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【Excel初心者向け】
エクセルの
基本操作+関数&ショートカット
完全マニュアル
はじめに
Excelは、企業のさまざまな業務において不可欠な表計算ソフトウェアである。財務・経理、営業事務、総務、マーケティングなど、幅広い業種・部門で日常的に活用されており、使いこなせるかどうかで生産性に大きな差が生じることが少なくない。
本記事では、これからExcelを学ぶ人や、あらためて基礎を学び直したい人に向け、画面構成・データ入力・書式設定・関数・エラー対処・ショートカットなどの要点を章立てで整理する。表作成をスムーズにしたり、セルに効率よく入力したり、業務に直結するさまざまなケースに応用できるよう、多角的に解説していく。
第1章:Excelの画面構成と主要な機能領域
1-1:リボンとタブ
Excelを立ち上げると、上部に「ホーム」「挿入」「ページ レイアウト」「数式」「データ」などのタブが並んでいる。これらをまとめて“リボン”と呼ぶ。
- ホームタブ:文字の書式設定、罫線、塗りつぶし、配置変更、クリップボード関連の操作など、最も使用頻度の高い基本ツールがまとまっている。
- 挿入タブ:図形や画像、グラフ、ピボットテーブルなどを挿入するためのコマンドが集結。見栄えを整える要素が多い。
- ページ レイアウトタブ:印刷設定やページ設定に関する機能があり、余白や向き、サイズをカスタマイズするときに使う。
- 数式タブ:関数ライブラリや名前の定義、数式の表示切替など、計算や分析に役立つツールがまとめられている。
- データタブ:フィルター、並べ替え、重複の削除、外部データの取り込みなど、データ管理に関する機能を操作するためのタブ。
1-2:数式バーとステータスバー
- 数式バー:選択中のセルに入力されている内容(文字列・数式・関数など)が表示されるバー。長い式も一覧で確認しやすく、セル内を直接クリックして編集しなくても内容を修正できる。
- ステータスバー:画面下部にある細長い領域。Excelにおける作業の状態や計算結果を簡易的に表示する。また、選択範囲の平均や合計を素早く参照できる場合もある。
1-3:クイックアクセスツールバー
- リボンの左上に存在する小さなアイコン群。標準では「上書き保存」「元に戻す」「やり直し」が配置されている。
- ユーザーが頻繁に使う機能やコマンドをここに追加登録しておけば、効率的に操作できる。
第2章:セル・シート・ブックの概念
2-1:セルの住所と列・行の役割
Excelでは、画面上部にA・B・C…と表示されている部分を「列(Column)」、左側に1・2・3…と表示されている部分を「行(Row)」と呼ぶ。
- 列番号と行番号の交差するところにある四角いマス目が「セル」。
- Excelではセルを「A1」「B5」「C10」のように、アルファベット+数字で一意に特定する。
- 「セル番地」「セル参照」と呼ぶ場合もある。
2-2:複数シートによる管理とブック全体の構造
Excelファイルは「ブック(Workbook)」であり、そのブックの下部には「Sheet1」「Sheet2」のようなタブが並んでいる。
- シートを追加する方法:タブの右側にある「+」アイコンをクリック。
- シート名の変更:シート名をダブルクリック、または右クリックして「名前の変更」から変更可能。
- 一つのブックに複数シートを持たせることで、月次と年度を分けたり、部署ごとのデータを整理したりなど、情報管理を柔軟に行える。
第3章:Excelに入力できるデータの種類
3-1:文字列データ
セルにアルファベットや日本語などの文字情報を入力すると、基本的にセル内は左寄せになる。
- 社名や担当者名、取引先などをリスト化するときに利用。
- 数値であっても、末尾に「円」や「人」などの文字が入ると文字列扱いとなることがある。
3-2:数値データ
