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「次のNVIDIA」はどこだ?注目のAI半導体ベンチャー4社を徹底解説

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「次のNVIDIA」はどこだ?注目のAI半導体ベンチャー4社を徹底解説 注目企業

AI技術の進化が目覚ましい現代において、Claude、ChatGPT、Geminiといった主要な生成AIモデルの比較記事でも示されているように、その心臓部とも言えるAI半導体の重要性は日増しに高まっています。特に生成AIの発展は、かつてないほど膨大な計算処理能力を要求し、その需要をNVIDIAのGPUが一手に引き受けている現状があります。一方で、中国AI『DeepSeek』がNVIDIA株価を急落させたといった動きも見られ、このNVIDIA一強の時代に風穴を開け、「次のNVIDIA」の座を狙う野心的なAI半導体ベンチャーが世界中で台頭していることをご存知でしょうか?

今回は、AIチップ業界の未来を担う可能性を秘めた4つの注目企業、グロック(Groq)、セレブラス(Cerebras)、テンストレント(Tenstorrent)、そしてフィリオスAI(Rebellions/FuriosaAI)に焦点を当て、それぞれの持つ革新的な技術や戦略を深掘りしていきます。この記事を読めば、彼らがAI業界にどのような変革をもたらそうとしているのか、その全貌が見えてくるはずです。

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「次のNVIDIA」に名乗りを上げるAI半導体ベンチャーの現状

現在のAI半導体市場は、NVIDIAが圧倒的な存在感を示しています。特に高性能なGPUは、大規模なAIモデルのトレーニングや推論に不可欠であり、その需要はとどまるところを知りません。しかし、NVIDIAのGPUは高価であり、その供給は常に逼迫しています。この状況は、AI開発に取り組む企業にとって、コストと調達という二重の課題となっています。

このような背景から、「NVIDIAのオルタナティブ」を求める声が日に日に高まっています。まさにこの隙間を狙って、独自の技術やアプローチでAI半導体市場に挑むベンチャー企業が次々と現れているのです。彼らはNVIDIAがカバーしきれないニッチな領域や、NVIDIAとは異なるアプローチで高性能化と効率化を実現しようと試みています。それぞれの企業が持つユニークな強みが、今後のAIエコシステムをさらに多様で豊かなものにしていくことでしょう。

注目のAI半導体ベンチャー4選

「次のNVIDIA」はどこだ?注目のAI半導体ベンチャー4社を徹底解説

ここからは、今回特に注目すべき4社のAI半導体ベンチャーを詳しく見ていきましょう。彼らがどのような技術を持ち、どのような戦略で市場に挑んでいるのかを具体的に解説します。

グロック(Groq):生成AIの水論処理に特化し、実証済みの高速性

グロックは2016年に設立されたスタートアップで、特にAIの「水論(推論)」処理に特化したチップを開発しています。水論とは、すでに学習済みのAIモデルを使って、実際に質問に答えたり、画像を生成したりする際に必要となる処理のことです。彼らが開発した「LPU(Language Processing Unit)」と呼ばれるチップは、従来のGPUを大幅に上回る処理能力を誇り、生成AIの応答速度を劇的に向上させることが期待されています。

グロックの特筆すべき点は、単に高性能なチップを開発しているだけでなく、その実力を具体的なデモンストレーションで示していることです。多くのAIチップベンチャーが性能を「口頭」で語る中で、グロックは自社のサーバーを立ち上げ、大規模言語モデルの処理速度がいかに高速であるかを実際に公開しています。これは、技術力に対する彼らの自信の表れであり、競合他社との大きな差別化ポイントとなっています。

また、グロックはチップを売るだけでなく、その計算能力をサービスとして提供する戦略も採っています。オープンな大規模言語モデル(Llamaなど)を自社チップを搭載したサーバーに乗せ、それをAIサービスとして提供することで、顧客は高性能なAI処理能力を柔軟に利用できるようになります。このアプローチにより、グロックは生成AIの水論市場において、確かなシェアを獲得する可能性を秘めていると言えるでしょう。

