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強い組織を作る経営企画の採用条件:Excel屋では不十分?SQLとマスタ設計で変わる実務の現実

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強い組織を作る経営企画の採用条件:Excel屋では不十分?SQLとマスタ設計で変わる実務の現実

経営企画という職種は、企業の未来を左右する重要なポジションです。しかし、「強い組織を作る経営企画の採用条件」を明確に言語化できている企業は意外と少ないのではないでしょうか。「なんとなく数字に強くて、経営者の考えを理解できる人」といった曖昧なイメージで採用を進めてしまうと、後々ミスマッチに苦しむことになりかねません。特に、単にExcelスキルが高いだけの「Excel屋」では、現代の複雑な経営環境において真に貢献できる経営企画にはなり得ません。

本記事では、経営企画に本当に求める採用条件を、実務目線で徹底的に深掘りしていきます。特に、多くの企業で見過ごされがちな「SQL」と「マスタ設計」のスキルに焦点を当て、それらがなぜ経営企画にとって不可欠な要素となりつつあるのかを具体的に解説します。単なるスキルセットの羅列ではなく、それぞれのスキルが経営企画のどのような役割に貢献し、どのように強い組織づくりに寄与するのかを明確に示します。

この情報を通じて、あなたの会社が本当に求める経営企画人材像を具体的に描き、求人票や社内説明にそのまま活用できるような実用的なガイドを提供することを目指します。経営企画の採用に頭を悩ませている採用担当者様、経営者様、そしてこれから経営企画を目指す方々にとって、本記事が確かな指針となることを願っています。

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  1. 経営企画の採用条件を再定義:なぜ「Excel屋」だけではダメなのか
  2. 0. 経営企画に求められる真の役割:戦略と数字をつなぐ「通訳者」
    1. 戦略を「考える」より数字を“正しく作り、説明できる”ことの重要性
    2. 経営・現場・経理・ITの「通訳役」としての役割
    3. KPI・予算・実績の整合性を守る「番人」としての責務
  3. 1. 強い組織を作る経営企画の「必須条件」:これなくしては成り立たない基礎力
    1. ① 会計・数字理解(経営企画の土台を築く最重要スキル)
    2. ② 予算・予実管理の実務経験(数字を未来につなぐ実践力)
    3. ③ Excel / スプレッドシート実務力(データ活用の基本ツール)
  4. 2. 強い組織を作るための「歓迎条件①」:SQLスキル(データを取り出す「自律性」)
    1. 位置づけ:必須ではないが、できると強い理由
    2. 求めるレベル:「自分で確認できる」ための実用性
    3. 「おかしい数字」をSQLで裏取りできる
  5. 3. 強い組織を作るための「歓迎条件②」:マスタ設計・運用理解(数字を「壊さない」規律)
    1. 位置づけ:上場準備フェーズでは実質必須。KPI・予算が壊れるかどうかを左右するスキル
    2. 求める理解レベル:「数字が壊れない設計思想」
  6. 4. 強い組織を作る経営企画に不可欠な「コミュニケーション・スタンス」(数字をつなぎ、人を動かす力)
    1. 経営者の曖昧な指示を数字に翻訳できる
    2. 現場に「なぜこの数字が必要か」を説明できる
    3. 経理・ITと衝突せず、論点整理ができる
    4. 強い主張より、整合性を守る姿勢
  7. 5. フェーズ別で見る経営企画の採用条件:組織の成長段階に応じた重点スキル
    1. 中小企業フェーズで求められる経営企画
    2. 上場準備フェーズで求められる経営企画
    3. 上場企業フェーズで求められる経営企画
  8. 6. 強い組織を作る経営企画の採用条件:求人票・社内説明に使える「まとめ文」
  9. 7. 経営企画の採用における「本音」:数字のインフラを管理するプロフェッショナル
    1. SQLは「確認手段」
    2. マスタ設計は「数字の命綱」
    3. 経営企画は「戦略職」ではなく、数字の「インフラ管理職」
  10. まとめ
  11. 免責事項

経営企画の採用条件を再定義:なぜ「Excel屋」だけではダメなのか

現代のビジネス環境は、データ駆動型経営へのシフトが急速に進んでいます。企業を取り巻く情報は膨大になり、その分析と活用が競争優位性を確立する上で不可欠です。このような時代において、経営企画の役割もまた進化を遂げています。もはや、経営企画は単に経営者の指示を受けて資料を作成する「Excel屋」であってはなりません。それでは、なぜ従来の「Excel屋」では不十分なのでしょうか。

第一に、データの量と複雑性が飛躍的に増大している点が挙げられます。従来のExcelベースでのデータ処理は、特定の部門や小規模なデータセットには対応できても、全社規模の膨大なデータや異なるシステムから来るデータを統合し、多角的に分析するには限界があります。Excelではデータソースの信頼性を確保することが難しく、手作業での集計や加工はヒューマンエラーのリスクを常に伴います。これにより、経営判断の根拠となる数字の正確性が揺らぎ、誤った意思決定につながる可能性が高まります。

第二に、意思決定のスピードが求められる現代において、IT部門やデータエンジニアへの依存度が高い状態はビジネスチャンスの喪失につながります。経営企画がデータに関する一次調査や仮説検証を自ら行えず、常に他部署の協力が不可欠となると、情報収集から分析、報告までのリードタイムが長くなります。この時間的ロスは、刻々と変化する市場環境への迅速な対応を妨げる要因となるのです。

第三に、「Excel屋」としての業務では、データの「構造」や「整合性」に対する深い理解が育ちにくいという問題があります。Excelシート上の数字が何を意味し、どのような背景で生成されているのか、その源流を遡って確認する能力がなければ、表面的な分析に終始してしまいます。特に、データの整合性が崩れた場合に、それが経営指標や予算に与える影響を正確に把握し、根本的な解決策を提案することは不可能です。

このような背景から、経営企画には単なるExcelスキルを超えた、より高度なデータリテラシーが求められるようになっています。すなわち、自らデータベースから必要なデータを抽出し(SQL)、そのデータの根幹を支える「マスタ」の重要性を理解し、数字の整合性を保つことができる人材が、強い組織を築くための経営企画には不可欠なのです。本記事では、この新たな経営企画像を具体的に描き出し、採用のヒントを提供します。