数値を入力すると、セルの内容は初期設定で右寄せになる。
- 計算対象になるデータは、純粋な数字だけが入力されている必要がある。
- 例:
2000
(数値)と2,000円
(文字列)はExcelが区別して扱う。
3-3:数式(四則演算など)
数式は**半角イコール(=)**で始める。続けてセル参照を組み合わせ、演算子(+ – * /)を使って数値やセル同士を計算できる。
- 例:
=A1 + B1
- 例:
=A1 * 1.08
(消費税を乗せる計算など) - 例:
=(A1 + B1) / C1
(まとめて割り算も可能) - イコールから始めるのがExcelの数式の大原則。
第4章:書式設定とレイアウト
4-1:セル内の文字装飾
ホームタブの「フォント」グループには、太字・斜体・下線などを指定するボタンがある。
- 太字(B):強調したい見出しや合計などを目立たせる際に使う。
- 斜体(I):あまり多用はしないが、引用や備考を示す場合に用いることがある。
- 下線(U):小計や合計欄などで引きたい場合などに利用。
4-2:罫線・セル背景色・フォントの色
- 罫線:表の外枠や横線・縦線をつけて見やすく整理する。
- セル背景色:ヘッダー行やサマリー部分など重要な箇所の背景を塗りつぶすと見分けがつきやすい。
- フォントの色:強調したい文字を赤や青に変更する。配色バランスを考慮し、必要以上にカラフルにしすぎないことが肝要。
4-3:セル結合・列幅と行の高さの調整
- セル結合:「ホーム」タブの「配置」グループにある「セルを結合して中央揃え」などを使う。表の大見出しなどに便利。
- 列幅の調整:列番号の境界をダブルクリックすると自動調整。マウスでドラッグすると任意の幅に拡大・縮小可能。
- 行の高さの調整:行番号の境界をダブルクリックすると内容に合わせて自動調整。
4-4:改行テクニック(Alt+Enter)
- 一つのセルの中で文章を2行以上にわたって記述したい場合、改行したい位置でAlt + Enterキーを押す。
- 列幅を必要以上に広げることなく文字情報を整然と配置できる。
第5章:よく使う基本関数
5-1:SUM関数
範囲内の合計を求める最も基本的な関数。
=SUM(セル範囲)
- 例:
=SUM(A1:A10)
はA1からA10までの合計値。 - 複数の範囲を同時に指定することもできる。例:
=SUM(A1:A10, B1:B10)
5-2:AVERAGE関数
平均値を求める関数。
=AVERAGE(セル範囲)
- 例:
=AVERAGE(B1:B10)
はB1からB10までの平均値を返す。
5-3:MAX関数・MIN関数
- MAX:指定範囲の最大値を返す。
- MIN:指定範囲の最小値を返す。
=MAX(範囲)
=MIN(範囲)
- 例:
=MAX(A1:A100)
とすると、A1からA100のうち最大の値を返す。
5-4:COUNT関数・COUNTA関数
- COUNT:数値が入力されているセルの個数をカウント。
- COUNTA:空白ではないセルの個数をカウント。文字列を含むため、レコード数の確認などに有効。
=COUNT(範囲)
=COUNTA(範囲)
- 例:
=COUNT(A1:A100)
はA1からA100に含まれる数値セルのみ数える。 - 例:
=COUNTA(A1:A100)
はA1からA100のうち空白以外はすべて数える。
第6章:エラー表示と対処方法
6-1:#DIV/0!
0で割り算した場合に発生する。
- 例:
=A1 / A2
で、A2が0や空白だと**#DIV/0!**。 - データに誤りがないか確認し、意図的に0が存在するならIF関数などでエラー処理を組む場合もある。
6-2:#NAME?
存在しない関数名やセル参照のスペルが間違っているときに出る。
- 例:
=SAM(A1:A5)
のように、スペルミス(SUM→SAM)で起きる。 - 関数名やセル参照の入力ミスを再確認し、修正する。
6-3:#VALUE!