セレブラス(Cerebras):ウェファースケールチップで大規模AIモデルを高速学習

セレブラスは2015年に創業したアメリカの企業で、「ウェファースケールエンジン」と呼ばれる巨大なAIチップを開発していることで知られています。このチップは、一般的なチップの何十倍もの大きさを持ち、その巨大さゆえに非常に大規模なAIモデルのトレーニングを驚異的なスピードで実行できるという特徴があります。

技術的な観点から見ると、ウェファースケールチップは非常に興味深いアプローチです。チップを大きくすることで、より多くのトランジスタやメモリを搭載でき、計算能力を大幅に向上させることが可能です。しかし、チップを大きくすると製造上の欠陥(歩留まりの低下)が出やすくなるという大きな課題がありました。従来の常識では、欠陥が出たチップは廃棄されるため、巨大チップはコスト面で非現実的とされてきたのです。

セレブラスは、この課題に対し革新的な解決策を提示しています。彼らのチップは、多少の欠陥があっても、それをうまく回避して全体としての性能を発揮できるような設計が施されています。これは、AppleがiPhoneやMac用のチップで、一部のGPUコアに欠陥があっても製品として活用する(例えば、GPU 8個のうち7個が動くチップをローエンドモデルに搭載する)アプローチを発展させたものと言えるでしょう。この独自の設計思想により、セレブラスは巨大チップの可能性を最大限に引き出そうとしています。

一方で、ビジネス上の挑戦も抱えています。セレブラスは一時、上場を目指していましたが、売上の大半がたった一社(しかも投資家でもある企業)からのものであることが判明し、上場が延期されるという状況にあります。しかし、その技術的なインパクトは大きく、AIチップ業界の動向を占う上で注目すべき存在であることに変わりはありません。

テンストレント(Tenstorrent):ジム・ケラー率いるRISC-Vベースの汎用AIチップ

カナダ初のAI半導体スタートアップ、テンストレントは2016年に設立されました。AIアクセラレーターとRISC-Vプロセッサーの開発に注力しており、特にそのCEOを務めるジム・ケラー氏の存在が大きく注目されています。ジム・ケラー氏は、AMD、Apple、Teslaといった名だたる企業で数々の伝説的なチップ設計を手がけてきた、半導体業界の生ける伝説とも言えるエンジニアです。

ケラー氏のリーダーシップのもと、テンストレントはNVIDIAのGPUやグロックのようなAI専用計算機とは異なる、独自のアプローチを採用しています。彼らが選択したのは、「RISC-V」と呼ばれるオープンソースの命令セットアーキテクチャに基づいた汎用CPUコアを複数搭載したAIチップです。RISC-Vは、IntelやARMが独占してきたチップ市場に、新たなオープンな選択肢として台頭してきています。

ケラー氏の設計哲学は、チップの内部にあるソフトウェアとハードウェアが密接に連携し、効率的なデータ処理を可能にする点にあります。彼は、単に高速なパイプラインや分岐予測に頼るだけでなく、コンパイラではできないレベルの最適化をチップ内部の構造で行うことで、汎用CPUでありながらAI計算においても高い性能を発揮させることを目指しています。

テンストレントは、日本の新しい半導体製造ベンチャー(Rapidusなど)との連携も報じられており、そこでケラー氏が設計した新しいチップの試作製造が行われる可能性があります。これは、日本の半導体産業にとっても大きな注目点であり、テンストレントの汎用AIチップがどのような実績を出すのか、今後の動向が非常に楽しみです。

フィリオスAI(Rebellions/FuriosaAI):高電力効率AI推論チップで大手に対抗

フィリオスAIは、2017年に設立された韓国初のAI半導体スタートアップです。彼らの最大の特徴は、高性能でありながら「電力効率」に優れたAI推論チップを開発している点にあります。最新のチップである「RNGD(Renegade)」は、TSMCの5nmプロセスを採用し、非常に高い電力効率と処理能力を両立させています。