0. 経営企画に求められる真の役割:戦略と数字をつなぐ「通訳者」

経営企画の役割は、単に経営戦略を策定したり、数字を集計・報告したりすることに留まりません。むしろ、組織全体を見渡し、各部門と経営層の橋渡し役となり、数字を通じて企業の現状を正確に把握し、未来の方向性を示す「通訳者」としての役割が強く求められます。この前提を理解することが、適切な人材採用の第一歩となります。

戦略を「考える」より数字を“正しく作り、説明できる”ことの重要性

経営企画と聞くと、華々しい戦略策定のイメージを抱くかもしれません。しかし、実務において最も重要なのは、むしろ戦略の基盤となる「数字を正しく作り、それを論理的に説明できる」能力です。どんなに優れた戦略も、それを裏付ける正確な数字がなければ絵に描いた餅に過ぎません。ここでいう「正しく作る」とは、単に計算ミスがないという意味だけではありません。

  • データの信頼性確保: 複数のデータソースから情報を収集する際、そのデータが最新かつ正確であるか、整合性が保たれているかを常に検証する姿勢が求められます。データが持つ特性や限界を理解し、不確かな情報に基づいた分析を避けることが重要です。
  • 構造的な理解と表現: 売上、原価、固定費、利益といった基本的な会計概念はもちろん、それらの数字がどのように連動し、会社の財務状況や業績に影響を与えるのかを構造的に理解している必要があります。その上で、複雑な数字の羅列を、経営者が理解しやすい簡潔なストーリーとして説明する能力が不可欠です。
  • 予実差異の深掘り: 予算と実績に乖離が生じた際、単に「未達でした」と報告するだけでなく、「なぜ乖離が生じたのか」「その要因は何か」「今後どう対策すべきか」を数字に基づいて具体的に説明できることが求められます。そのためには、事業活動の深い理解と、現場へのヒアリング能力も欠かせません。
  • 経営・現場・経理・ITの「通訳役」としての役割

    経営企画は、組織内の多様なステークホルダーと日々接する中で、それぞれの視点や専門性を理解し、情報を橋渡しする「通訳役」としての機能を果たします。

  • 経営層に対して: 経営層が描く抽象的なビジョンや戦略を、具体的なKPIや予算、アクションプランへと落とし込み、数字を通じて現状と目標達成への道筋を明確に示します。同時に、現場の状況や課題を正確に経営層に伝え、適切な意思決定を支援します。
  • 現場に対して: 現場の活動がどのように会社の業績に貢献しているのか、なぜ特定の数字やデータが必要なのかを分かりやすく説明し、協力を促します。現場の負担を最小限に抑えつつ、必要な情報を効率的に収集するための仕組みを構築することも、この役割の一環です。
  • 経理部門に対して: 経理部門が作成する財務諸表や決算情報を、経営企画の視点から事業運営に即した形で解釈し、経営層や現場に伝わるよう加工します。また、事業部門からのデータが経理処理にどのように影響するかを理解し、経理との連携を円滑にします。
  • IT部門に対して: 経営に必要なデータを効率的に収集・分析するためのシステム要件を定義し、IT部門と連携してデータ基盤の整備を進めます。データベースの構造やデータの流れを理解することで、IT部門とのスムーズなコミュニケーションが可能となり、データ活用のスピードを向上させます。
  • KPI・予算・実績の整合性を守る「番人」としての責務

    経営企画は、組織全体のKPI(重要業績評価指標)、予算、そして実績値が常に整合性を保っているかを監視し、その整合性が崩れないように守る「番人」としての役割を担います。

  • 一貫性の確保: 異なる部門で使われるデータや指標が、全体として一貫性を持っていることを確認します。例えば、営業部門の売上目標と経理部門の売上計上、経営企画が追うKPIとしての売上実績が、同じ定義と基準で測定されているかを常にチェックします。
  • 変更管理と影響分析: KPIの定義変更、予算の修正、実績計上ルールの変更などがあった場合、それが組織全体の数字にどのような影響を与えるかを事前に分析し、関係部署に周知徹底します。特に、マスタデータ(部門コード、商品コードなど)の変更は、過去のデータとの比較可能性を損なう可能性があるため、慎重な管理が必要です。
  • アラートと是正: 整合性が崩れている箇所を発見した場合、その原因を特定し、関係部署と連携して迅速に是正措置を講じます。単に数字のズレを指摘するだけでなく、根本的な問題解決に向けた提言を行うことも番人としての重要な役割です。
  • 経営企画は、これらの多岐にわたる役割を通じて、組織全体のデータガバナンスを強化し、経営判断の質を高めることで、強い組織づくりに不可欠な存在となります。

    1. 強い組織を作る経営企画の「必須条件」:これなくしては成り立たない基礎力

    ここからは、経営企画がその役割を果たす上で、絶対に欠かせない基礎的なスキルと経験について深掘りします。これらは、組織の規模やフェーズに関わらず、すべての経営企画担当者に求められる「必須条件」であり、これらがなければ経営企画として機能することは極めて困難です。

    ① 会計・数字理解(経営企画の土台を築く最重要スキル)

    経営企画が扱う情報は、最終的にすべて「数字」に集約されます。そのため、数字の最も基本的な言語である「会計」を深く理解していることは、この職種にとっての生命線と言えるでしょう。

  • PL / BS / CF の基本構造を理解する:
  • * 損益計算書(PL:Profit and Loss Statement):一定期間の会社の収益と費用、そして最終的な利益を示すものです。売上高から各費用を差し引いていく構造を理解し、利益の種類(売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益)がそれぞれ何を意味するのかを把握している必要があります。例えば、売上総利益が伸びていても、販管費の増加で営業利益が減少しているといった状況を読み解き、どこに課題があるのかを分析する能力が求められます。
    * 貸借対照表(BS:Balance Sheet):特定時点での会社の資産、負債、純資産の状態を示すものです。資産の部、負債の部、純資産の部の関連性、そしてそれぞれの項目が会社の財政状態をどのように表しているのかを理解することが重要ですし、投資で成功するための必須知識!初心者でもわかる財務指標の基本【ROE, ROA, PER, PBR】なども合わせて学習するとより理解が深まるでしょう。自己資本比率や流動比率といった指標から、会社の安全性を評価できるレベルが理想です。
    * キャッシュフロー計算書(CF:Cash Flow Statement):一定期間の現金の増減を示すものです。営業活動、投資活動、財務活動の3つの区分がそれぞれどのような現金の動きを表しているかを理解し、損益計算書では黒字でも現金が減っている「黒字倒産」のリスクなどを察知できる必要があります。
    これらの財務三表は、企業の健康状態を総合的に判断するための羅針盤であり、それぞれの数字がなぜそこにあり、他の数字とどう関連しているのかを説明できるレベルが求められます。

