく。そして、社員が**「自分たちは社会に必要とされている」**と誇りを感じられる環境を作る。まさに未常識を次の当たり前へと進化させる近藤流の経営哲学は、これからの時代においても普遍的な魅力を持ち続けるに違いありません。
**ネクシーズグループが描く未来は、社会貢献と事業成長を両輪に、若者を中心に多彩なアイデアを実行へ移していく未来です。その中心にいる創業者・近藤 太香巳氏は、これからも「常識を疑い、未常識を常識化する」**挑戦を続け、さらなる飛躍を目指すことでしょう。
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