数値を期待している計算式に文字列など数値以外が混在した場合に発生。
- 例:
=A1 + B1
で、B1に「2000円」のような文字列が入っているとエラーになる。 - 文字の部分を取り除いたり、別のセルで数値のみ管理するなどが必要。
第7章:作業効率を上げるショートカットキー
7-1:コピー・ペースト・切り取り
- コピー:
Ctrl + C
- ペースト:
Ctrl + V
- 切り取り:
Ctrl + X
これらはWindowsの基本操作としても広く知られており、Excelでも必須のショートカット。
7-2:セル内容の編集(F2)
- セルをダブルクリックして編集する代わりに、F2キーを押すと瞬時に編集モードに入る。
- 矢印キーで文字の挿入場所を微調整しやすい。
7-3:上書き保存(Ctrl+S)と名前を付けて保存(F12)
- 上書き保存(Ctrl + S):変更内容を即座に既存ファイルに保存する。
- 名前を付けて保存(F12):新しいファイル名や保存場所を指定して保存したい場合に便利。
第8章:表作成のポイントと便利機能
8-1:見出しを配置するときのセル結合
表のタイトルや大見出しを画面中央に大きく表示したいとき、複数の列をまとめて結合し、さらに中央揃えを使うとレイアウトがきれいに整う。
- やり方:見出しを置きたい範囲を選択 → 「ホーム」タブ → 「セルを結合して中央揃え」。
8-2:行挿入・列挿入・削除
- 行の挿入:行番号を右クリック → 「挿入」。
- 列の挿入:列番号を右クリック → 「挿入」。
- 削除:同じく右クリックメニューから「削除」。
既存のデータとの整合性を保ちつつ新しい情報を挿入できる。
8-3:条件付き書式の基礎
「ホーム」タブの「条件付き書式」を使うと、セルの値によって自動的に色付けやアイコン表示などを変化させられる。
- 例:売上が目標を超えたらセルを緑に、下回ったら赤にする。
- 一覧表から目標達成数や期限超過数を素早く判別できる。
8-4:フィルター機能でデータ抽出
「データ」タブの「フィルター」をクリックすると、列見出しに▼マークが付き、特定の条件でデータを絞り込み可能。
- 例:商品リストの中から、在庫数が一定以上のものだけを表示する。
- テーブル形式で保存しておけば新しい行を追加してもフィルターが適用されやすい。
第9章:データ管理とトラブル回避
9-1:ファイルサイズと互換性
画像を貼り付けすぎたり、不必要に数百列や数万行まで書式を指定したりすると、Excelファイルが大きくなり過ぎて動作が重くなりやすい。
- 不要なシートや不要な列・行を削除しておくのが望ましい。
- 古いバージョン(.xls形式)で保存していると新機能が使えないことがあるので留意したい。
9-2:バックアップと保存形態
万一の破損や誤操作に備え、別名保存やクラウド保存を活用することが多い。
- 定期的なバックアップ取得により、トラブル発生時でも復元が容易。
- Excel OnlineやOneDriveを使うと、共同編集がスムーズになるケースもある。
第10章:実務に沿った活用例
10-1:経理・会計処理
経理部門でよく用いられる例として、仕訳入力の管理や月次集計表の作成などがあげられる。
- 仕訳帳の作成:日付や勘定科目、金額を入力し、SUM関数などで借方・貸方の合計を確認する。
- 月次試算表:勘定科目ごとに集計し、ピボットテーブルでの分析やSUMIFなどを組み合わせるケースがある。
10-2:売上集計と顧客管理
営業部門やマーケティング部門では、顧客ごとの売上金額や購買履歴をExcelでリスト化することがある。
- 顧客名簿:名前や連絡先、購入商品、購入日などを一元管理し、フィルターで抽出する。
- 売上レポート:SUM・AVERAGE関数を使い、期間別や担当者別の売上額を集計。グラフと連動させることで視覚的な把握もしやすい。
10-3:プロジェクト管理
タスクごとに担当者や期限、進捗状況をリスト化し、条件付き書式などを組み合わせて進捗を“見える化”する。
- 進捗率:完了タスク数 / 全タスク数 × 100% といった計算式をセルに埋め込む。
- 予定と実績の比較:各タスクの開始日と終了日を管理し、差異を算出。オートフィルや書式設定で分かりやすくする。
第11章:追加のショートカット集
11-1:元に戻す・やり直し
- 元に戻す:
Ctrl + Z
(直前の操作を取り消す) - やり直し:
Ctrl + Y
(取り消し操作を再度やり直す)
いずれもさまざまな場面で役立つため頻繁に利用される。
11-2:セルの書式設定画面を呼び出す(Ctrl+1)