  • 売上・原価・固定費の違いを説明できる:
  • * これらの基本的な概念を単に知っているだけでなく、それぞれの数字が企業の収益構造にどのように影響するかを説明できることが重要ですし、クリニック経営CVP分析ツールで損益分岐点を見える化!のようなツールを使いこなせるとより実践的です。
    * 売上: 商品やサービスの販売によって得られる収益の総額。
    * 原価: 売上を得るために直接かかった費用。製造業であれば材料費や労務費、サービス業であれば仕入れコストなどが該当します。売上に比例して変動する「変動費」の代表例です。
    * 固定費: 売上の増減に関わらず、一定期間発生する費用。家賃、人件費(固定給部分)、減価償却費などが該当します。
    これらの費用構造を理解することで、損益分岐点分析や、売上増減が利益に与えるインパクトを正確に予測できるようになります。例えば、固定費比率が高いビジネスモデルでは、売上減少が急激な利益悪化につながるリスクを説明できる必要があります。

  • 予実差異を「要因」で語れる:
  • * 予算と実績に差異が生じた際、「目標未達でした」といった報告では意味がありません。経営企画には、その差異が「なぜ生じたのか」を具体的な要因に分解して説明する能力が求められます。
    * 例えば、売上が予算未達だった場合、それが「販売数量の未達」によるものか、「単価の未達」によるものか、あるいは「商品構成の変化」によるものかを切り分けて分析します。さらに、その背後にある顧客行動の変化、競合状況、営業戦略の失敗、季節要因などを現場へのヒアリングや追加のデータ分析を通じて特定し、具体的に言語化する力が不可欠です。この能力がなければ、真の課題解決には至りません。

    ※ 資格より「実務理解」が重要であり、簿記2級レベルの理解は前提となります。単なる知識としてではなく、実際の企業活動の中で数字がどのように動いているかを肌で感じ、理解している経験が何よりも価値を持ちます。

    ② 予算・予実管理の実務経験(数字を未来につなぐ実践力)

    経営企画にとって、会社の未来を描く上で最も重要なツールのひとつが「予算」であり、その進捗を管理する「予実管理」です。この一連のプロセスを実務で経験していることは必須条件となります。

  • 年度予算 or 月次予測を作った経験:
  • * 単に数字を入力するだけでなく、予算策定のプロセス全体を理解し、主体的に関わった経験が求められます。
    * 具体的には、経営目標から逆算して各部門に予算を配賦する作業、部門からの予算申請をレビューし、調整する交渉、そして最終的な予算を数値計画としてまとめる経験です。
    * このプロセスでは、事業計画、市場環境、過去の実績、各部門の戦略などを総合的に考慮し、実現可能性の高い予算を策定する論理的思考力が試されます。また、中小企業向け効果的な-予算策定方法-とその実践方法のような記事で学べる実践的な知識も役立つでしょう。単発の予算作成だけでなく、継続的な予測(フォーキャスト)サイクルを回した経験があれば、より実践的なスキルと見なされます。

  • 実績との差異分析を自分でやったことがある:
  • * 予算策定と同じくらい重要なのが、策定した予算と実際の実績との差異を分析する経験です。
    * この分析は、単に差異を算出するだけでなく、その原因を深掘りし、次月の予測や次年度の予算策定に活かすためのものです。
    * 例えば、売上や費用が予算と大きく乖離した場合、それが市場環境の変化によるものか、営業活動の進捗状況によるものか、あるいはコスト構造の変化によるものかを、自らデータを収集・分析して特定する能力が求められます。この「自分でやった」経験があることで、課題発見から解決策の検討までの一連の思考プロセスが身についていると判断できます。

  • 「数字がズレた時に、誰に何を聞くか」が分かる:
  • * 予実管理において、数字が計画通りに進まないことは日常茶飯事です。その際に、パニックになるのではなく、冷静に原因を探り、必要な情報を的確に収集できる能力が求められます。
    * 具体的には、財務データだけでなく、営業、マーケティング、生産、人事など、関係する各部門の担当者に対して、どの数字がどうズレているのかを具体的に示し、その背景にある事実や状況について、どのような質問をすれば本質的な情報を引き出せるかを理解している必要があります。
    * この能力は、単なる知識ではなく、組織内の人間関係や情報フローを理解した上で、問題解決に向けて動ける実践的なコミュニケーション能力と問題解決能力の証です。

    ③ Excel / スプレッドシート実務力(データ活用の基本ツール)

    経営企画の業務において、Excelやスプレッドシートは日常的に使用する基本的なツールです。しかし、求められるのは単なる操作スキルではなく、データを効率的かつ正確に処理・分析し、経営判断に資する情報へと加工する実務力です。

  • 集計・加工・チェックを自走できる:
  • * データの前処理は、分析の質を大きく左右します。経営企画には、異なるシステムから抽出された生データを、必要な形に集計・加工し、さらにそのデータに誤りや矛盾がないかをチェックする一連の作業を、他者の手を借りずに自ら完結できる能力が求められます。
    * 例えば、複数の事業部から上がってきた売上データを統合し、部門別、商品別、地域別に集計する、あるいは、特定の期間のデータを抽出してトレンド分析を行う、といった作業を効率的に進められることが重要ですし、【Excelの掟10の絶対ルール】経理の初心者から上級者まで押さえておきたいなども参考にすると良いでしょう。また、データの信頼性を確保するため、入力ミスや欠損値がないか、定義と異なるデータが混入していないかなどを厳しくチェックする注意力も不可欠です。

