【驚きの発見】親の年金はもっと増える?年金定期便には書かれていない『隠れ年金』徹底解説

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年金・健康保険

親の年金はもっと増える?
年金定期便には書かれていない
『隠れ年金』


エンジョイ経理編集長(以下、編):

皆さんこんにちは、エンジョイ経理編集長です。実は私、元々IT大手上場企業の財務経理部門で幹部をしておりました。今は独立して「エンジョイ経理」というメディアを運営しています。今日は顧問としてお世話になっている社会保険労務士の先生(以下、社労士)に、「親の年金」について詳しくお話を伺いたいと思います。というのも、最近親が受け取る年金額を確認しはじめたのですが、どうやら“年金定期便に書かれていない年金”があると耳にしたんです。正直なところ、私自身が初めて聞く言葉が多くて驚きました。そこで、同じようにご両親の年金が気になる方や、将来の年金をしっかり把握しておきたい方にも役立つように、先生のお話をまとめて公開しようと考えました。


社労士:

皆さん、こんにちは。社会保険労務士です。私は主に企業の顧問社労士として、労務管理や社会保険手続きなどをサポートしておりますが、個人の年金相談も長く手掛けてきました。年金の話は複雑で、「しっかり調べていなかったら本来受け取れるはずの給付を見逃していた」というケースが多々あるんです。特に、親世代の年金をチェックしてみると意外な“隠れ年金”に気づかないまま数年間過ぎてしまった、なんてこともしばしば。今日はこのあたりを詳しく解説していきたいと思います。


エンジョイ経理編集長より

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1. 親の年金をチェックする重要性

編:

実は私も、両親と一緒に年金定期便や年金証書を見直したのですが、「あれ、もしかして何か受け取れそうな制度を見落としていない?」と疑問に思ったのがきっかけです。具体的には何からチェックすべきでしょうか?

社労士:

まず、確認の第一歩は親御さんが年金定期便をしっかり保管しているかどうか、そしてそれをもとに「記録漏れ」や「加算漏れ」がないかを見極めることですね。年金定期便には大まかな加入実績や将来の年金見込額が記載されていますが、**実はそこに書かれていない“加算年金”**や、過去の記録が反映されていない未主張の年金がある可能性もあるんです。


2. 年金定期便に書かれていない「加給年金」とは?

編:

「加給年金」という言葉、最近になって初めて聞きました。年金定期便や説明書をざっと見ても、まったく出てこないですよね。いったいどんな制度なんでしょうか?

社労士:

はい、「加給年金(かきゅうねんきん)」は正式には「加給年金額」といって、厚生年金を受給する方に条件が当てはまると加算される年金です。たとえば、ご主人が65歳以上になり、なおかつ厚生年金の被保険者期間が20年以上ある場合に、65歳未満の配偶者や18歳未満の子どもや20歳未満の障害1級・2級の子どもがいる場合に年間数十万円が追加支給されるという仕組みなんですよ。
ただし、この加給年金は自動的に付くわけではなく、あくまで「申請」をしないと受給できません。そして年金定期便には記載されません。ここが最大のポイントで、知らず知らずのうちに本来受給できたはずの年金を受け取らないで終わってしまう方がいらっしゃるのです。


編:

加給年金は具体的にどのくらいの金額なのでしょうか?

社労士:

加給年金は基本加算額に加えて「特別加算」も付くので、年間およそ40万円になることが多いです。たとえば、

  • 配偶者加給年金 → 年間22.4万円前後
  • 特別加算 → 年間17万円強
    合計すると40万円前後になるのが一般的ですね。配偶者が65歳になるまで支給されるので、仮に夫婦の年齢差が10歳くらいある場合には、トータル数百万円になることもめずらしくありません。これが年金定期便にまったく載っていないというのは、大きいですよね。

編:

いや、本当に驚きです。親の世代だと夫婦間の年齢差がわりとあるカップルも少なくないですし、知らなかったら大損する可能性がありますね…。


3. 配偶者が65歳になると切り替わる「振替加算」

編:

もうひとつ、加給年金とセットでよく耳にするのが「振替加算」ですよね。これはどういう仕組みなんでしょうか?