フィリオスAIの戦略は、まさにこの電力効率の高さにあります。AIモデルの運用コストにおいて、消費電力は無視できない要素です。同じ計算能力を持つサーバーを構築する際、フィリオスAIのチップを使えば、より少ない電力で運用できるため、総コストを大幅に削減できるというメリットを顧客に提供します。これは、特に大規模なAIサービスを提供する企業にとっては非常に魅力的な提案となるでしょう。

実際、フィリオスAIはFacebookを運営するMetaから買収交渉を受けていたことが報じられています。Metaは自社で大量のAI推論処理を行う必要があり、NVIDIAのGPUに多額のコストを支払っています。フィリオスAIの電力効率の良いチップを手に入れることで、NVIDIAへの依存を減らし、運用コストを大幅に削減できるという目論見がありました。買収額は一時、約1300億円規模にまで達したとされていますが、最終的にはビジネスモデルに関する意見の相違から、フィリオスAI側が買収を断ったとされています。

この出来事は、フィリオスAIが単なる「コスト削減ツール」としてではなく、チップのライセンス供与やAIサービス提供を通じて、独立した企業としてAIチップ市場で存在感を示したいという強い意志を持っていることを示しています。韓国からこのような革新的なAIチップベンチャーが登場したことは、アジア地域の技術力の高さを示す好例と言えるでしょう。

AI半導体ベンチャーが切り開く未来

今回ご紹介したグロック、セレブラス、テンストレント、フィリオスAIの4社は、それぞれがユニークな技術と戦略を持ち、AI半導体業界に新たな風を吹き込んでいます。孫正義氏が描く人工超知能(ASI)の未来のように、生成AIの急速な進化は、あらゆる産業に変革をもたらし、それに伴い高性能かつ多様なAIチップの需要は拡大の一途をたどるでしょう。NVIDIAが依然として強力なリーダーであることに変わりはありませんが、これらのベンチャー企業が提案する新しいアプローチは、AIエコシステムにおける選択肢を広げ、より健全な競争とイノベーションを促進する可能性を秘めています。

特定の領域に特化したり、電力効率を追求したり、あるいは全く新しいアーキテクチャを採用したりと、各社の独自性がAIの未来を形作る重要な要素となることは間違いありません。今後数年の間に、これらの企業の中から「次のNVIDIA」と称されるような企業が誕生するのか、あるいはNVIDIAとの共存共栄の道を選ぶのか、その動向から目が離せません。私たちは、AI半導体ベンチャーが切り開く、より高性能で効率的、そして持続可能なAIの未来に大いに期待できるでしょう。

まとめ

AI技術の進化とともに、その根幹を支えるAI半導体の重要性は増すばかりです。NVIDIAが現在の市場を牽引する中、今回ご紹介したグロック、セレブラス、テンストレント、そしてフィリオスAIといった革新的なAI半導体ベンチャーが「次のNVIDIA」の座を虎視眈々と狙っています。

グロックは生成AIの水論処理で圧倒的な高速性を実証し、セレブラスは巨大なウェファースケールチップで大規模AIトレーニングの限界を押し広げようとしています。ジム・ケラー氏率いるテンストレントは、RISC-Vベースの汎用AIチップで新たな道を切り開き、フィリオスAIは高い電力効率でAI推論コストの削減に貢献しています。

これらの企業が持つ独自技術と戦略は、AI半導体市場に多様性と競争をもたらし、NVIDIA一強の時代から多極化へと向かう可能性を秘めています。各社の今後の動向は、AI業界全体の進化を左右する重要な指標となるでしょう。AIチップの未来に、ぜひ注目していきましょう。

【免責事項】
この記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の企業への投資を推奨するものではありません。記載されている内容は、公開情報に基づいて作成されていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。各企業の将来性や市場動向は、様々な要因により変動する可能性があります。投資判断を行う際は、ご自身の責任と判断において行ってください。

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