  • ピボット・基本関数が使える:
  • * これらの機能は、大量のデータを扱う経営企画にとって必須のツールです。
    * ピボットテーブル: 複雑な集計やクロス分析を効率的に行うための機能です。例えば、月別の売上データを、顧客セグメント別、商品カテゴリ別、営業担当者別など、様々な切り口で瞬時に集計し、傾向を把握できる能力が求められます。これにより、多角的な視点から事業課題を発見し、戦略立案に貢献できます。
    * 基本関数: SUMIF, COUNTIF, AVERAGEIF, VLOOKUP, HLOOKUP, INDEX/MATCH, IFERROR, SUMPRODUCT, TEXT, DATEなど、頻繁に利用される関数を使いこなせる必要があります。これらの関数を組み合わせることで、データの抽出、条件付き集計、異なるシート間のデータ連携、日付データの加工など、様々なデータ処理を自動化・効率化できます。特にVLOOKUPやINDEX/MATCHは、マスタデータとの連携や、複数のデータソースを統合する際に不可欠なスキルです。

  • 既存フォーマットを改善した経験:
  • * 現状の業務フローや使用しているExcelシートに満足せず、より効率的で、より正確性の高いフォーマットやプロセスを自ら企画・改善した経験があることは、非常に高く評価されます。
    * 例えば、「手作業で時間がかかっていた集計作業を関数やマクロで自動化した」「複数のシートに分散していた情報を一つのダッシュボードに集約し、可視化を向上させた」「データの入力規則を設定し、入力ミスを減らした」といった経験です。このようなExcel VBAを活用した業務改善の実録は、業務効率化への強い意欲と実践力を示すものとなります。
    * この経験は、単なるPCスキルだけでなく、課題発見能力、問題解決能力、そして業務改善への意欲と主体性を示します。経営企画は現状維持ではなく、常に最適化を目指す姿勢が求められるため、このような改善志向は極めて重要な要素です。

    2. 強い組織を作るための「歓迎条件①」:SQLスキル(データを取り出す「自律性」)

    Excelスキルが基礎である一方、現代の経営企画においてデータ活用の幅と深さを格段に高めるのがSQLスキルです。これは「必須」ではないものの、取得していれば組織にとって非常に強力な武器となり得ます。

    位置づけ:必須ではないが、できると強い理由

    多くの企業では、経営に必要なデータは複数のシステム(会計システム、CRM、SFA、基幹システムなど)に分散して格納されています。これらのデータは通常、リレーショナルデータベース(RDB)と呼ばれる形式で管理されており、そこから特定の情報を効率的に引き出すための言語がSQL(Structured Query Language)です。

    経営企画担当者がSQLを扱えるようになると、IT部門やデータエンジニアに依頼せずとも、自ら必要なデータをデータベースから直接抽出・加工できるようになります。これは、情報取得のスピードを格段に向上させ、意思決定の迅速化に直結します。
    例えば、「来期の新商品開発に向けて、過去5年間の顧客属性別売上データを詳細に分析したい」「特定のキャンペーンを実施した顧客群のLTV(顧客生涯価値)を独自に算出したい」といった要望が出た際、SQLスキルがあれば、他部署の納期を待つことなく、自ら一次データを抽出し、仮説検証のサイクルを高速で回すことが可能になります。

    このような自律性は、特にデータドリブン経営を推進する企業や、ITリソースが限られている企業にとって計り知れない価値をもたらします。IT部門はシステム運用や基盤構築といった本来の業務に集中でき、経営企画はより深く、よりタイムリーな分析を通じて経営貢献度を高めることができるのです。

    求めるレベル:「自分で確認できる」ための実用性

    経営企画に求められるSQLスキルは、データベースの設計や複雑なパフォーマンスチューニングを行うような、専門のデータベースエンジニアレベルではありません。あくまで「自分で必要な情報をデータベースから確認・抽出できる」という実用的なレベルです。具体的には、以下のコマンドや概念を理解し、使いこなせる能力を指します。

  • SELECT: データベースから情報を選択し、表示するための基本的なコマンドです。特定の列(カラム)や行(レコード)だけを抽出することができます。
  • FROM: どのテーブルからデータを取得するかを指定します。
  • WHERE: 特定の条件に合致するデータのみを抽出します。例えば、「売上が100万円以上のデータ」や「特定の日付範囲のデータ」といった形で絞り込みが可能です。
  • JOIN: 複数のテーブルを結合して、関連する情報を一度に取得するためのコマンドです。例えば、顧客情報が格納されたテーブルと、その顧客の購入履歴が格納されたテーブルを結合することで、「どの顧客が、いつ、何を、いくらで購入したか」といった複合的な情報を得ることができます。INNER JOIN, LEFT JOINといった主要な結合方法を理解していると非常に役立ちます。
  • GROUP BY: 特定の列の値に基づいてデータをグループ化し、集計関数(SUM, COUNT, AVG, MAX, MINなど)と組み合わせて使用することで、グループごとの合計値や平均値などを算出します。例えば、「部門ごとの月間売上合計」や「商品カテゴリごとの平均単価」などを効率的に集計できます。
  • ORDER BY: 抽出したデータを特定の列の値に基づいて昇順または降順に並べ替えます。
  • 条件抽出・集計ができる: 上記のコマンドを組み合わせることで、例えば「2023年度のA事業部における、特定の製品カテゴリの月別売上合計を、売上高が高い順に並べて表示する」といった、経営判断に必要な具体的な集計・分析を自ら実行できる能力です。
  • 「おかしい数字」をSQLで裏取りできる

    経営企画の業務では、各部門から上がってくる報告データや、既存のレポートの中に「おかしい数字」や「想定と異なる数字」を発見することがあります。この際に、SQLスキルがあれば、自らデータベースにアクセスし、その数字の源流となる生データを確認したり、計算過程を検証したりすることで、情報の正確性を裏取りできます。

    例えば、「今月のA製品の売上が急激に伸びているが、過去のトレンドと乖離がある」といった場合に、SQLを使ってA製品の過去数ヶ月間の詳細な販売データを抽出し、個々の取引データや関連するキャンペーン情報などと照合することで、その増加が一時的なものなのか、恒常的な変化なのか、あるいはデータの誤りなのかを迅速に判断できるようになります。
    このように、データの信憑性を自らの手で確認し、問題の根本原因を特定できる能力は、経営企画としての信頼性を高め、より質の高い意思決定支援につながるため、非常に重要なスキルと言えるでしょう。