- フォントや配置、表示形式、保護など細かい設定を一度に変更できる。
- 日付表示や通貨表示、小数点以下の桁数などを素早く設定できる。
11-3:フィルターのオン/オフ(Ctrl+Shift+L)
- 表全体を選択してからショートカットを押すと、列の見出しにフィルターボタンが付く。
- フィルターを無効にするときも同じ操作で切り替え可能。
第12章:業務に役立つ設定と注意点
12-1:セルロックとシート保護
複数メンバーでファイルを共有する際、重要なセルを勝手に変更されては困るという場面がある。
- 手順:対象セルを選択 → 右クリック「セルの書式設定」 →「保護」タブ → 「ロック」のチェックを外す(保護したくないセルの場合)。
- その後、シート保護を設定すると、ロックのかかったセルは編集不可になる。
12-2:入力規則(ドロップダウンや数値限定など)
- 「データ」タブの「データの入力規則」を使うと、あらかじめ設定したリストのみ入力可能にしたり、数値以外の入力をはじくようにしたりできる。
- 入力ミスの防止やデータ形式の統一など、実務上の精度を高めるのに役立つ。
12-3:OneDriveとの連携と自動保存
最新バージョンのExcelをクラウド上のOneDriveに保存しておくと、自動保存機能が利用できるケースが多い。
- 編集した内容が都度クラウドに反映されるため、保存忘れによる損失を減らせる。
- 同時編集やバージョン管理に対応できる利点もある。
第13章:さらなるExcel熟達のために
13-1:ピボットテーブルによる高度な集計
多量のデータを集計・分析する代表的な機能がピボットテーブル。
- ドラッグ&ドロップで行・列の項目を変更し、瞬時に合計や平均値を再計算可能。
- 数値データが膨大な場合でも要約しやすく、経営資料やレポート作成の際に役立つ。
13-2:グラフやチャートの活用
棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフなど、複数のチャート機能がExcelには標準搭載されている。
- データ範囲を選んで「挿入」タブからグラフを作成する。
- 視覚的な訴求力を高め、分析結果を共有する際にも便利。
13-3:応用的な関数の入り口
基礎関数に慣れたら、IFやVLOOKUP、SUMIF、COUNTIF、INDEX+MATCH、さらにはIFERRORなどを学ぶと、実務の幅が大きく広がる。
- 単純な合計・平均にとどまらず、条件付きの集計や、別表から情報を自動取得する機能を備えられる。
- 不要なエラーを表示させずに別のメッセージを返すIFERRORなどを使うと、表が洗練されたものになる。
第14章:まとめ
Excelは、表形式のデータ管理から複雑な数値計算、さらにはグラフ化まで幅広い用途に対応できる実用的なソフトウェアである。基本的な要素(セル、シート、ブック)を理解し、文字列と数値を正確に区別して入力・編集し、必要に応じた書式設定や関数を組み合わせることで、さまざまなケースに応じた表や分析資料が素早く作成可能になる。
特に、SUM・AVERAGEなどの基本的な関数や、よく使うショートカットキー(Ctrl+C、Ctrl+V、F2編集など)を押さえておくと、作業効率は飛躍的に向上しやすい。エラー表示の原因を把握し、トラブルに対処できる知識を備えておくと、書類作成や報告書作成の場面で煩雑になりにくい。
さらに、書式設定で見やすいレイアウトを実現すれば、上司やクライアントにとって理解しやすい資料が作れる。条件付き書式やフィルター機能などを使いこなすと、ある程度のデータベースのように活用でき、検索や抽出、分析を円滑に進められるだろう。
業務内容に合わせてシート構成を決めたり、応用的な関数で自動化を進めたりしていくことで、多種多様なシーンにExcelが対応してくれる。今後さらに上達を目指したい場合は、ピボットテーブルやマクロ/VBAなどに踏み込むのも選択肢の一つと言える。
免責事項
本記事は、一般的なExcelの使用方法や操作手順を広くまとめたものであり、すべての環境やバージョンでの動作を保証するものではない。利用者の個々の作業環境やExcelバージョン、カスタマイズ状況などによって、紹介した操作や表示が異なる場合がある。記事の内容を参考にした結果生じたいかなる損害やトラブルについても責任を負わない。必要に応じて正規のマニュアルや公式サポートなどを確認し、自己責任で設定や操作を行っていただきたい。
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