社労士:

「振替加算」は、たとえば夫の年金(厚生年金)に配偶者として加給年金がついていた奥様が65歳に到達したタイミングで、今度はご自身の国民年金(老齢基礎年金)に加算されるものです。夫側の加給年金がなくなる代わりに、妻側の基礎年金に振り替わるというイメージですね。
ただし、加給年金と同じく自動的に切り替わるわけではないケースもあり、条件によっては「妻が20年以上厚生年金に加入していない」ことなども要件のひとつになります。また、妻の生年月日に応じて金額が異なり、世代によっては年間1万円台の加算になることもありますが、昔の生年月日の方なら10万円以上なんてこともあります。


編:

なるほど。加給年金と振替加算はセットになっている印象ですが、実際には「自分の配偶者が本当に要件を満たしているのか」をしっかり確認しないと、もらえないままになってしまう恐れがあるというわけですね。

社労士:

そうなんです。現状、年金事務所が個別に加算漏れを積極的に教えてくれるわけではありませんから、少なくとも「自分の場合は加給年金の要件を満たしているか」「配偶者が65歳になったら振替加算が可能か」を、しっかりチェックする必要があります。


4. 持ち主不明年金の存在と記録漏れリスク

編:

私も最近いろいろ調べるなかで知ったのですが、「持ち主不明年金」っていうのもけっこう多いとか…。具体的にはどんな状況で発生するんでしょうか?

社労士:

「持ち主不明年金」とは、その名のとおり「本来受け取るはずの人の年金記録が宙に浮いている状態」のことを指します。たとえば、

  1. 結婚や離婚などで姓が変わった場合
  2. 転職回数が多く、会社ごとに厚生年金の登録状況がきちんと引き継がれなかった場合
  3. 名前の読み方や漢字の誤記などで、別人として扱われている場合

こういった理由で正しい年金番号に結びつかず、本人のデータベースから抜け落ちてしまうのです。結婚前に数年だけ働いていて厚生年金を納めていたのに、手続き漏れで結局受給対象になっていなかったとか、現実に多くあります。


編:

そうなると、せっかく払った保険料が年金額に反映されず、結果的に親の年金が少なくなる可能性があるわけですよね。確認する術はあるのでしょうか?

社労士:

一番手軽な方法は「年金ネット」での記録確認です。日本年金機構のWEBサービスに登録すると、これまでの厚生年金・国民年金の記録をオンラインでチェックできます。ほかにも「持ち主不明記録検索システム」が用意されていて、名前や生年月日で合致する未統合の年金記録がないかを検索できるんです。
特に、ご両親が「昔一時期だけ働いていた」「戦後すぐに共済組合で働いていた」「短期間アルバイトで厚生年金に入っていた」など、記憶があいまいになっている場合にはぜひ活用してみてください。


5. 厚生年金基金や企業年金連合会の「未請求年金」

編:

もうひとつ、私的年金に分類されるものですが「厚生年金基金」の未請求分が話題になっていますよね。あれは公的な年金とは別物ですか?

社労士:

厚生年金基金は企業が従業員のために独自に厚生年金の一部を運用していたもので、公的年金(老齢厚生年金)の上乗せとして受給する仕組みです。現在はほとんどの基金が解散したり、ほかの制度に移行したりしていますが、昔に短期間でも加入していたことのある人なら、その分の企業年金を受け取れる可能性があります
ただ、転職や退職に伴い企業年金連合会に年金資産が移管される際に、自分で手続きしないまま放置してしまい、「本人が請求していない」ケースが多発しているんです。中途退職者が「自分の将来の年金なんて、その時は気にしていなかった」というのが原因になりがちですね。


編:

それは公的年金とは別に受け取れるものだからこそ、知らずに放置するとかなり大きな金額を損しているかもしれませんね。いつごろどんな会社に勤めていたか、親にヒアリングしておく必要がありますね。

社労士:

ええ。もし何らかの企業年金に加入していた記録がありそうなら、やはり企業年金連合会に問い合わせて、自分の積立が残っているかを調べてもらうのがおすすめです。生存中なら5年分をさかのぼって一時金として受け取れるケースもありますし、それを過ぎても遺族給付の対象になる場合もありますので、一度もらいそこねないようにチェックするのが大切です。


6. 受給漏れを防ぐための具体的ステップ

編:

これだけいろいろな可能性があると、親も自分も「どこから手をつければいいのやら」と戸惑ってしまいそうです。漏れなく確認するためには、どんな手順を踏むのがよいですか?

社労士:

大まかに言うと、次のステップを踏むのがいいでしょう。

  1. 年金定期便や年金証書を確認
    • 国民年金・厚生年金の加入月数、納付金額、見込み年金額を把握する。
    • 年金定期便の「最近の納付状況」を見て、怪しい部分や誤りがないかチェック。
  2. 日本年金機構の「年金ネット」に登録
    • オンラインで自分の年金記録を詳細に確認できる。
    • 「持ち主不明記録検索システム」も活用。
  3. 過去の勤め先、共済組合、企業年金基金などを整理
    • 勤務期間や退職時期を親の記憶や記録(給与明細など)で洗い出し、未統合の年金が残っていないか調べる。
    • 厚生年金基金が解散または移行している場合は企業年金連合会に問い合わせる。
  4. 加給年金や振替加算の要件を確認
    • 親の夫婦関係(配偶者の年齢・年収)や子どもの年齢、厚生年金の加入期間20年以上の有無、配偶者が65歳に達する時期などを総合的に把握する。
    • 申請が必要な場合は早めに手続きを行う。
  5. 専門家への相談
    • 曖昧な部分や細かい要件に合致するかどうか不安な場合は、最寄りの年金事務所や社会保険労務士に相談。
    • ただし、年金事務所だけでは企業年金など私的年金の情報はわからないこともあるので注意。