    3. 強い組織を作るための「歓迎条件②」:マスタ設計・運用理解(数字を「壊さない」規律)

    SQLスキルが「データを取り出す力」であるならば、「マスタ設計・運用理解」は「数字を壊さない力」、すなわちデータの信頼性と整合性を根本から支える力です。特に、組織が成長し、上場を目指すフェーズにおいては、このスキルは実質的に必須となります。

    位置づけ:上場準備フェーズでは実質必須。KPI・予算が壊れるかどうかを左右するスキル

    マスタデータとは、企業活動の基盤となる基本的なデータ群のことです。例えば、顧客マスタ、商品マスタ、部門マスタ、勘定科目マスタなど、事業運営に不可欠な「定義情報」を指します。これらのマスタデータが適切に設計・運用されていなければ、どのような問題が生じるでしょうか。

  • データの信頼性喪失: 例えば、部門マスタに同じ部門が複数の異なる名称やコードで登録されていた場合、部門別の売上を集計しようとしても正確な数字が得られません。同様に、商品マスタの定義が曖昧であれば、商品の分類や集計が困難になります。
  • KPI・予算の崩壊: マスタデータの不備は、そのままKPIや予算の定義にも影響を及ぼします。部門コードがバラバラであれば、各部門に設定されたKPIの進捗を正確に計測できませんし、予算実績の比較も意味をなさなくなります。結果として、経営層が正しい意思決定を下すための情報基盤が根底から揺らいでしまいます。
  • 上場審査での指摘: 上場準備においては、内部統制の構築が極めて重要です。データの信頼性は内部統制の根幹をなすものであり、マスタ管理体制の不備は上場審査で厳しく指摘される可能性が高いです。適切なマスタ設計と運用は、財務報告の正確性を保証し、ガバナンスを強化するために不可欠なのです。
  • このように、マスタ設計・運用への理解は、単にIT担当者だけの仕事ではなく、経営企画として「数字の命綱」とも言えるデータの整合性を守るための、極めて重要なスキルセットなのです。より詳しく知りたい方は、企業の基幹を蝕む「マスターデータ管理」の闇も参考にしてください。

    求める理解レベル:「数字が壊れない設計思想」

    経営企画に求められるのは、データベース設計者のように複雑なテーブル設計やインデックスチューニングができるレベルではありません。あくまで、「数字が壊れない」ためのマスタの重要性と、その設計・運用における基本的な考え方を理解していることです。

  • 部門/プロジェクト/勘定科目などのマスタ構造理解:
  • * なぜこれらの情報が「マスタ」として独立して管理される必要があるのかを理解していることが重要です。マスタデータは、トランザクションデータ(日々の取引データなど)と切り離して管理することで、データの一貫性や整合性を保ちやすくなります。
    * 例えば、複数のシステムで共通して使用される部門コードや勘定科目コードは、それぞれが一意であり、かつその定義が組織全体で統一されている必要があります。異なるシステム間でコードが異なっていたり、定義が揺らいでいたりすると、システム連携や全社集計が困難になります。
    * これらのマスタが、他のどのようなデータ(例えば、売上データや経費データ)とどのように紐付いているか、その関連性を構造的に理解していることが求められます。

  • コードと名称は分けて考える:
  • * マスタデータを作成する際、内部で処理される「コード」(例:A001)と、人間が認識する「名称」(例:営業第一部)を明確に分けて管理することの重要性を理解している必要があります。
    * 名称は変更される可能性がありますが、コードは原則として不変であるべきです。例えば、「営業第一部」が「ソリューション営業部」に名称変更された場合でも、コードが同一であれば過去のデータとの連続性を保てます。もしコードも変更してしまうと、過去の「営業第一部」のデータと新しい「ソリューション営業部」のデータを比較する際に、混乱や誤りが生じやすくなります。
    * この考え方を理解していれば、データ変更が数字に与える影響を事前に考慮し、適切に対応できます。

  • マスタ変更が数字に与える影響を説明できる:
  • * 新たな部門の設置、既存部門の統廃合、新しいプロジェクトの開始、勘定科目の追加や変更など、マスタデータの変更は日常的に発生します。
    * 経営企画は、これらの変更が過去のデータの集計、KPIの算出、予算の比較などにどのような影響を与えるかを予測し、関係部署に説明できる能力が求められます。
    * 例えば、「新しい部門コードを追加すると、過去の売上データを部門別で比較する際に注意が必要になる」「勘定科目の名称変更が、予実差異分析に与える影響は限定的だが、経理処理には影響が出る」といった具体的な影響を説明し、必要な対応策(例:移行期間のデータ変換ルール設定、旧データとの連携方法)を提案できるレベルです。

  • 有効期間・論理削除の考え方を理解している:
  • * マスタデータは、永続的に存在するとは限りません。ある時点から適用されなく
    なったり、廃止されたりすることもあります。
    * 有効期間: マスタデータが「いつからいつまで有効か」を管理する考え方です。これにより、過去のある時点のデータは古いマスタ定義に基づき、現在以降のデータは新しいマスタ定義に基づいて処理できるようになり、時間軸におけるデータの整合性を保てます。例えば、組織改編があった場合でも、改編前の月次実績は旧部門マスタに基づいて集計され、改編後の実績は新部門マスタに基づいて集計されるように設計できます。
    * 論理削除: 実際のデータをデータベースから物理的に削除するのではなく、「削除フラグ」のような情報を持たせることで、論理的に利用停止状態にする考え方です。これにより、データは残っているため過去の集計や分析には引き続き利用できますが、新規のデータ入力やアクティブな業務からは除外されます。誤って削除してしまった際の復元が容易であるというメリットもあります。
    これらの考え方を理解していれば、データ管理の規律を保ち、将来にわたってデータの信頼性を維持するための運用を企画・推進することができます。

    4. 強い組織を作る経営企画に不可欠な「コミュニケーション・スタンス」(数字をつなぎ、人を動かす力)

    経営企画の仕事は、数字と向き合うだけでなく、多様なステークホルダーと円滑なコミュニケーションを取り、組織全体を動かすことにあります。そのため、高度なコミュニケーション能力と、特定のスタンスが不可欠です。これは「意外と重要」どころか、業務の成否を分ける決定的な要素と言えるでしょう。

    経営者の曖昧な指示を数字に翻訳できる

    経営者の指示は、往々にして抽象的であったり、断片的であったりするものです。「もっと売上を伸ばしたい」「効率化を進めたい」「新しい市場を開拓したい」といった漠然としたビジョンを、具体的な目標設定、KPI、予算計画、アクションプランへと落とし込み、数字に翻訳する能力が経営企画には求められます。

    この能力には、まず経営者の真意を深く理解するためのヒアリング力、そしてその曖昧な情報を論理的に分解し、具体的な要素に変換する思考力が含まれます。例えば、「売上を伸ばしたい」という指示に対して、「どのセグメントの、どの商品を、どの地域で、どれくらいの期間で、どれくらいの金額伸ばすのか。そのためにはどのような投資が必要で、どれくらいの利益が見込めるのか」といった具体的な質問を投げかけ、必要な数字と情報を引き出していく過程です。最終的には、経営者のビジョンを数値目標として明確化し、達成状況を追跡可能な形にすることが、経営企画の重要な役割となります。

    現場に「なぜこの数字が必要か」を説明できる

    経営企画は、経営層の要求に応じて現場からデータ収集や報告を求めることが多々あります。その際、単に「データを出してください」と一方的に指示するだけでは、現場の反発を招いたり、質の低い情報しか得られなかったりする可能性があります。

    経営企画には、なぜその数字が必要なのか、そのデータが経営判断にどのように活用され、最終的に会社の成長や現場の利益にどう貢献するのかを、現場の目線に合わせて分かりやすく説明できる力が求められます。例えば、「この営業報告データは、単に個人の成績を測るだけでなく、どの顧客層にどのような商品が響いているのかを分析し、より効果的な営業戦略を立てるために不可欠です。その結果、皆さんの営業活動がより効率的になり、成果にもつながります」といった形で、現場の納得と協力を引き出す説得力が必要です。この共感を引き出すコミュニケーションが、正確でタイムリーな情報収集の鍵となります。

    経理・ITと衝突せず、論点整理ができる

    経営企画は、経理部門やIT部門と密接に連携します。それぞれの部門は異なる専門性、異なる業務プロセス、異なる優先順位を持っています。例えば、経理は会計基準や税法に則った正確な計上を重視し、ITはシステムの安定性やセキュリティ、開発効率を重視する傾向があります。

    経営企画が、「このデータがすぐに欲しい」「こんな分析ツールを導入したい」といった要望を一方的に突きつけるだけでは、必ず衝突が生じます。重要なのは、各部門の立場や制約を理解した上で、自社の目的を伝え、共通の目標達成に向けて建設的な議論を重ねることです。

    具体的には、問題が発生した際に感情的になることなく、客観的な事実に基づいて論点を整理し、「何が問題で、どうすれば解決できるのか」「それぞれの部門の役割分担はどこか」を明確に提示できる能力が求められます。調整役として、異なる意見の間に立って最適解を導き出し、全体の合意形成を促すファシリテーション能力も不可欠です。

    強い主張より、整合性を守る姿勢

    経営企画は、特定の部門の利益や、特定の個人の意見を強く主張する立場ではありません。むしろ、組織全体の数字、戦略、目標といった要素が、常に一貫性と整合性を保っているかを監視し、そのバランスを守る「番人」としての役割を担います。

    そのため、自分の意見を声高に主張するよりも、客観的なデータと事実に基づいて現状を分析し、整合性が崩れている点があればそれを指摘し、是正を促す姿勢が重要ですし、上司から信用を失うような行動は避けるべきでしょう。例えば、ある部門が自社の目標達成のために無理な計画を提案してきた場合、それが全社戦略や他部門との整合性を損なうものであれば、客観的なデータを示してそのリスクを説明し、全体最適の視点から調整を促す必要があります。

    このような中立的で客観的なスタンスこそが、経営企画が組織内での信頼を築き、その役割を全うするための基盤となります。強い主張ではなく、盤石な基盤の上に成り立つ「正しい数字と論理」が、経営企画の最も強力な武器なのです。

    5. フェーズ別で見る経営企画の採用条件:組織の成長段階に応じた重点スキル

    組織の成長フェーズによって、経営企画に求められるスキルの重点は大きく異なります。スタートアップから上場準備、そして上場企業へと至る各段階で、どのような能力が特に重視されるのかを理解することは、採用戦略を立案する上で不可欠です。

    中小企業フェーズで求められる経営企画

    中小企業では、経営企画部門が独立して存在しないことも多く、CFOや社長直下の少人数で、または経理や総務が兼務する形でその役割を担うケースが一般的です。このフェーズで求められる経営企画の採用条件は、主に以下の点が挙げられます。

  • 会計理解(◎): 組織の規模にかかわらず、基本的な財務諸表の読み書き、売上・原価・固定費の理解、予実差異を要因で語る能力は必須です。経営者が迅速な意思決定を下すために、正確な数字を提供し、その意味を説明できることが求められます。
  • 予実管理(◎): 年度予算や月次予測の作成、実績との差異分析といった基本的な予実管理の実務経験は不可欠です。限られたリソースの中で、いかに効率的に数字を管理し、事業の進捗を把握できるかが重要になります。
  • Excel(◎): 多くのデータがExcelやスプレッドシートで管理されていることが多いため、集計・加工・チェックを自走できるExcelの実務力は極めて重要です。複雑な関数やピボットテーブルを駆使し、手作業を減らして効率化できるスキルが重宝されます。
  • SQL(△): データベースが整備されていない、あるいは外部システムを利用している場合も多く、SQLスキルが直接的に求められる機会は少ないかもしれません。しかし、もしデータがRDBで管理されているのであれば、SQLで自分でデータを引き出せる能力は、IT部門への依存度を減らし、業務スピードを向上させる強力な武器となります。そのため、「あれば尚良い」歓迎条件となります。
  • マスタ設計理解(△): 体系的なマスタ設計が行き届いていないケースも多く、現状は目の前の業務を回すことが優先される傾向にあります。しかし、将来的な事業拡大を見据えるならば、マスタの重要性を理解し、改善提案ができる人材は貴重です。
  • このフェーズでは、一人の担当者が幅広い業務をこなす多能性と、変化に柔軟に対応できるフットワークの軽さが重視されます。