こういった流れを踏んでチェックしていくと、かなり受給漏れを防げると思います。


7. 申請を忘れていた場合はどうなる?時効の注意点

編:

もし気づかないまま何年か経ってしまっていた場合、遡って受給できるんでしょうか?

社労士:

公的年金の受給権そのものは消えないんですが、年金の時効は5年間なので、過去5年分しかさかのぼって受け取れません。たとえば6年前に本来もらえるはずだった加給年金があったとして、今さら見つけても1年分は時効でもらえないわけですね。
企業年金連合会の場合も基本的に5年分が時効というルールが多いですので、「もっと早く気づいていれば…」というケースが後を絶たないのが現状です。


編:

そう考えると、まさに「思い立ったが吉日」ですね。親の年金を改めて確認する方が絶対にいいですね。

社労士:

はい。受給漏れを一刻も早く発見して申請手続きを取ることで、無駄を減らすことができます。


8. 親の年金最大化のポイントと注意点

編:

ここまで伺って、親の年金を最大化するうえでのポイントは、

  1. 記録漏れ(持ち主不明年金)を徹底的に潰す
  2. 加給年金・振替加算など申請が必要なものを逃さない
  3. 企業年金や厚生年金基金の移管先を確実にチェック

あたりがキモになると感じました。一方で注意点というとどんなものがありますか?

社労士:

たとえば、配偶者や子の年収要件がある点は注意が必要です。加給年金の対象になる「生計維持要件」として、配偶者や子が年収850万円未満(所得655.5万円未満)である必要があります。もし大きな収入がある場合には、そもそも加給年金がつかないこともあるんです。
また、結婚や離婚のタイミングも重要です。例えば、65歳に達する前に婚姻届を出していないと加給年金が受けられない、なんてケースもあります。こうした細かい条件を満たしているかどうか、早めに把握しておくことが大切ですね。


9. 社労士からのアドバイス:まずは親と一緒に書類を総点検

編:

最後に、親の年金額を増やしたい、あるいは受給漏れがないかを確認したいという方へ、先生からアドバイスをお願いします。

社労士:

一番大切なのは「親御さんが持っている年金関連の書類を全部出して、まずは一緒に確認する」ことです。年金定期便や過去に届いた「年金特別便」「年金証書」などがあれば、そこに書かれている期間や加入実績に漏れがないかチェックしてください。
次に、曖昧な部分があればすぐに年金事務所で「年金記録照会」を行いましょう。電話やオンライン予約をすれば、担当者が一緒に記録を確認してくれます。その際に「加給年金(加給年金)は付きますか?」「振替加算はどうなりますか?」など、自分からも具体的に質問しましょう。
そして、企業年金や基金については年金事務所ではわからない部分もあるので、「企業年金連合会」や過去の勤務先に問い合わせることが必要です。まとめると、国の制度と私的年金制度を分けて整理してみるとわかりやすいですよ。


10. まとめ:親の年金を最大化し、安心した老後をサポート

編:

今日はとても勉強になりました!私自身、親の年金をなんとなく確認した程度でしたが、こんなに多くの注意点や加算制度があるとは正直知りませんでした。読者の皆さんもぜひ、親の年金を今すぐ点検してみてください。放っておくと時効で取り逃す可能性がありますし、加給年金のように何年も受給できるはずのお金を受け取らずにいたら本当に悔しい思いをすることになりかねません。

社労士:

そうですね。年金は一生に関わる収入源ですし、私がこれまで見てきた中でも「もっと早く知りたかった」という方が本当に多いんです。皆さんもぜひ、ご両親と一緒に資料をチェックして、年金定期便に書かれていない年金を見逃さないようにしてくださいね。


免責事項

本記事の内容は、あくまで一般的な年金制度の概要をわかりやすく説明したものであり、特定の状況や個人に関して法的・税務的なアドバイスを提供するものではありません。実際の手続きや制度適用には個別の事実関係や最新の法令等を確認する必要があります。詳しくは必ず最寄りの年金事務所や社会保険労務士など専門家にご相談ください。また、本記事の正確性については万全を期しておりますが、その完全性や最新性を保証するものではありません。本記事を参考に行った行動の結果について一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

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