    上場準備フェーズで求められる経営企画

    上場準備フェーズに入ると、企業は株主や証券取引所、監査法人など、外部からの厳しい目にさらされることになります。内部統制の強化、財務報告の信頼性確保が最重要課題となるため、経営企画に求められる要件は格段に厳しくなります。

  • 会計理解(◎): より高度な会計処理や開示ルールへの理解が求められます。単に数字を理解するだけでなく、会計基準に則った適切な計上プロセスを理解し、経理部門と連携して財務報告の正確性を担保できる能力が不可欠です。
  • 予実管理(◎): 予算策定と予実管理のプロセスは、内部統制の重要な一部となります。予算計画の根拠の明確化、実績計上ルールの一貫性確保、差異分析の深度化が求められ、これらのプロセスをリードできる経験が重要です。
  • Excel(◎): 報告資料や分析レポート作成において引き続き重要ですが、単なるデータ処理だけでなく、監査法人や証券会社に提出する資料の正確性・整合性を担保するチェック能力がより厳しく問われます。
  • SQL(〇): 上場準備では、データの信頼性とトレーサビリティ(追跡可能性)の確保が極めて重要になります。SQLを使って自らデータベースからデータを抽出し、報告数字の裏取りや整合性チェックを行える能力は、監査対応において非常に有効です。また、データのガバナンスを強化する上で不可欠なスキルとなります。
  • マスタ設計理解(◎): このフェーズではマスタ設計・運用理解が実質的に必須となります。 内部統制の観点から、部門マスタ、勘定科目マスタ、商品マスタなどの定義が一貫しており、適切に管理・運用されていることが厳しく問われます。マスタの不備は、財務諸表の信頼性やKPIの正確性を損なうため、経営企画はマスタの設計思想を理解し、その運用管理体制を企画・推進できる能力が強く求められます。
  • このフェーズでは、正確性、網羅性、そして内部統制への意識が高い人材が求められます。

    上場企業フェーズで求められる経営企画

    上場企業となると、より高度な経営管理とガバナンスが求められます。経営企画は、戦略策定支援、M&A戦略、IR活動支援など、より広範かつ専門的な役割を担うことになります。

  • 会計理解(◎): 連結決算、国際会計基準(IFRS)への対応、ディスクロージャー(情報開示)関連など、より専門的かつ高度な会計知識と、それを事業戦略に活かす能力が求められます。
  • 予実管理(◎): グループ会社全体の予実管理、複雑な組織構造に対応した予算配賦、より高度なリスク分析とシナリオプランニングが求められます。
  • Excel(◎): 大量のデータを効率的に処理し、高度な分析を行うためのExcelスキルは依然として重要です。BIツールとの連携や、ダッシュボード作成能力も求められるようになります。
  • SQL(△): 上場企業では、BIツールやDWH(データウェアハウス)が導入され、データ分析基盤が整備されていることが多いです。そのため、SQLは必ずしも日常的に使うスキルではないかもしれませんが、DWHから生のデータを抽出して深く分析する際には引き続き強力なツールとなります。
  • マスタ設計理解(〇): マスタ設計は、上場準備で確立されたものが運用フェーズに入りますが、企業規模の拡大や事業再編に伴い、マスタの追加や変更が頻繁に発生します。既存のマスタ構造を理解し、変更が生じた際の影響を評価し、適切な変更管理プロセスを企画・運用できる能力が求められます。また、グループ会社間のマスタ連携など、より複雑な対応も視野に入ります。
  • 上場企業フェーズでは、専門性と同時に、長期的な視点での戦略的思考力、そして変化への対応力が重視されます。

    6. 強い組織を作る経営企画の採用条件:求人票・社内説明に使える「まとめ文」

    これまでに解説した内容を踏まえ、経営企画の採用条件を求人票や社内説明資料にまとめる際の具体的な文例を提示します。これを用いることで、貴社が本当に求める人材像を明確に伝え、ミスマッチを防ぐことにつながります。


    【経営企画|求める採用条件(実務版)】

    当社は、持続的な成長と強い組織作りを実現するため、経営企画の重要な役割を担っていただける方を募集します。
    具体的には、予算・KPI・予実管理を中心に、経営判断に必要な「数字の整合性」を担保し、経営層から現場まで、組織全体の意思決定をサポートしていただきます。

    必須条件として、PL / BS / CFをはじめとする会計・数値構造の深い理解、年度予算策定や月次予実管理の実務経験、そしてExcel/スプレッドシートを用いたデータ集計・加工・チェックの自走能力を求めます。単なる数字の羅列ではなく、予実差異を具体的な「要因」で語り、経営課題の深掘りに貢献できる方を歓迎します。

    さらに、以下の経験・スキルをお持ちの方を特に歓迎します。

  • SQLスキル(データを取り出す力): データベースから自ら必要なデータを抽出し、一次調査や「おかしい数字」の裏取りを完結できるレベルのSQL(SELECT / JOIN / GROUP BYなど)使用経験。これにより、データ活用のスピードと深度を高めることに貢献できます。
  • マスタ設計・運用理解(数字を壊さない力): 部門・プロジェクト・勘定科目などのマスタ構造の理解、コードと名称の適切な管理、マスタ変更が数字に与える影響を説明できる知見。特に上場準備フェーズでは、データの整合性と信頼性を確保する上で不可欠なスキルであり、組織のガバナンス強化に貢献できる方を歓迎します。
  • 経営者の抽象的な指示を数字に翻訳し、現場に「なぜこの数字が必要か」を論理的に説明できるコミュニケーション能力、そして経理・IT部門と連携し、論点整理を通じて全体最適を追求できる調整能力も重視します。強い主張よりも、組織全体の整合性を守り、数字のインフラを管理するプロフェッショナルとしての姿勢に共感いただける方を求めています。

    貴社の成長を数字で支え、共に未来を築いていける方からのご応募をお待ちしております。

    このまとめ文は、これまでの各セクションで解説した必須条件と歓迎条件、そしてコミュニケーション・スタンスを網羅し、経営企画に求める真の役割を簡潔かつ具体的に表現しています。SQLとマスタ設計の重要性を明確に盛り込むことで、単なる「Excel屋」ではない、現代の経営環境で求められる経営企画像を提示できるでしょう。

    7. 経営企画の採用における「本音」:数字のインフラを管理するプロフェッショナル

    これまで述べてきた経営企画の採用条件は、表面的なスキルセットに留まらない、より本質的な役割と期待を反映したものです。ここでは、実務側から見た経営企画の「本音」と、その役割の真の価値について語ります。

    SQLは「確認手段」

    経営企画におけるSQLの重要性は、しばしば誤解されがちです。複雑なクエリを書く高度なプログラミングスキルが求められるわけではありません。むしろ、その本質は「確認手段」としての価値にあります。

    各部門から上がってくる報告データ、既存のレポート、あるいは会計システムやSFAから出力される数字。これらが本当に正しいのか、自分の目で、データベースの生データに直接アクセスして裏取りできること。この「確認手段」があるかないかで、経営企画の仕事の質とスピードは劇的に変わります。IT部門に依頼する手間を省き、自らの責任で数字の信頼性を検証できる自律性は、経営判断の精度を高める上で不可欠です。SQLは、経営企画が「数字のプロフェッショナル」として確固たる自信を持つための、強力な武器なのです。

    マスタ設計は「数字の命綱」

    マスタ設計は、地味な仕事に思えるかもしれません。しかし、これは文字通り「数字の命綱」であり、組織のデータガバナンスの根幹をなします。マスタが適切に管理されていなければ、どんなに優れた分析ツールを導入しても、どんなに優秀なアナリストがいても、出てくる数字は信頼性を欠き、誤った意思決定につながるリスクを常に抱えることになります。

    部門コードがバラバラ、商品コードの定義が曖昧、勘定科目の運用ルールが不明瞭。このような状態では、KPIも予算も実績も、すべてが曖昧なものになってしまいます。マスタ設計・運用理解を持つ経営企画は、こうした数字の根幹にあるインフラを守り、データの整合性を保証する「番人」として機能します。特に上場準備フェーズにおいては、この「命綱」がしっかりしているかどうかが、企業の信頼性を左右する重要な要素となります。

    経営企画は「戦略職」ではなく、数字の「インフラ管理職」

    多くの人が抱く「経営企画=戦略策定」というイメージは、必ずしも実務の現実を反映していません。確かに戦略策定支援は重要な業務ですが、その根底にあるのは、数字という名の「インフラを管理する」地道で着実な仕事です。

  • 数字のインフラを整備する: 正確なデータが流れ、整合性が保たれ、必要な時にいつでも適切な形で情報が提供される仕組みを構築し、維持管理すること。
  • 数字のインフラを監視する: KPI、予算、実績が常に健全な状態であるかを監視し、異常があれば速やかに検知して対処すること。
  • 数字のインフラを通じてコミュニケーションする: 経営者、現場、経理、ITといった多様なステークホルダーが、共通の数字言語で理解し合えるよう、情報伝達の橋渡しをすること。
  • これらの役割は、一見すると地味かもしれませんが、企業の成長を支える上で最も重要な土台となります。経営企画は、華やかな戦略立案の裏で、その戦略が実行可能であるための堅牢な「数字のインフラ」を管理し、会社全体の「数字の見える化」と「正しい意思決定」を可能にするプロフェッショナル集団なのです。

    この本音を理解し、その役割に誇りを持って取り組める人材こそが、現代の経営企画が本当に求める人物像です。単なる「Excel屋」ではない、数字のインフラを管理する「プロフェッショナル」を迎え入れることが、強い組織を築くための第一歩となるでしょう。

    まとめ

    本記事では、「強い組織を作る経営企画の採用条件」を、単なるExcelスキルに留まらず、SQLやマスタ設計の重要性に焦点を当てて、実務目線で深掘りしてきました。経営企画は、企業の戦略を数字に落とし込み、経営・現場・経理・ITの橋渡し役となり、KPIや予算、実績の整合性を守る「通訳者」であり「番人」としての役割を担います。

    必須条件としては、PL/BS/CFの深い会計理解、予算・予実管理の実務経験、そしてExcel/スプレッドシートを用いたデータ集計・加工・チェックの自走力が挙げられます。これらは経営企画としての土台を築く上で不可欠な要素です。

    そして、現代の複雑な経営環境において、データ活用の幅と深度を格段に高めるのが歓迎条件として挙げたSQLスキルとマスタ設計・運用理解です。SQLは、IT部門への依存度を下げ、自らデータを取り出し、情報の正確性を裏取りできる「自律性」をもたらします。一方、マスタ設計・運用理解は、特に上場準備フェーズにおいて、データの信頼性と整合性を根本から支え、KPIや予算が「壊れない」ように守る「規律」を組織にもたらします。これらは、単なるスキルセットではなく、経営企画が「数字のインフラを管理するプロフェッショナル」として、組織全体のデータガバナンスを強化し、経営判断の質を高めるための重要な能力なのです。

    さらに、経営者の曖昧な指示を数字に翻訳し、現場にその必要性を説明できるコミュニケーション能力や、異なる部門と衝突せず論点整理ができる調整能力も、経営企画が組織を円滑に動かす上で不可欠な要素であることを強調しました。

    貴社が本当に求める経営企画人材は、単にExcelを使いこなせるだけでなく、数字の裏にある意味を理解し、その信頼性を担保できる、多角的な視点と実務的なスキルを持つ人物です。本記事で提示した採用条件が、貴社が強い組織を築くための経営企画採用において、明確な指針となることを心より願っています。

    免責事項

    本記事は、経営企画の採用条件に関する一般的な情報提供を目的としています。記載されている内容については、細心の注意を払って作成しておりますが、その完全性、正確性、特定の目的に対する適合性を保証するものではありません。また、各企業様の組織規模、業界、事業フェーズ、具体的な経営課題によって、最適な経営企画の採用条件は異なります。本記事の情報のみに基づいて意思決定を行うのではなく、必ず貴社の具体的な状況やニーズに応じて専門家にご相談いただくか、ご自身の判断と責任においてご活用ください。本記事の利用により生じたいかなる損害についても、弊社は一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。

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